INDY CAR

ダン・ウェルドンがIRL初のロードレース・ウィナーに Honda Indy V-8勢が1-2-3-4-5フィニッシュ

<Honda>
4月3日(日)・決勝
セント・ピーターズバーグ市街地(フロリダ州セント・ピーターズバーグ) 天候:快晴 気温:21℃
Hondaグランプリ・オブ・セント・ピーターズバーグは、IRL IndyCarシリーズにとって初めてのロードコース・イベント、そして、初のストリート・レースとして開催された。フロリダならではの快晴と温暖な気候に恵まれた100周=180マイルのレースでIRL史上初めてのロードレース・ウィナーとなったのは、Honda Indy V-8搭載のダン・ウェルドン(アンドレッティ・グリーン・レーシング)だった。2、3、4位でゴールしたのもトニー・カナーン、ダリオ・フランキッティ、ブライアン・ハータのアンドレッティ・グリーン・レーシング勢だった。1チームが1位から4位までを独占するのは、IRL IndyCarシリーズ史上初めてのことである。5位にはヴィットール・メイラ(レイホール・レターマン・レーシング)が入賞し、HondaグランプリをHondaドライバーがトップ5独占で飾った。 スタート直後から激しいバトルが繰り広げられたストリート・レースは、終盤を迎えてさらに熾烈さを増し、メキシコ湾沿いリゾートに集まったレースファンを熱狂させた。ウェルドンとカナーンのゴールを目前にしたバトルは、チームメイト同士でありながらハードに戦われた。最終ラップまでカナーンは若いチームメイトにアタックを続けたが、ウェルドンがトップの座を保ったままゴールラインを横切った。
開幕3戦で2勝目をマークしたHondaは、マニュファクチャラーズ・タイトル防衛に向けてのポイント争いで単独トップに立った。
アメリカ東部時間の午後3時52分、快晴の空の下でIRL IndyCarシリーズ初のロードレースにグリーンフラッグは振り下ろされた。歴史的な瞬間だった。ポールポジションからスタートしたHonda Indy V-8搭載ダラーラに乗るブライアン・ハータ(アンドレッティ・グリーン・レーシング)は、スタートでその座を守るとレースをハイペースでリードして行った。
ストリートコースならではのアクシデントが序盤から発生し、ピットタイミングがレース展開に大きな影響を与える可能性もあった。しかし、最後には予選から速さを見せ続けていたドライバーたちの勝負となった。特にカナーンの終盤の追い上げは凄まじく、Hondaコーナーと名づけられた左直角のターン10で前を行くマシンを次々とパス。残り10周で切られたリスタートで2位まで浮上していた彼は、ブレーキングの鋭さでインを奪い、ライアン・ブリスコー(ターゲット・チップ・ガナッシ・レーシング)と接触しながらもトップへと躍り出た。しかし、その接触で一瞬加速が鈍ったところを、すぐ背後につけていたウェルドンがパス。残り9周でトップに立ったウェルドンがロードコース・イベント最初のウィナーとなった。開幕戦でも優勝しているウェルドンは、今シーズン最初の2勝目を挙げるドライバーともなった。
今回の優勝によってウェルドンはポイントスタンディングのトップへと躍り出、2位でゴールしたカナーンもランキング2位につけている。
ロジャー安川(ドレイヤー&レインボールド・レーシング)は、予選前日にアクシデントがあった影響でスターティング・グリッドは18位と後方であったことから、粘り強くスマートな走りで上位フィニッシュを狙った。マシンのハンドリング悪化もあり、苦しいレースとなったが、11位でゴールした。
昨年度ルーキー・オブ・ザ・イヤーの松浦孝亮(スーパーアグリ・フェルナンデス・レーシング)は、初のロードレースで予選7位を獲得。レースではスタート直後にポジションを落としたものの、レース終盤にチャージをかけて5位までポジションアップを果たした。しかし、最終コーナーで他車と接触してフロント・ウィングを片方失い、その後には駆動系にトラブルが発生、ゴールまで走り切れず、結果は13位だった。
