INDY CAR

松浦孝亮、一時は4位を走行 15番手スタートからトップ10フィニッシュを果たす!

<SUPER AGURI FERNANDEZ RACING>
2005 IRLインディカー・シリーズ第2戦「XMサテライト・ラジオ・インディ200・プレゼンテッド・バイ・アージェント・モーゲイジ」
日程:3月18〜19日
開催地:アリゾナ州フェニックス
サーキット:フェニックス・インターナショナル・レースウェイ
距離:1マイル(1.609km)
■■■3月19日決勝■■■
天候:曇り 気温:18℃ 時間:13:00スタート(日本時間3月20日午前5時)
<雨の予報は外れ、予定どおりレースはスタート>———————–
IRLインディカー・シリーズの第2戦フェニックスは、アメリカ西海岸を覆い尽くした大型の低気圧の影響で雨に見舞われるとの予報が出されていた。決勝日のアリゾナ州フェニックスは朝から雲が低く垂れ込めており、翌日へのレース延期も心配されたほどだった。しかし、幸運にも雨はスタート前にかすかに降っただけで、予定どおり午後1時過ぎに決勝レースはスタート。カラフルなペイントの施された出場22台はグリーンフラッグを受け、200周のハードファイトへと旅立っていった。
<ショートオーバル苦手意識を吹き飛ばす快走>————————-
パナソニックARTA/パノス・Hondaに乗る松浦孝亮は、予選グリッドは15番手だったが、決勝用セッティングには大きな自信を持っていた。ルーキーシーズンだった昨年、松浦とチームは思い通りの成績をショートオーバルで残すことができなかった。ドライバーが新人だったということだけでなく、シャシーをダラーラからパノスへとスイッチしたところにその原因はあった。このオフの間にスーパーアグリ・フェルナンデス・レーシングはサスペンションセッティングを徹底的に見つめ直し、合同テストで多くのコンビネーションをトライ。その効果が今年初のショートオーバルで発揮されたのだ。
ショートオーバルのレースでは、ロードコース的なハンドリングが求められ、戦いもロードコース的なものとなる。本来なら松浦が好むタイプのものだ。しかし、昨シーズンはマシンの問題と、ショートオーバルでアクシデントが続いたことで、ドライバーとして自信を失いかけている面もあった。
チームは2デイイベントの今回、ショートオーバルに対する苦手意識を払拭するべく、オフのテストで蓄積したデータを基に、決勝用セッティングに普段以上に集中するアプローチを採用。それが実って松浦はトップグループを堂々と走って見せたのだった。
<ピットの作戦も的中>——————————————
22台中の15番手からスタートするレースとなれば、トップグループとは異なるピットタイミングでポジションを上げる作戦を取りやすい。序盤に出たフルコースコーションを利用して燃料補給を行い、走れる距離を伸ばしてピットインのタイミングをトップグループとずらすことができれば、レース展開が自分たちに味方する可能性は十分にある。今回のレースでは、15周目に1台がクラッシュ。ここでトップグループがピットへと向かう中、松浦はコース上に留まって14位から6位へと大幅にポジションアップ。この後に出されたフルコースコーションでは全員がピットインする展開となった。15周目過ぎのピットストップは結果的に不要だったのだ。
<終盤のチャージに期待したが・・・・>——————————-
1回目のピットストップを終えても、松浦の順位は4位で変わらなかった。前を走っているのはアンドレッティ・グリーン・レーシングとチーム・ペンスキーという強豪のみという状況がずっと続いた。それだけパナソニックARTA/パノス・Hondaのハンドリングは良く、松浦も自信を持って走ることができていたのだ。燃費も良かった。しかし、116周目に行った2回目のピットストップの後、少しずつハンドリングが悪化し始めた。2回目のピットストップで装着したタイヤにトラブルがあったのかペースが乱れてきた。天候が予報以上の早さで好転したことにより、気温がジワジワと上がってきたことも影響していたかもしれない。松浦は手に余るマシンと格闘し続け、184周目に最後のピットストップを行い、結局10位でゴールした。トップからは2周遅れる悔しい結果となったが、中盤過ぎまでに見せたトップグループに負けない走りによって、松浦は大きな自信をつかんだ。
