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松浦孝亮、トップ3フィニッシュを目指すもフロントウイングに痛恨のダメージ


アメリカ自動車産業の首都デトロイトから西に約70マイルに位置するミシガン・インターナショナル・スピードウェイで開催されたIRLインディカー・シリーズ第10戦ミシガン・インディ400において、パナソニックARTA/パノスGフォース・Hondaを駆る松浦孝亮は、予選で自己ベストとなる予選3位を獲得。予選2位だったドライバーが決勝を前にエンジン換装を行ったため後方グリッドへと下がり、松浦は初めてフロントロウからスタートした。

松浦孝亮、トップ3フィニッシュを目指すもフロントウイングに痛恨のダメージ

▽2004年8月2日
■日時:8月1日(決勝)
■開催地:ミシガン州ブルックリン
■サーキット:ミシガン・インターナショナル・スピードウェイ
■天候/気温:晴れ/31℃
 
アメリカ自動車産業の首都デトロイトから西に約70マイルに位置するミシガン・インターナショナル・スピードウェイで開催されたIRLインディカー・シリーズ第10戦ミシガン・インディ400において、パナソニックARTA/パノスGフォース・Hondaを駆る松浦孝亮は、予選で自己ベストとなる予選3位を獲得。予選2位だったドライバーが決勝を前にエンジン換装を行ったため後方グリッドへと下がり、松浦は初めてフロントロウからスタートした。400マイルの長距離レースでは、ピットストップも重要なファクターとなるが、それ以上に重要なのがコース上でのスピードだ。松浦は決勝前のファイナルプラクティスでも2番手のタイムを記録し、万全のセッティングを手に入れた自信とともにスターティンググリッドについた。そして、決勝でも力を遺憾なく発揮し、自己ベストとなる3位でフィニッシュできるだけのパフォーマンスを見せ続けていた。しかし、シリーズ最速コースであるミシガン・インターナショナル・スピードウェイでの戦いは、18度のバンクを使った激しいサイド・バイ・サイドのバトルであり、松浦は終盤、レースでトップ集団を走行中にエリオ・カストロネベスのマシンに接触し、フロントウイングにダメージを受けてしまった。200周のレースが156周目を迎えたところで4回目のフルコースコーションは出された。5位を走っていた松浦は、ピットロードへ最後の給油を行うべく滑り込んだ。この時、目の前でエイドリアン・フェルナンデスがスピン。彼のマシンは松浦の右フロントタイヤ交換を担当するクルーを弾き飛ばした。体勢を立て直したクルーが作業を終えてマシンをコースへと送り返すと、松浦の順位は11位にまで落ちていた。しかし、ハンドリングの良いマシンを手にしていた松浦は、燃費をセーブしながらも再びトップグループへと追いついた。そして、3位争いの集団に加わった。レースが終盤を迎え、バトルがヒートアップしたところでカストロネベスとの接触は発生した。このアクシデントでフロントウイングの左翼端板が外れてしまったために松浦はピットへと向かうこととなった。そして、ノーズ交換を行ってコースへ戻ると3周のラップダウンに陥っており、最終的に17位でゴールした。残念な結果とはなったが、レースを通して松浦とスーパーアグリ・フェルナンデス・レーシングはトップグループで戦い続けることができた。シーズン終盤戦となる残り6戦では、引き続き上位で戦い、目指す成績を残すことができるはずだ。

●松浦孝亮
「マシンもピット作業も良く、負ける要素はなかった。内容のあるレースができていただけに本当に悔しい」
「スタート直後は非常にハンドリングが良かったのですが、50周目から150周目まではアンダーステアが出たり、オーバーも出たりで辛かったですね。自分の走行ラインにも問題があったみたいです。最後のピットストップが終わってからは、アウト側のラインを走るようにしました。そうしたら何台かを抜くことができ、その後はさらに良いレースができていました。最後のピットストップでは、エイドリアン(=エイドリアン・フェルナンデス)がスピンしながら僕の右フロントのメカニックをはねてしまい、逆向きに止まりました。あの瞬間僕もタイヤをロックして、ちゃんとした位置に止まることができませんでした。あれで15秒ぐらいロスをしてしまいましたね。その後は燃費をセーブしながら走っていましたが、どんどんとトップグループに追いついて行くことができました。『これはチャンスがあるな』と思いながら走っていました。最後の残り20周ぐらいの時、エリオ(=エリオ・カストロネベス)がいきなりターン2でアクセルを緩めました。ブレーキを踏まれたぐらいの感じでした。彼の前が詰まっていたのかもしれません。あの周りはかなりゴチャゴチャとしていましたから。その時に自分の左フロントウイングとエリオの右リアが接触してしまい、僕の方はウイングが壊れてしまいました。あのアクシデントがなければトップ5は堅かったと思います。終盤のマシンはハンドリングが良く、予定どおりの感じでトップグループについて行くことができていたんですけどね。本当に悔しいです。すごく内容のあるレースができていました。今回はメカニックも一生懸命やってくれ、クルマも良かったし、ピットストップも良かった。何一つ負ける要素はなかったと思いますが、一番大事な時にふたつドンドンとアクシデントが起こってしまった。レースの最初の方だったら、まだ挽回することができたかもしれません。ウイングが壊れてからのマシンはアンダーステアが強くなっていて、ピットに入るしかありませんでした」

●鈴木亜久里 チーム代表
「あと一歩のところで起きてしまったアクシデントだった」
「エリオ・カストロネベスとのアクシデントは仕方がなかったと思う。ゴールへ向けての勝負が始まるというところだった。最後のピットストップでエイドリアン・フェルナンデスがスピンして、孝亮のクルーがはね飛ばされてしまって、トップグループに引き離された。そこから燃費をセーブする走りをしていたのに、またトップグループに追いつくことができた。今回のクルマはかなり良いハンドリングになっていた。抜き方でも、駆け引きでも、孝亮はかなりレースができるようになってきている。あと一歩のところで起きてしまったアクシデントだった。あと15周ほどのバトルを残すのみだっただけに残念だ。今日はピットストップも良い時があった。まだ全部のピットストップを素早く完了させることはできていないけれど、速く確実に作業を行う力を持っていることは今回のレースで証明できた」
 
●トム・アンダーソン マネージング・ディレクター
「ライバル陣営に我々の実力をアピールできたレースだった」
「レースの終盤にふたつのアクシデントに見舞われた。それが我々のトップ3フィニッシュを阻んだ。しかし、パナソニックARTA/パノスGフォース・Hondaは非常に良いハンドリングに仕上がっており、2位スタートから常にトップグループを走り続けていた。Hondaが素晴らしいエンジンを用意してくれ、ファイアストンも2スティントを走り切れる耐久性の高いタイヤを提供してくれていた。今日の我々のマシンが高い実力を秘めていたことは、最後のピットストップでのアクシデントで大きくポジションを落としながら、トップグループヘと再び追いついたところに表れていた。コウスケは我々の期待していたとおりのレースを戦ってくれた。彼はレースを戦いながらも常に頭を使い、さまざまなことを考えて走っている。今回のレースはフロントウイングを傷めたのが終盤だったため挽回のチャンスを得られなかったが、我々がトップ争いを行うだけの力を持っていることをライバル陣営も十分に理解したはずだ。来週、コウスケはナザレスで、エイドリアン・フェルナンデスはケンタッキーでテストを行う。今回のレースで得られたデータとも合わせ、次のレースでも我々は競争力のあるマシンを作り上げ、上位でのフィニッシュを実現したい」

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