コメント
■ダン・ウェルドン (優勝)
「Hondaグランプリで勝てたことも、初めてのロードコース・イベントで勝てたことも嬉しい。そして何より、我々アンドレッティ・グリーン・レーシングが1-2-3-4フィニッシュを飾れたことが最高に嬉しい。3位を走っていた時、きっと何かが起こると確信していた。自分の目の前でトップを走っていたライアン・ブリスコーとトニーが接触し、そのすぐ後に僕はトップに立つことができた。その後のトニーとのバトルは厳しいものだった。彼ほどの腕を持った相手と戦うのは大変なんだ。特に自分はブレーキに不安があったので、最後まで彼の前を走り続けることができるかわからなかった。これだけ競争の激しいIRL IndyCarシリーズで、1-2-3-4フィニッシュが達成できるなんて最高だ」
■トニー・カナーン (2位)
「決勝でのマシンはとても良いハンドリングになっていた。そして、僕には素晴らしいチームからのサポートがある。今日の1-2-3-4フィニッシュという結果を本当に嬉しく思う。ダンはラッキーでもあった。しかし、レースで勝つためには何時だって運は必要なんだ。今日は2位となったけれど、チーム全員が力を出し、チームとして最高の結果を得ることができたのだから僕は満足だ」
■ダリオ・フランキッティ (3位)
「今日のレースは素晴らしいマシンで戦うことができた。残念ながらピットで燃料補給のトラブルがあった。燃料を満タンにすることができない事態になっていたため、みんなよりも多くピットストップを行なわなければならなかった。それでも、不利を乗り越えて3位でゴールできた。Hondaは1-2-3-4-5フィニッシュを、アンドレッティ・グリーン・レーシングは1-2-3-4フィニッシュを達成した。これは凄いことだ」
■ロジャー安川 (11位)
「スタート直後はそうでもなかったんですが、徐々にマシンのハンドリングが悪くなったので、そこからは頭を切り替えて完走を目標にしました。アクシデントに巻き込まれないように注意して走っていました。戦っている感覚は得られず、フラストレーションの溜まるレースになりましたが、ストリート・レースではアクシデントが多く、ミスをしてリタイアして行くマシンがあり、11位でゴールできました。ここ2戦は思うように戦えていませんが、次はツインリンクもてぎ。良いレースを戦えた開幕戦と同じ1.5マイル・オーバルですから、早く行きたいですね」
■松浦孝亮 (13位)
「走り始めの路面は自分たちの考えたセッティングに合っていませんでしたが、チームが作戦を考えてくれ、ピットストップも速かったので最後にトップグループへと加わって行くことができました。5位まで上がったところで、突然リヤから煙が出て来て、ピットへ戻ろうと思ったんですが、戻る前にストップしてしまいました。運もないために開幕戦から納得の行く結果を残せていませんが、参戦2年目の今年は自分の走りも大きく成長しており、3戦とも上位で戦えています。次のツインリンクもてぎでも頑張ります。もてぎでこそ良い結果が出せることと楽しみにしています」
■ロバート・クラーク:HPD社長
「今回はIRL IndyCarシリーズにとって初めてのロードレースだった。我々は今シーズンを迎えるにあたって、もてぎ、Indy500、そして今年からシリーズに加わったHondaグランプリ・オブ・セントピーターズバーグに重点を置くことと決めた。我々が今回のイベントのスポンサーになっていることが表している通り、Hondaにとってロードレースはとても大事なものだからだ。レースに向けての準備には万全が尽くされ、勝てる力を持ったエンジンを供給すべくHPDは力を入れた。そして、勝つことだけでも難しいレースで、我々はトップ5を独占することができた。とてもエキサイティングなレースだったし、その結果は嬉しいものとなった。次戦のツインリンクもてぎには、この勝利の勢いを持ち込むことができるだろう」