INDY CAR

無線トラブルを乗り越え、9位でフィニッシュ


シーズン後半戦の最初のレースであるナッシュビルは、コンクリート舗装が特徴の 難しいコースでの戦いだ。このコースはタイヤラバーが乗っても、2台が並んだまま余 裕を持って走り続けることを許さないのだ。なぜならタイヤかすの飛び散ったアウト 側のラインには常にリスクが伴うため、オーバーテイクは短時間で迷うことなく行わ なくてはならない。
無線トラブルを乗り越え、9位でフィニッシュ
▽2004年7月18日
■日時:7月17日(決勝)
■開催地:テネシー州 レバノン
■サーキット:ナッシュビル・スーパースピードウェイ
■天候/気温:晴れ/30℃
シーズン後半戦の最初のレースであるナッシュビルは、コンクリート舗装が特徴の 難しいコースでの戦いだ。このコースはタイヤラバーが乗っても、2台が並んだまま余裕を持って走り続けることを許さないのだ。なぜならタイヤかすの飛び散ったアウト 側のラインには常にリスクが伴うため、オーバーテイクは短時間で迷うことなく行わなくてはならない。
第5戦テキサスでメカニカルトラブルに見舞われ、第7戦カンザスではアクシデント によるリタイアを喫している松浦孝亮は、今回のレースでは確実に完走することを第一目標とし、できる限り上位のポジションでゴールすることを目指していた。予選結 果は14位。オーバーテイクの難しいコースであることを考えると、決して良いグリッドではなかった。
レースでの松浦は、パナソニックARTAホンダ/パノスGフォースを予選順位と同じ14 位前後に保ち続けて序盤を戦っていた。今シーズン初めての無線トラブルが発生したのは、1回目のピットストップを行った後だった。まずスポッターの声が聞こえにくく なり、続いてピットとの交信もスムーズに行えなくなった。そして、最終的には松浦の声がピットにもスポッターにも伝わらない事態に陥ったのだ。インディカーレース においてピットストップのタイミングが非常に重要で、レース中にマシンのセッティング変更も行わなくてはならないため、無線の重要性は極めて高い。ミスなく確実に 戦い抜くことを頭に置き走る松浦だったが、突如として大きな困難にも立ち向かわなくてはならなくなった。
しかし、最初のピットストップでフロントウイングを調整したマシンは、決して低 くない戦闘力を持っていた。松浦は徐々にポジションを上げていったが、その戦いは容易なものではなかった。スポッターからの声が聞こえなくなっており、特にリス タートでは慎重な走りを余儀無くされた。接近戦を戦おうとしているドライバーがアウトとインのどちら側から攻めてくるのか、どのぐらいの距離にいるのか。松浦はミ ラーから見える情報だけで判断しなければならなかった。
それでも松浦は終始冷静さを失わなかった。最後のリスタート前にパナソニック ARTAホンダ/パノスGフォースは11位につけていたが、残り12周でふたつポジションを上げた結果、松浦は9位で200周のレースを走り切ることができた。ただでさえ難しい レースで、無線トラブルによりさらに難易度を上げていたのだが、松浦は最後まで我慢強さを保ち続け、キャリア2度目のトップ10入りを実現させた。
松浦のシリーズランキングは、第7戦終了時点の15位から14位へひとつアップ。依然 としてボンバーディア・ルーキー・オブ・ザ・イヤー獲得に向け、トップを保ち続けている。
●松浦孝亮
「本当に一番大事な時にこらえることができた 流れを上向きに戻せたのではないでしょうか」
「スタートする前から少し無線が変だと感じていましたが、30周目ぐらいからまった く無線が聞こえなくなりました。でも今回はイエローが多かったので、イエローの出たタイミングでピットに入れました。イエローの多さに助けられたと思います。無線 が使えなくなるとリスタート後のポジショニングが難しいですね。自分が抜きにいった時や抜かれる時、そして誰が内側にいるのか、誰が迫っているのか全然見えず、本当にかなり難しいレースでした。そんな状況でフィニッシュできてうれしいです。こういう時こそ正確に走るべきだと思いました。フィニッシュまでクルマを確実に運ぼうと考えていましたが、最後はやっぱり勝負にいきリスタートから何台かをドンド ン抜くことができた。あの時は気持ちが良かったです。最後にウイングを2段階上げて欲しいと伝えたかったんですが、無線が使えずピットには聞こえなかったため、結局ウィングを変更することができませんでした。ピットは1回ミスがありましたが、 その後はポジションを上げられる速いストップをしてくれました。マシンのハンドリングは130周から170周目ぐらいまで使用したタイヤが少しフィーリングが悪く、少し 遅かったですね。最後のセットは良かった。ギアも少し低過ぎたためにペースが上げ切れなかったところもありましたが、この難しいサーキットで完走、そして9位。トッ プ10フィニッシュができたのは嬉しいですね。ここ数戦ずっとテキサス、リッチモンド、カンザスと少し不運が続いて悪い状態だったので、ここでクラッシュや15位以 下の結果で終わったのであれば、さらに流れが悪くなると思っていました。しかし今回こうしてフィニッシュができて良かった。本当に一番大事な時にこらえることがで きたと思っています。なんとか流れを上向きに戻せたのではないでしょうか。次戦ミルウォーキーでもう一回踏ん張り、ミシガンでトップ3入りしたい」
●トム・アンダーソン マネージング・ディレクター
「コウスケはとても冷静に、スマートに走り続けた チームもコウスケも大きく成長を遂げることができたと思う」
「今日の我々はいくつかのトラブルに見舞われたが、チーム全体が力を合わせて乗り 越え、9位という結果を得ることができ大変うれしい。無線にトラブルが起き、我々の声がイエローコーション中だけしか聞こえない難しい状況となっていた。しかしコウ スケはとても冷静に、スマートに走り続けた。彼の走りは本当に素晴らしかった。今回は2デイ・イベントで、昨日の時点でのマシンセッティングは期待通りのものにはで きていなかった。しかし、レースに向けてセッティングを直した結果、まずまずの力を持つマシンにすることができた。ピットストップではフロントタイヤが外れず、長 い時間がかかってしまったが、その後の2回でポジションを取り戻すことができた。難しいコースでの戦いを通じて、チームもコウスケも大きく成長を遂げることができた と思う」
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