■■■コメント■■■
<松浦孝亮>
トップ4でフィニッシュできる感覚があった
「120周目までは、自分でも自信の持てる走りができていました。3セット目のタイヤにどんなトラブルがあったのかはわかっていません。空気圧が狂っていたわけでもなかったようです。でも、右リヤタイヤから空気が少しずつ漏れているんじゃないか?という感じで、ハンドリングがどんどんルーズになっていって、もうコース上に留まり続けるのも難しい状態になっていました。120周目あたりのピットストップまでは、そのままトップ4でいけるという感覚を持ってました。オフの間にエンジニアたちがサスペンションを見直して、今年はメカニカルグリップが一段高くなっています。パノスシャシーを一歩高いレベルに持ってくることができているので、難しいショートオーバルで今日のような戦い方も見せることができるようになったんだと思います。トップ10に入れたことは嬉しいし、マシンが良くなっていることが感じられたので、今シーズンのレースでは、ショートオーバルだけでなく、スーパースピードウェイでの走りも良いものにできそうだ、という自信にも繋がりました」
<鈴木亜久里/チーム代表>
ショートオーバルで初めて孝亮は危なげない走りを見せてくれた
「今日はいいレースをしていたね。最終的に10位になったけれど、作戦も良かったし、いい走りを続けていた。クルーたちも頑張ってくれている。今年はピットストップが本当に速くなっている。しかし、3セット目のタイヤに何か問題があったのか、最後でペースが上がらなくなってしまった。それでも、初めてショートオーバルで孝亮はまともなレースを戦っていた。見ていて危なげなかったよ。それが今回の一番大きな収穫だと思う。開幕戦のマイアミもアクシデントになるまでは悪いレースじゃなかったし、今回もタイヤの問題さえ出なければ、という戦いぶりができていた。今後チームがもっと噛み合っていけば、トップ争いに加わっていけるはずだ。チームがまとまってきている」
<サイモン・ホジソン/チームマネージャー>
我々の競争力の高さをはっきり示すことができたレースだった
「最初のフルコースコーションでステイアウトしたのは正しい判断で、コウスケはトップ4を走り続けていた。ピットストップに入ろうとしたタイミングで次のフルコースコーションが出された時には、ピットの入り口がオープンとなるまでにガス欠になってしまう心配もあった。IRLのレースでは、どのような状況でピットがオープンとなるのかが明確でないからだ。しかし、ピットでエンジニアたちがデータをチェックした結果、まだ燃料には余裕があることが判明し、ピットクローズの状態で燃料補給を行ってポジションを落とすこともなかった。その後もコウスケは4位を守り続けたが、搭載している燃料が10ガロンを切るあたりからマシンのハンドリングがルーズになる傾向にあったようだ。今回は、マシンがどのようなコンディションにあるのかをコミュニケーションによって把握するのが難しかった。ショートオーバルでのレースでは、ドライバーはトラフィックをはじめとする多くのことに常に対応し続けなくてはならないため、長いトークは許されない。ドライバーが無線のボタンを押しながら走るのは危険でもある。ウェイトジャッカーの操作をより早く開始することによって、ハンドリングを悪くさせずに済んだのかもしれない。それに気づいてからのコウスケは良い走りを取り戻していた。今回のレースは、コウスケにとってベストの結果とはならなかったが、とてもポジティブに捉えることができる内容だった。レースの中盤過ぎまで我々の持つ競争力の高さをハッキリと示すことができた。開幕戦のリベンジなのか、トーマス・シェクターに押さえ込まれる周回が続いた時もあったが、コウスケはずっと落ち着いて戦っていた」