【Champ Car World Series:2005年8月13日 デンバー】
“セントリックス・ファイナンシャル・グランプリ・オブ・デンバー・プレゼンテッド・バイ・パシフィケア”の金曜日の予選では、開始早々からアタックするドライバーが少なかった。しかし土曜日の最終予選において、“ブリヂストン・プレゼンツ・チャンプ・カー・ワールド・シリーズ・パワード・バイ・フォード”のドライバーたちは、1.657マイルのデンバー・ストリート・コースで序盤から次々とアタックを開始していく。セッションが始まってから動き出すまでに10分以上待った金曜日とは異なり、シリーズで激しい火花を散らす最大のライバルである二人は、グリーン・フラッグが振られると同時にコースへと真っ先に飛び出していった。ポール・トレイシー(#3インデック・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)とセバスチャン・ボウデイ(#1マクドナルド・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)は、セッション開始直後から競い合った末、ベテランのトレイシーがトップに浮上。明日のレースのポールを獲得した。
トレイシーはこの土曜日の最終予選で、9つのターンで構成されるデンバーのコース・レコードを更新する59.432秒(100.370mph)を記録し、今季3度目のブリヂストン・ポール・アワードを手に入れる。これでボウデイがリードしていた今シーズンのブリヂストン・ポール・アワードの記録に並ぶことになった。トレイシーの輝かしいチャンプ・カー・キャリアにおける25回目のポールであり、1ポイントを追加してランキング・トップのボウデイに26点差まで迫る。
このポール・ウイナーの素晴らしいタイムは、ボウデイとトレイシーがタイムを競い合った結果、セッションが始まってから5分で記録された。彼らの前に誰もいない、レース・トラックがクリアな状況をうまく利用したことになる。ボウデイは5周目に59.541秒(100.186mph)を出して新しいコース・レコードを記録したが、トレイシーはそれから1分も経たないうちにポールウイニング・タイムを叩き出し、彼だけがボウデイの前に躍進することができた。
マリオ・ドミンゲス(#7インデック・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)はフォーサイス・チャンピオンシップ・レーシングのチームメイトを追い、セッションの序盤、最初のタイヤ・セットにおける最後の周回で3位に躍り出る。ドミンゲスは59.644秒(100.013mph)を記録して3位に滑り込んだあと、周りの様子を伺うためにピット・インした。
このトップ3はセッションの中盤に決してアタックすることなく、アレックス・タグリアーニ(#15 オージー・ビネヤーズ・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)、ジミー・バッサー(#12ガルフストリーム・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)、ジャスティン・ウイルソン(#9 インテル・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)らがトップ5入りをかけて戦っていた。ウイルソンとバッサーはこのバトルの中から抜け出し、トップ3同様60秒の壁をブレイク。ウイルソンは59.962秒(99.483mph)を記録して4番手となり、バッサーは59.995秒(99.428mph)で5番手に入ってきた。
その間、ボウデイはプラクティスで記録したトップ・タイムである59.39秒を再現してポールを獲るために、ピット・レーンで待機。再びコースがクリアになることを待っていたが、序盤のような状況にはならなかった。マーカス・マーシャル(#5 オージー・ビネヤーズ・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)がターン5でスピンし、タイヤ・バリアに衝突して赤旗となったため、トレイシーを上回る最後のチャンスを失ってしまう。
このレッド・フラッグはボウデイにとって最もタイミングが悪いときに振られ、15周の走行しか許されない中ですでに14周を走りきっていた彼は、最後の1周だけのアタックに挑戦することができなくなった。チャンプ・カー・セーフティ・チームはすばやい作業でコースをクリアにし、残り9分でセッションは再開したが、ここでほぼ全車が最後のアタックのためにコースイン。少しでも良いグリッドを手に入れようとしていた。
不運にも、この後に4つのアクシデントが発生し、チャンプ・カー・セーフティ・チームはこの最後の9分間で大忙しとなる。最後はライアン・ハンター‐レイ(#31 ロケットスポーツ・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)がスピンし、チェッカーと赤旗が一緒に振られてセッションが終了した。
しかし全員が泥沼にはまったわけではなく、カリフォルニア生まれでコロラドをベースとするA.J.オールメンディンガー(#10 ウエスタン・ユニオン・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)は、59.938秒(99.523mph)を最後の周で記録。デンバーのペプシ・センターの周りを駆け回る明日のレースで、4番グリッドからスタートする。
