<HONDA>
9月25日(日)・決勝
サーキット:ワトキンス・グレン・インターナショナル 天候:曇り 気温:23℃
Hondaは2005年IRL IndyCarシリーズにおいて2年連続となるマニュファクチャラーズタイトルとドライバーズチャンピオンの獲得、そして3年連続のルーキー・オブ・ザ・イヤー輩出と、3つのメジャータイトル獲得を昨年に続き達成した。 すでにシーズンも終盤、残すところ2レースとなる第16戦は今年3戦目となるロードレース。使用コースは1961年から1980年までF1アメリカGPを開催していた伝統あるワトキンス・グレン・インターナショナルだ。ニューヨーク州東端、カナダとの国境からも遠くない山間にある小さな町は、1940年代後半から50年代前半まで一般道を使ったレースが開催されていた。その伝統を引き継いで作られたサーキットは全長が3.37マイル。アップ・アンド・ダウンに富んだ高速コースである。
ワトキンス・グレン・インターナショナルでトップ・フォーミュラカーのレースが行なわれるのは実に24年ぶりとあって、地元及び周辺地域での感心は非常に高く、決勝日には多くのファンが結集。60周で争われたレースは雨の心配もされていたが、結局は曇り空の下、ドライコンディションで行なわれた。
予選5位だったトニー・カナーン(アンドレッティ・グリーン・レーシング/Honda・ダラーラ)はスタート直後に2位へと一気にジャンプ。予選6位だったダリオ・フランキッティ(アンドレッティ・グリーン・レーシング/Honda・ダラーラ)もスタートで4位へとポジションを上げた。レース終盤にカナーンはトップを奪還しようと激しくチャージ。集まったロードレース・ファンをおおいに沸かせた。
レースもゴールを間近に控えたところでフルコースコーションが出され、残り4周のファイトが展開されたが、最終ラップに2台がクラッシュし、ゴールはチェッカーフラッグとイエローフラッグが同時に振られるものとなった。カナーンはスコット・ディクソン(ターゲット・チップ・ガナッシ・レーシング)に続く2位でゴールし、フランキッティは3位を獲得した。
今年すでに6勝を挙げているダン・ウェルドン(アンドレッティ・グリーン・レーシング/Honda・ダラーラ)は、予選9位からスタートし、5位でゴールした。まだ最終戦が残されているが、ウェルドンは今年度のIndyCarシリーズ・チャンピオンとなることが決定した。Honda Indy V-8を使うドライバーによるタイトル獲得は昨年のトニー・カナーンに続いて2年連続である。
松浦孝亮(スーパーアグリ・フェルナンデス・レーシング)は予選15位から奮闘を見せた。最後のリスタートの後にはアグレッシブな走りで2台をパスし、今シーズンのベスト・タイとなる6位でゴールした。ブライアン・ハータ(アンドレッティ・グリーン・レーシング/Honda・ダラーラ)が8位、スコット・シャープ(デルファイ・フェルナンデス・レーシング/Honda・パノス)は9位と、Honda Indy V-8勢6人がトップ10フィニッシュを果たした。ロジャー安川(ドレイヤー&レインボールド/Honda・ダラーラ)は15位となった。
女性ルーキー・ドライバーのダニカ・パトリック(レイホール・レターマン・レーシング/Honda・パノス)は、予選順位と同じ16位でゴールした。今シーズン2回の4位入賞と、3回のポールポジション獲得を果たすという目覚しい活躍を見せてきた彼女は、目標としていた今年度のルーキー・オブ・ザ・イヤー獲得を最終戦フォンタナを待たずに決定した。2003年はウェルドン、2004年は松浦、そして今年はパトリックと、Honda Indy V-8勢から3年連続のルーキー・オブ・ザ・イヤーが生まれた。
昨年初めて獲得したマニュファクチャラーズタイトルの防衛、2年連続のドライバーズチャンピオンの獲得、IRL IndyCarシリーズ初のロードレースとなったホンダ・グランプリ・オブ・セント・ピータースバーグでの優勝、ツインリンクもてぎでのBRIDGESTONE INDY JAPAN 300MILEでの勝利、Indy500での2年連続優勝、そして3年連続のルーキー・オブ・ザ・イヤー輩出と、Hondaは今シーズン掲げた目標をすべて達成した。
■トニー・カナーン(アンドレッティ・グリーン・レーシング):2位
「今日は2位獲得のために戦うというレースになっていた。スタートはとても良く、2位に一気にポジションを上げることができた。しかし、今日のスコット・ディクソンは本当に見事なレースをしていた。今日の彼にはコース上で2度もパスされた。彼のマシンがとても良い仕上がりになっているのは戦っていてわかった。そこで僕らはピットストップでの逆転を狙った。それもかなわなかった後は、最後までプレッシャーをかけ続けることに努めた。そうすれば彼がミスを冒す可能性があるからだ。今日は彼に完敗となったが、2位でゴールできたことは喜びたい」
