<Honda>
7月16日(土)・決勝
サーキット:ナッシュビル・スーパースピードウェイ
天候:晴れのち曇り
気温:28℃
ファイアストン・インディ200は、2005年シーズン全17戦の折り返し点となる第9戦である。全長1.33マイルのコースを200周して争われるレースは、テネシー州ナッシュビル郊外にあるユニークなコース、ナッシュビル・スーパースピードウェイで開催され、ダリオ・フランキッティ(アンドレッティ・グリーン・レーシング/Honda・ダラーラ)が今シーズン初優勝を飾った。Hondaはこれで今シーズン6勝目。マニュファクチャラーズ・ポイントでのリードをまたしても広げることに成功した。
金曜日の雨のために今回は予選が行なわれず、2回のプラクティスで出されたラップタイムによってグリッドは決定した。4番グリッドからスタートしたフランキッティは、レース序盤からトップを走行。ピットストップでポジションを落とすこともあったが、常にトップグループを走り続けた。そして、200周のレースの160周目に出されたフルコースコーションで、パトリック・カーペンティア(レッドブル・チーバー・レーシング)とアレックス・バロン(レッドブル・チーバー・レーシング)の2人がピットインを行わない作戦を採用し、ピットインを行なったフランキッティは3位へと下がった。しかし、リスタート後にフランキッティはバロンをパスして2位へと浮上。さらにトップへとチャージを行なおうとしたが、そこでバロンが3位のポジションを争ってヴィットール・メイラ(レイホール・レターマン・レーシング/Honda・パノス)と接触。2台が壁にヒットして大破したために非常に長いフルコースコーションが出された。
ペースカーの先導で周回が重ねられている間に小雨が降り始め、そのままレースがゴールとなる可能性も出てきた。しかし、幸いにも雨は止み、残り9周でグリーンフラッグが振られると、スタンドを埋めたファンが大歓声を上げた。
フランキッティはリスタートが切られるやトップ奪回に向けた激しいチャージを開始。カーペンティアを194周目にパスしてトップに立つと、あとはまっしぐらでゴールへと突っ走った。2位にはサム・ホーニッシュJr.(マールボロ・チーム・ペンスキー)が上がって来たが、フランキッティにチャレンジをする距離まで詰め寄ることはできなかった。
ポイントリーダーのダン・ウェルドン(アンドレッティ・グリーン・レーシング/Honda・ダラーラ)とランキング2位につけているトニー・カナーン(アンドレッティ・グリーン・レーシング/Honda・ダラーラ)は、ともにマシンのサスペンション・トラブルによってリタイアを喫した。しかし、Honda Indy V-8勢の中からスコット・シャープ(デルファイ・フェルナンデス・レーシング/Honda・パノス)が4位、女性ルーキー・ドライバーのダニカ・パトリック(レイホール・レターマン・レーシング/Honda・パノス)が7位でフィニッシュを果たした。
ロジャー安川(ドレイヤー&レインボールド・レーシング/Honda・ダラーラ)は21番グリッドからのスタートながら粘り強く走り切って11位でゴールした。松浦孝亮(スーパーアグリ・フェルナンデス・レーシング/Honda・パノス)は、18番グリッドからのスタート。ピットタイミングをずらすチームの作戦も功を奏して10位までポジションアップ。さらに上位へと進出できるレースを戦っていたが、最後のフルコースコーション中にアクシデント現場へ向かうセーフティ・トラックと接触し、リタイアを喫した。
この結果、フランキッティはランキング3位へと浮上し、Hondaドライバーがウェルドン、カナーン、フランキッティの順でポイントスタンディングのトップ3に並んでいる。ダニカ・パトリックは5回目のトップ10フィニッシュを達成し、ポイントスタンディングを10位につけている。もちろんルーキー・オブ・ザ・イヤー獲得に向けてルーキー間でのポイントトップを彼女は守り続けている。
■ダリオ・フランキッティ(アンドレッティ・グリーン・レーシング) 優勝