ドミンゲスは今季ベスト・パフォーマンスとなる予選3位を得、オールメンディンガーは3戦連続でトップ4以内のポジションからのスタートとなる。ウイルソンはトップ5入りとなり、バッサーは今シーズンのロード・コースにおける最高グリッドである6位のポジションを獲得。タグリアーニは7位のグリッドを手に入れ、オリオール・セルビア(#2 パシフィケア・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)とともに4列目からスタートする。
クリスチアーノ・ダ・マッタ(#21 ベル・マイクロ・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)はスピードを上げられずに9位で、ルーキー最上位のティモ・グロッグと5列目に並ぶ。グロッグは“ロシュフランズ・ルーキー・オブ・ザ・イヤー”のランキング・トップにおり、2005年のチャンプ・カー・ルーキーの中で最速となる1:00.529秒(98.551mph)を記録した。
リカルド・スペラフィコ(#11 アメリカン・メディカル・レスポンス・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)は少ないチャンプ・カーの経験にもかかわらず12位のベスト・グリッドを手に入れ、今季2度目の参戦となったロドルフォ・ラビン(#55 HVMレーシング・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)は13位からスタートする。
4回目を迎える“セントリックス・ファイナンシャル・グランプリ・オブ・デンバー・プレゼンテッド・バイ・パシフィケア”は、日曜日の現地時間午後1時45分にスタート。スピード・チャンネルで東時間午後3時からライブで放映される。
予選トップ3のコメント
ポール・トレイシー #3インデック・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン:
「6周目に良い走りができて、それが決まったね。すべてがうまくいっている感じで、セッション中は座って待つことができたよ。セバスチャンは再びコースに出ることを決めた。彼はもっと良いタイムを出すことができると思ったんだろう。待たないと決めたんだ。我々は座って彼の走りを観ていたが、彼が望んだタイムは出なかった。それ次第でコースに出ようかどうか、決めようと思っていたよ。マリオはとても良い走りをした。確かに、彼のタイムはすごく接近してきたからね。我々はそこに座って1分か2分ぐらい予選の話をしたかな。クルーと、『もしここに座ったままでポールを失ったら、自分自身に蹴りを入れないとまずいよな』って言ってたよ。それでもう一回コースに出て行って、またいい走りができたんだけど、最後の周で赤旗になってしまった。結果的に、我々にとってはそれで良かったんだけどね」
セバスチャン・ボウデイ #1マクドナルド・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン:
「丸一日、うまくいったよ。昨日と比べて大々的に変えたからね。車はまったくの無傷だったんだが、我々は昨日新品タイヤでなぜタイムが下がったのか、理解できなかった。我々はマクドナルド・クルーと一緒に昨日の晩ハードワークをこなし、PT(ポール・トレイシー)との間にあったかなりの差を縮めることができた。知ってのとおり、我々は正しかったと思う。もっとコース上にタイヤのラバーが乗ればね。もっと大きな問題は、アンダーステアが少し強くなって、ブリヂストン・タイヤのベストを引き出すことができなかったことがほんとうに残念。グリップさせるまでの周回も足らなくなり、速く走ることができなかったんだ。良いこともあれば、悪いこともあるということだよ。今日は良くなかったから、明日はきっといいことがあると思う」
マリオ・ドミンゲス #7インデック・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン:
「うまくいったよ。確かに、われわれはずうっといつもハードにプッシュしていたからね。このトラックで速く走ることは容易ではない。ずっとエッジの上にいるようなもんだからね。トラックはとても滑りやすいけど、楽しいし、こういうエッジの上を走るのはファン・トゥ・ドライブだ。最後、セバスチャンを抜いて2位に上がることは十分に可能だと思っていた。フォーサイスのためにどうしてもワンツーが欲しかったんだけど、最後のコーナー、正確には最後から二つのコーナーがうまくいかなかった。しかし3位でも満足はしているし、とてもいいスターティング・ポジションだと思う。明日のレースは好位置からスタートできるね」
ハイライト
・ポール・トレイシーが土曜日に通算25回目のポールを記録し、チャンプ・カー・ワールド・シリーズ史上25回以上ポール・ポジションを獲得した7番目のドライバーとなった。
・トレイシーは今年3度目のポールを獲得し、この3年間トレイシーは毎年少なくとも必ず3回はポールを獲得してきたことになる。これは彼の長いキャリアのなかでも初めてのことだ。
・ポール・トレイシーが明日のレースでリードすると、彼のトップ走行の総周回は4000周となる。トレイシーは史上6番目の4000周をリードしたドライバーとなるだろう。