■ダリオ・フランキッティ(アンドレッティ・グリーン・レーシング):3位
「ダンのタイトル獲得を嬉しく思う。今日の僕のマシンは路面状況に完全にフィットしていなかった。暖かいコンディションではアンダーステアが出ていたので、それに対処するためのセッティング変更をしたんだが、逆にオーバーステアが出ていたんだ。しかし、少しでも速く走るために全力を出し切って走り続けたよ。激しいレースを堪能することができた。トニーが2位で僕が3位、そしてダンがタイトル獲得を決めたんだから、今日はとてもよい結果にできたと思う」
■ダン・ウェルドン(アンドレッティ・グリーン・レーシング):5位
「タイトル獲得に関しては本当に多くの人々に御礼を言いたい。3人のチームメイト、アンドレッティ・グリーン・レーシングのクルー全員、友人たちと家族、そしてもちろんHondaに感謝する。2年前、Hondaは僕にチャンスを与えてくれた。そのHondaとともに戦って来て、短い時間で素晴らしい結果を数多く収めることができて誇りに思う。これからも長い間Hondaとの良好な関係を続けて行きたい。ファンタスティックなシーズンとなった。Indy500で勝てたことは、僕の人生のハイライトとなるだろう。それに加えて新記録となるシーズン6勝、シリーズタイトル獲得まで達成できたのだから最高だ。残る1戦も勝利を目指して戦う」
■松浦孝亮(スーパーアグリ・フェルナンデス・レーシング):6位
「ギヤボックスがロックし始めたのと、ブレーキがソフトになって来たことによって終盤は厳しい戦いになっていましたが、フルコースコーションが出てブレーキを冷やすことができたので、ブレーキの問題はなくなりました。ギヤを慎重にシフトしながらリズムを掴み、最後のリスタートからは3台をパスできました。インフィニオン・レースウェイと同じ6位という結果でしたが、今回は攻めの走りを最後に実現でき、パスを重ねての6位入賞だけに嬉しいです。最終戦では悔いの残らない戦いをしたいと思います」
■ロジャー安川(ドレイヤー&レインボールド・レーシング):15位
「スタートしてすぐに車高が下がり過ぎていてブレーキングも安定しないし、ハンドリングはオーバーステアになっていました。そこで1回目のピットストップで車高を上げてもらったのですが、なぜだか逆にもっとボトムが路面に干渉する状況となってしまいました。最後のピットストップではウィングセッティングも大きく変えて、そこからプッシュしました。3戦目のロードレースも悔しい結果、内容となりましたが、最終戦のフォンタナでは何としてでも最高のパフォーマンスを発揮できるようチームとともに全力を出し切りたいと思います」
■ダニカ・パトリック(レイホール・レターマン・レーシング):ルーキー・オブ・ザ・イヤー獲得
「今週は速さを見せることができなかったけれど、セッションを重ねる毎にラップタイムを縮めて行くことができた。2回目のピットストップ直後に私たちのチームは一斉に不運に襲われた。私はブレーキバランスを調整しようとしてメインスイッチを切ってしまい、コース上にストップしてしまった。エンジンが止まった原因を見つけた時にはすでに周回遅れとなっていた。今週は好パフォーマンスを見せることができなかったけれど、ルーキーとして戦っている今シーズンは思い出に残る素晴らしいものとなっている。ルーキーとしての最終戦となるフォンタナでは力強いレースを戦いたい」
■ロバート・クラーク:HPD社長
「残念ながら優勝はできなかったが、我々は高い競争力を今回のレースでも見せることができた。出場するレースすべてで勝つことを目標に掲げてはいるが、全部勝つことは簡単ではない。
トニー・カナーンとダリオ・フランキッティはシャシーセッティングがパーフェクトではなく、今回のレースでは2位と3位になった。今回のレースで学び取ったことから更に強さを身につけたい。
ダン・ウェルドンは5位でゴールし、今年のドライバー部門チャンピオンとなった。彼とアンドレッティ・グリーン・レーシングに対して『おめでとう』と言いたい。我々は今シーズンを迎えるにあたって、マニュファクチャラーズタイトルの防衛、ドライバーズタイトルの防衛など多くの目標を掲げたが、それをすべて達成することができた。ダニカ・パトリックのルーキー・オブ・ザ・イヤー獲得も、とても嬉しいことだ。カナーン、アレックス・ザナルディ、ウェルドン、松浦孝亮、パトリックと我々は多くのルーキー・オブ・ザ・イヤーを生み出してきた。素晴らしいルーキーをトップカテゴリーへと紹介し、ともに素晴らしい成績を収めて来たことを誇りに思う」