「マシンはスタートからずっと速かった。最後の勝負の相手となったのはパトリック・カーペンティア。97年からずっとレースをしてきている相手なので、接触ギリギリの戦いを挑むことができた。第二のホームタウンとなっているナッシュビルのレースで勝てるなんて最高だ。今年の僕らのマシンはずっと速い。Honda Indy V-8も凄く強力だ。しかし、なかなか結果を残せずに来た。クルーたちが喜ぶ姿を見ることができて本当に嬉しい」
■スコット・シャープ(デルファイ・フェルナンデス・レーシング) 4位
「今日のマシンは素晴らしいハンドリングとなっていた。ショートトラック用のマシンとしては、自分のキャリアの中でも最高の部類に入るもので、ゴールを目前にして3位を走っており、前を行くマシンにも近づいて行くことができていた。しかし、周回遅れのマシンに妨害されて4位へとポジションを下げてゴールせざるを得なかった。まったく残念なことだ。エンジニアは素晴らしいマシンを作ってくれているし、クルーたちは素晴らしいピットストップを行い続けてくれている。今後はさらに良い成績を残せるように全力を挙げたい」
■ダニカ・パトリック(レイホール・レターマン・レーシング) 7位
「今日のレースでは、ピットアウト後にタイヤがフルに性能を発揮するようになるまで時間がかかっていた。タイヤが温まった後は、レースでのファステストラップに近いペースで走れていたから、スピードはあった。ただ、タイヤ交換直後や、リスタート直後のスピードアップが今後の課題だ。最後のリスタートでポジションを幾つか落としたのは残念だったけれど、これで8戦連続フィニッシュを果たすことができ、ポイントもさらに伸ばすことができた」
■ロジャー安川(ドレイヤー&レインボールド・レーシング)11位 (リタイア)
「今日はショックアブソーバーが熱によって作動しなくなるのか、非常に苦しい走りになっていました。サスペンションがないクルマのようになっていたからです。それでも、何とか走り続けることができ、11位でゴールできました。次のレースは来週ですし、こうしてクルマを壊すことなくゴールを迎えることができたのは大きいと思います。今回得られたデータを基にチームがセットアップの部分で前進してくれることを期待したいですね」
■松浦孝亮(スーパーアグリ・フェルナンデス・レーシング) 14位(リタイア)
「レースも終盤に入ったところでトップ10入りができていたのに、アクシデントの破片を避けるために前のクルマについて行ってピットロードへと入ったところでマーシャルカーが突然自分の前を横切るように飛び出して来てクラッシュしてしまいました。こんな結果になったことは本当に残念でなりません。救助が重要な仕事であるということは充分に理解しています。しかし、他のレースカーがまだ走っている状態であることを考え、もっと注意をして走ってもらいたいと思います」
■ロバート・クラーク:HPD社長
「Hondaドライバーたちに多くのトラブルが降りかかったレースとなったが、ダリオ・フランキッティ(アンドレッティ・グリーン・レーシング)が今シーズン初勝利を飾ってくれた。今シーズンの開幕から、どのレースにおいても速さを見せていたダリオだったが、不運やアクシデントによってここまで勝つことができずにいた。ここまで不運に見舞われて来たダリオだが、昨日その運は好転をしたのかもしれない。プラクティスで彼のマシンにはハブのトラブルが発生したのだが、そのパーツを交換してレースに臨んだことが今日の勝利に繋がったと考えられる。彼のチームメイトたちは、同じハブのトラブルでリタイアを余儀なくされたのだ。昨日のうちにトラブルが出ていたからこそ彼は勝つことができたのだ。ポイントトップのダン・ウェルドン(アンドレッティ・グリーン・レーシング)、ポイント2位のトニー・カナーン(アンドレッティ・グリーン・レーシング)がリタイアしたことによって、ライバル勢とのシリーズポイントの差が縮まりはしたが、今日優勝したダリオのポイントスタンディングは4位から3位へと上がった。第9戦を終えた時点で、Hondaドライバーたちがポイントの1、2、3位を占めているのだ。マニュファクチャラーズポイントの差も今回広げることができた。今後のレースも開発を休まずに進めているエンジンとともに勝利を重ねて行きたい」