<US-RACIN>
エドモントンに続く2連勝を達成し、ポイントリードを更に広げたボウデイ。「好位置につけることができたので、可能な限りそのポジションを維持するよう努めた。だが何人かはタイミングをずらすピット・ストップ戦略だったので、ペースを守るのは厳しかったね。出来る限り燃費を抑えたかったが、早めにピットインした連中は、その必要はなかったんだ。加えてPT(トレイシー)が背後に迫って、僕がミスを犯す瞬間を待っていたから気を抜けなかった。まずは危険を冒さず燃料をセーブしながら再びトップへ立つチャンスを待った。ミスを犯さないように細心の注意を払いながらね。それがこのレースのカギだった。マクドナルド・クルーにとっては、とても嬉しい結果となった。彼らは本当に良い仕事をしたからね」とチームを絶賛。過酷な条件下でもミスを犯すことなく最後まで走りきって優勝を手にした。
エドモントンと同様に、初開催ながら3日間のスピードの祭典には多くの観客が訪れた。路面電車の線路を跨ぐなど、もともとバンピーなコースに加えて金曜日の夜に急遽加えられたターン1と2の間のシケインでは、駆け抜けるマシンがポンポン跳ねていた。とにかくパスが難しいコースでは、ピットストップで順位を上げるのが得策だ。今回4位に入ったウイルソンも、「このサーキットは自分たちにとってベストなコースではなかったが、我々は持てる力を最大限に引き出した。チーム・インテルのピットクルーが機敏な作業を行なってくれたおかげで、ピットストップで順位を上げることができた。まずは無事に走りきることが大事だったので、それが出来たことでまたしてもトップ5でフィニッシュできた」と語った。予選ではいまひとつ納得の行かない結果だったウイルソンは、初優勝のトロントからトップグループで走行しながら終盤スピンして表彰台を逃したエドモントンに続き、ここサンノゼでは確実に4位をゲットしている。
前を行くボウデイの僅かなミスをも見逃さないようにと、虎視眈々とそのチャンスを待っていたトレイシーだったが、結局最後までその機会は訪れなかった。一昔なら、前を行くマシンに接触することも厭わないアグレッシブな走りがそのトレードマークだったものの、ここサンノゼでは着実に2位をゲット。「スタート直後はほぼ一列縦隊となっていた。スタート直後にオリオールをパスするつもりだったが、あの状態ではオリオールの後ろについて、燃料をセーブすることが精一杯だった。セバスチャンはオリオールよりもほんの少し速かっただけで、彼らと自分とのツー・ストップのタイミングもほぼ同じだった。コース上せセバスチャンをパスする術はなかったから、彼がミスを犯すのを待った。それにしても素晴らしいイベントだったね。街中の興奮も最高だった。街の中心地で開催できてとても良かったとおもう。まだまだ改善すべき点はいくつもあるが、この街で皆が一体となってレースを盛り上げたわけだから、これからもきっと良くなってゆくと信じているよ」と語ったトレイシー。シリーズも後半戦に入り、次の優勝が欲しいところだろう。
3位入賞を果たし、表彰台の常連となっているセルヴィア。まだ優勝こそないものの、安定した結果を残しニューマン/ハース・レーシングの一員としての確固たる地位を築きつつある。「すべて順調に行った。昨日のポールタイムのように、レースでも殆ど差がなかったから、トップを狙っていた。特に朝のウォームアップではマシンの状態が好調だったからね。レースはミスを犯さないものが勝利を手にすると分かっていた。それが僕のアプローチだった。レース前半、自分たち3台は、燃費をセーブすることを心掛けた。ところがフルコース・コーションがでたことで、燃費はあまり関係なくなってしまったんだ。恐らくポールは燃料給油を短めにしたんだろうね。あのイエローのタイミングだと、あまり燃料を入れなくてもよかった。今日は3位だったが、トップ3はほぼ互角だった。今回も表彰台に上がれていい気分だ。パシフィケア・カーも好調だし、次回のデンバーでのレースが楽しみだよ」と語る。次回のデンバーでは初優勝がみられるか。
トップ3のベテラン勢に加え、ルーキー勢の走りも光った。予選7位からスタートして5に入賞したグロックは、トップ・ルーキーのアワードを獲得。グロックは、「ドライバーよりもマシンに対して厳しいレースだったのは確かだ。トラブルに巻き込まれずにクリーンなレースを走りきることが第一の目標で、今日はそれを全うできた。ブレーキ・トラブルが発生してペダルが床まで着いてしまい、ピットストップでうまく停止できず、ポジションを下げてしまった。でもルーキー・シーズンでのベスト・タイの結果を残せたうえに、ランキングでもルーキートップを維持できたことを誇らしげに思うよ。ロケットスポーツのクルーは、朝のウォームアップのアクシデントで破損したマシンを見事に修復してくれたうえに、このような成果をあげることができたことに対して、お礼を言いたい」と嬉しそうに語った。
一方ピットストップのタイミングをずらして途中トップを走行したブレマーも、その存在をアピールした。「いいレースだったが、予選で失敗してしまったのが悔やまれるね。満足とはいえないが、7位という結果にはハッピーさ。レース中トップを走行したことと、スタートからもっともポジションを上げたことで、それぞれボーナス・ポイントを獲得できたのは良かったよ」とまずは無事レースを終えてほっと一安心といったところ。
エドモントンから2連勝し、開幕戦のロングビーチと合計してシーズン3勝目を挙げたレッグ。注目の女性ドライバーということで、ダニカ・パトリックと比較されることの多いキャサリン。記者会見の席上でも「彼女(D.パトリック)は彼女なりに頑張っているとおもいます。ところでここにいらっしゃる方たちのなかで、私の記事を書いていただく際に、彼女の名前無しでも書ける方はいらっしゃいますか」とジョークをとばしていた。チャンプ・カーのマシンと比べて一回り小さいアトランティックのマシンとはいえ、パスが難しいとされるこのコースで見事にヘアピンのアウトからクリーン・パスを決めてトップに立った。最後まで気を抜くことなく熱い中にも冷静な走りで2位以下を引き離し、トップでチェッカーを受けた。気の早いメディアの中には、「来年はチャンプカーにステップアップですか?」と質問するものもいたが、「自分の走りはまだチャンプカーで通用するとは思っていません。今は着実にこのシリーズを戦い、ベストを尽くすことを考えています。将来的にコンペティティブなチームからのオファーがあれば、ステップアップもあると思います」とそのあたりも冷静なコメントをしている。