<US-RACING>
金曜日に続き、土曜日朝のプラクティスもトップを維持したボウデイが、一発勝負となった予選でもその好調ぶりを発揮して見事ポール・ポジションを獲得した。「ショックアブソーバーの不調で時間を無駄にしてしまったよ。ちょっとエキサイトし過ぎたのが失敗だった。何度か危うい場面もあったが、なんとか切り抜けたよ。このコースはコーナーは少ないし、かなり狭くて差が出にくいレイアウトだ。それでもマクドナルド・カーの仕上がりには満足している。フロントロー独占はチーム・ワークの成果であり、フロントローに並ぶことが出来たことは、とても重要な意味を持つ。決勝日は長い一日になるだろうが、この勢いを保ってファンのみんなにレースを楽しんでもらいたい」と語ったボウデイは、今回が通算16度目のポール・ポジション。これでジル・ド・フェランと並び、歴代13位タイとなった。
バンピーな路面コンディションにドライバー達はみな苦戦しているようだ。セルヴィアも無線をオンにしているときにバンプを乗り越えてしまい、そのショックに思わず「ウッ!」とうめき声を上げていた。予選アタックでは、トレイシーがセルビアに立て続けにブロックされて、ベスト・ラップをフイにされたとクレーム。これに対してセルビアは、「わざとやったわけじゃないよ。一周1.4マイルの短いコースでマシンが一度に出走するわけだから、毎回すべてクリア・ラップを取るのは至難の業だ。実際僕もつねに0.3秒ぐらいはタイム・ロスしていたと思う。自分としては、いつもフェアに競うように心がけているけど、この手のコースでは仕方がないんだ。今回のタイムはチーム・メイトからわずか0.06秒差の2位で、この差は毎レースウイークエンドごとに確実に縮まりつつある。彼はほんの少しだけ速い。でもそれが大きな違いを生むんだ。彼のポール・ポジションを祝福する」とコメント。彼が言うとおり、チームメイトとの差はほんの僅か。やっと自分にとって最高の環境に身をおくことができたセルヴィアは、パフォーマンス、自信、士気ともに、ベストな状態に近づきつつあるようだ。
初日のコースレイアウトに若干手を加えて迎えた二日目。改良箇所はターン1のシケイン部分のコース幅を若干広げ、その後に続くストレートからヘアピンに向かう中間地点に、小さいながらも二つ目のシケインが設けられた。「今日は昨日と比べてだいぶ走りやすくなっている。昨日は明らかにタイトで狭かったからね。ほんの一握りのドライバーだけしか全開にできていなかったんじゃないかな。ラップタイムでは大きな開きがでるものの、リスクも大きいからミスを犯すとその代償は大きい。明日の決勝までに、またコースに手が加えられることになっているそうだから、レースではもう少し安全になると思う」とトレイシー。この狭いコースでポール・ポジションを取れなかったのが残念だったらしく、記者から、「明日の決勝レースでの重要なポイントは?」という質問に対し、「今日の予選でポール・ポジションを取っておくべきだったこと」とひたすら残念がっていた。
予選セッションが始まる少し前に、チャンプ・カーがアトランティック・シリーズに関する発表を行なった。これまでの32年間の歴史のなかで、多くのスター・ドライバーを育成してきたこのシリーズに、大きな変化が訪れる。まずハード面では新しいスイフト製016のシャシーが、現行に比べてやや大きくなり、エンジンも17年間シリーズをサポートしてきたトヨタ製2リッター4気筒240馬力から、コスワース製の2.3リッター4気筒300馬力へとパワーアップされ、最高速度が162MPHから175MPHへとアップされる。これはチャンプ・カーへのステップアップをよりスムーズにするためで、少しでもパワーのギャップを抑えるのが目的だそうだ。さらにチームのランニングコストを下げ、逆に賞金をアップ。シリーズチャンピオンには200万ドル(約2億2千万円!)の賞金が与えられ、チャンプカーへステップアップする際の費用に充てることになる。スタート方式はローリング・スタートに加えてスタンディング・スタートも思案中。シリーズ名も、これまでの“トヨタ・アトランティック・シリーズ”から、“チャンプカー・アトランティック・シリーズ”へと変更され、グローバルな視野をもって展開するチャンプ・カー・ワールド・シリーズへの登竜門として、これからも多くの若いドライバーとチームを生み出していくことになるだろう。日本からの参戦も期待したい!