<US-RACING>
■マシン・セッティングとレース展開を読む目が大切
500マイルのレースは、ミシガンでのU.S.500と同様、変化していく路面に対応できるマシン・セッティングが求められる。ドライバーは、路面の変化や、搭載燃料が減るに従って変わるハンドリングに、4輪にかかる重量を変化させる“ウェイト・ジャッカ−”と、前後のスタビライザーを調整して対応しなければならない。同時に、無線でチームと交信しながらハンドリングの状況を伝え、次のピット・ストップでフロント・ウィングの角度、リア・ウィングのガーニ−・フラップの高さ、タイヤの空気圧を変更するのだ。
ピット作業では、フロント・タイヤを交換するクルーがウィングの角度変更をするか、しないかチェックしよう。何もしない場合は、マシンのバランスがとてもよい状態。逆に、何回もノーズにあるノブを回してる場合は、ハンドリングでかなり苦しんでる証拠だ。
■最終戦プレビュー
3月に開幕した2000年CARTシリーズもついに最終戦を迎えた。毎回激しい戦いが繰り広げられ、タイトル争いはCART史上最も僅差という状態で最終戦まで縺れ込んだ。
1997年に始まって以来、毎年最終戦となってきたカリフォルニア州フォンタナでのレース。過去3年間のポールポジションとウイナーは以下のとおりとなる。
ポールポジション:ウイナー
1997:マウリシオ・グージェルミン(メルセデス・レイナード):マーク・ブランデル(メルセデス・レイナード)
1998:スコット・プルエット(フォード・レイナード):ジミー・バッサー(ホンダ・レイナード)
1999:スコット・プルエット(トヨタ・レイナード):アドリアン・フェルナンデス(フォード・レイナード)
・コース全長2マイル、Dシェイプオーバル・スーパースピードウェイ
・ コースレコード:240.942mph(1997年マウリシオ・グージェルミン)
・ レースレコード:2時間57分17秒(1999年アドリアン・フェルナンデス)
また、今シーズンのオーバルコース(計8戦)での成績は
ポールポジション:ウイナー
開幕戦ホームステッド:ド・フェラン(ホンダ・レイナード):パピス(フォード・レイナード)
第3戦リオ:タグリアーニ(フォード・レイナード):フェルナンデス(フォード・レイナード)
第4戦もてぎ:モントーヤ(トヨタ・ローラ):アンドレッティ(フォード・ローラ)
第5戦ナザレス:モントーヤ(トヨタ・ローラ):ド・フェラン(ホンダ・レイナード)
第6戦ミルウォーキー:モントーヤ(トヨタ・ローラ):モントーヤ(トヨタ・ローラ)
第11戦ミシガン:トレイシー:モントーヤ(トヨタ・ローラ)
第12戦シカゴ:モントーヤ(トヨタ・ローラ):ダ・マッタ(トヨタ・レイナード)
第17戦セントルイス:モントーヤ(トヨタ・ローラ):モントーヤ(トヨタ・ローラ)
この中でも今回のフォンタナとほぼ同形の2マイル・スーパースピードウェイで、レース距離も同じ500マイルレースの第11戦ミシガンでは、モントーヤが優勝。モントーヤは第6戦ミルウォーキーと第17戦セントルイスでポールtoウィンを飾るなど、オーバル戦ではその強さが目立つ。IRLシリーズのインディ500における優勝も含めて、トリプル・クラウン達成なるか?
注目のタイトル争いは、ド・フェランが前戦でリタイアに終ったものの、ランキング2位から4位までが同様にリタイアしてしまったため、ド・フェランがポイントリーダーのまま最終戦を迎えることになった。しかしド・フェランのオーバルにおける戦績は、今年のナザレスで初優勝しただけであり、500マイルレースの最上位は1997年のミシガンにおける3位。ポールは昨年の日本で獲得した時が初のオーバルにおけるポールであり、今年の開幕戦は2度目のオーバルポールだった。
一方、第19戦のサーファーズパラダイスで優勝し、わずか5ポイント差で現在ランキング2位につけるフェルナンデスも勢いに乗っているだけに、確実に優勝を狙ってくるだろう。昨年の最終戦の覇者であり、500マイルレースでの優勝はこの1回のみ。しかしオーバルでの優勝は日本で獲得した2回を加えて計3回。また、同タイプのオーバルであるミシガンで1998年にポールポジションを獲得している事にも注目したい。
そして大逆転でチャンピオンを狙うランキング3位と4位、同ポイント(134点)のトレイシーとブレックからも目が離せない。二人はトップから19ポイント差、ランキング2位からは14ポイントさと厳しい状況にあるが、500マイルと言う長丁場を考えれば、絶対に不可能だとも言い切れない。ちなみにトレイシーは未だ一度も500マイルで勝利した事がない(オーバルでの優勝は6回)が、ブレック(CARTでは未勝利)はIRL参戦時に1999年のインディ500で優勝した経験を持っている。
ランキング5位と6位、131点でこちらも同ポイントとなっているモレノとバッサーは、トップのド・フェランと22ポイント差。1回のレースで獲得できる最大ポイントが22点であり、ポールポジション(1点)と最多リードラップ(1点)、優勝(20点)とパーフェクトな週末を送らなければならない。
しかしバッサーの場合、ド・フェランにポイントで並んだとしても、優勝回数は同じでも2位の獲得回数がド・フェランより少ないため、チャンピオンになることはできない。モレノは上位フィニッシュの回数でド・フェランを上回るため、その可能性がわずかに残されているが、ド・フェランが1点でもポイントを獲得した時点でタイトル獲得の望みが消えてしまう。よってタイトルはランキング5位のモレノまでがその可能性を持つことになる。