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CARTチャンピオンシップ・シリーズ 第17戦 ゲートウェイ【決勝】レポート

<US-RACING>
3日間とも快晴となったセント・ルイス、このゲートウエイは来年以降のCARTのスケジュールから外れることがすでに決定しており、今年で最後のレースとなる。気温26度、路面温度48度というコンディションの中、午後1時41分にグリーンフラッグ。今シーズン最後のショートオーバルで、236ラップのレースがスタートした。

トヨタ初のフロントロウ独占となった今回、モントーヤとバッサーのターゲット/チップ・ガナッシ・コンビは序盤からワン・ツー体制をガッチリとキープしながらレースをリード。これにセカンドロウからスタートしたチーム・クール・グリーンのトレイシーと、フランキッティのコンビが続く。

その背後には6番手からスタートしたカナーンが、オープニングラップで5番手スタートのカーパンティエをパス。メルセデスにとっても、このレースはCARTで最後のショートオーバルであり、なんとしても上位で入賞したい。その後トップグループはこのオーダーのまま、順位に大きな変動無く序盤のレースが展開していく。

26周目、フランキッティのマシンが突如ハンドリングに問題を抱え、スローダウン。フランキッティはポジションを大きく落としてしながらも、ピットインしてハンドリングの改善を試みるが、その後にギアボックスのトラブルにも見舞われてしまい、結局リタイヤに終わってしまった。

その間、2位を走っていたバッサーは、29周目にこれまで独走していたチームメイトのモントーヤが、やはりハンドリングの悪化でペースが落ちた隙をついてパス、トップに躍り出た。しかしモントーヤも負けずに抜き返し、チームメイト同士でサイドバイサイドのバトルが何度も展開、そのたびに観客から大声援が上がる。

レースも60周目に入り、ここまで3位をキープしていたトレイシーを皮切りに、トップグループはこの日1回目のピットイン。このピットインを挟んでリーダーの座に着いたのは、なんとこの日15番グリッドからスタートしていたアンドレッティだった。アンドレッティはレース序盤、周回重ねるごとに着実にポジションアップし、ピットイン前の時点で5番手までアップしていたのだ。

このピット終了時点でのオーダーは、トップのアンドレッティにモントーヤ、トレイシー、バッサー、ド・フェランらが続く。レース中盤はこのオーダーのまま展開するが、トップのアンドレッティは後続をどんどん引き離し、なんと3位のトレイシーまでも周回遅れにしてしまうほど、他をまったく寄せ付けない圧倒的な速さを見せる。レースが170周を越えた時点で、アンドレッティの視界には2位を走るモントーヤまで入っていた。

ところが190周を越えたあたりから、アンドレッティのマシン背後からスモークが上がっているのが目立ち始める。アンドレッティはマシンがこのままもつことを祈りながら必死にドライブするが、その祈りもむなしく196周目にとうとうマシンから出火。無念のリタイヤで、前戦に引き続きノーポイントに終わってしまった。

これで再びトップに立ったモントーヤは、2位のトレイシーに20秒以上のリードを築き、3位のカーパンティエ以下を周回遅れにする独走態勢となる。レースも終盤を迎えた208周目、トップのモントーヤを追っていた2位トレイシーは、ターン3で突然シフトチェンジができなくなってしまい、コントロールを失ってマシンが大きくスライド。コンクリートウォールに接触し、サスペンションにダメージを与えて戦線離脱。痛恨のノーポイントとなってしまった。

それまでまったくイエローコーションがなかった今回のレース、ここでやっとそれぞれのマシンの差が無くなり、周回遅れの2位だったカーパンティエはグリーンと同時にモントーヤの前へ。燃料を積んだばかりのカーパンティエはここから燃料を一番濃い状態にして独走。追う必要のないモントーヤは、燃費をセーブするためにマイペースを崩さない。そしてカーパンティエはやっとモントーヤと同一周回になったものの、時すでに遅し、今度は自分が周回遅れに行く手を阻まれてしまい、トップのモントーヤに追いつくことができない。

2位のカーパンティエ以外はすべて周回遅れのまま、モントーヤは余裕のクルージングでチェッカードフラッグ。トレイシー、カストロネベスに続いて今季3勝目を挙げたドライバーとなった。2位はカーパンティエがミルウォーキーに次ぐ表彰台を得、3位は終盤に圧倒的な追い上げを見せたモレノが入る。

気になるチャンピオンシップ争いの行方は、ポイントリーダーのド・フェランが8位でフィニッシュ。5ポイントを獲得して総合137ポイントとし、アンドレッティ、トレイシーといった上位陣がリタイアしたために、依然ポイントスタンディングでトップの座を維持することができた。

このド・フェランに次ぐのは今日のレースを3位でフィニッシュしたモレノで、14ポイントを獲得して総合129ポイント、ランキング6位からいっきに2位まで浮上してきた。ランキング3位には2ポイント差でアンドレッティ、さらに5ポイント差でトレイシーが4位につける結果となり、どのドライバーもまったく気が抜けない状況だ。

トヨタにとって、今回オーバルコースで4連勝達成となったが、優勝以外にも4位、5位、7位と上位を占める。フォードが2位と3位に入り、ホンダが8位と9位に終ったため、マニュファクチャラーズランキングで285ポイントとなったフォードが、274ポイントに終わったホンダを抜いて再びトップを奪い返す。

CART最後のショートオーバルとなったメルセデスは、13位が最高位という結果になった。残り3戦はストリートが2戦、オーバルが1戦となっており、ストリートを得意とするホンダが巻き返す事ができるか? それとも勢いに乗るモントーヤがトヨタにストリートの初優勝をプレゼントすることになるのか?

シーズン残り3戦を残してタイトル争いが混沌としてきたFedExチャンピオンシップシリーズ。次回のレースは10月1日にテキサス州のヒューストンのストリートコースで開催される“Texaco/Havoline Grand Prix of Houston”だ。ドライバー、チーム、そしてエンジンマニュファクチャラーの中で、果たして最後に笑ういったい誰になるのだろう。

●優勝したファン・モントーヤのコメント
今日は本当にマイケルから贈り物をもらったような気分だよ。去年ボクはここでガス欠になってしまって勝利を逃してしまったけど、今年はその逆だね。 それにしてもマイケルの今日のマシンはズバ抜けて速かったよ。 彼らは今日本当にもったいないことをしてしまったね。 シーズンは何が起こるかわからないから、残りのレース全力で戦って、 勝ちに行くよ。

●2位に入賞したパトリック・カーパンティエのコメント
今日の結果にとても満足しているよ。 マシンは基本的にいい仕上がりだった。中盤ちょっとアンダーステアが出たけどね。 そして終盤マシンはとてもいいバランスを見せて、後10ラップもあればファンを捕らえることができたんじゃないかな。

●3位に入賞したロベルト・モレノのコメント
ボクはファンタスティックなチームと一緒にレースをすることができて本当に良かった。 今週、マシンの仕上がりは決していいものではなかったけど、レース中にもクルーがいろいろとやってくれて調整してくれて、かなり改善されたんだ。この結果は、とにかくあきらめないで努力を怠らなかったおかげだね。