INDY CAR

第16戦ボルティモア決勝を制したのはパジノウ、佐藤琢磨はエンジン・トラブルでリタイア

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6回のフルコースコーションが発生し、全75周の3分の1、計25周もイエローとなった3年目のボルティモア。大波乱のレースを制したのはサイモン・パジノウで、デトロイトの第2レースで初優勝を遂げて以来、通算2勝目を達成しました。予選3位からスタートした29歳のフランス人ドライバーは、新品のレッドタイヤでスタートし、残りの2スティントで新しいブラックを装着。最後のバトルはブラック・タイヤでの走行でした。
 

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「今日はレッド・タイヤとブレーキに少し問題があったけど、素晴らしいセットアップのおかげで勝つことができたよ」と語ったパジノウ。「2回目のイエローでブレーキを冷やすことができて、助かった。タイヤを交換した後の再スタートでは、幸運にも右側にいたおかげでクラッシュに巻き込まれず、6つか7つポジションを上げたんだ」
 

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「よし、これが2度目の勝つチャンスだって思った。ポイントのためには、この週末調子が悪かったマルコよりも先にフィニッシュしたかったし、ディクソンやパワー、フランキッティもリタイアしてたから、今日は僕の番だって思ったね。できることはすべてやろうって思い、とてもアグレッシブに走ったし、報われて良かった」
 

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「ペンスキーやガナッシ、アンドレッティといったチームと戦うのは大変な仕事だ。うちは彼らのチームのようにたくさんのスタッフはいないけど、優秀なスタッフはいるし、問題が何かを理解して、何時間も働いている。我々は次のヒューストンもバンピーでコンクリートがあることを知っているし、今週見つけたものがきっと役に立つと思う」
 

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2位はサラ・フィッシャー・ハートマン・レーシングのジョセフ・ニューガーデンで、今回がインディカーで初めてのボルティモアながら、初の表彰台獲得となりました。「インディライツの時も2位で、今回が2度目、本当にボルティモアが好きだね」と語った2011年のインディライツ王者。「最後にサイモンとバトルしたかったけど、僕もブレーキに問題を抱えていた。このような機会をあたえてくれたチームに感謝するよ。彼らがいなかったら僕はインディカーに乗れなかったからね」
 

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3位でフィニッシュしたのは、なんと22番グリッドからスタートしていたセバスチャン・ブルデイ。トロントで2戦連続表彰台を獲得していたチャンプカーの4年連続チャンピオンは、ブラック・タイヤでスタートして13周目の最初のコーションにピットへ。32周目にトップへ躍進したブルデイは、次のピットをコーションの直前となる40周目に終わらせ、最後まで走り切る大胆な作戦を採用。パジノウと激しいフランス人同士のバトルも披露しました。
 

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注目のチャンピオン争いですが、ポイントリーダーのエリオ・カストロネベスはスタートでニューガーデンに接触し、フロント・ウィング交換のためピットへ。最後尾まで転落することになり、ここから彼の追い上げが始まりました。途中ピットでクルーに接触してドライブスルーのペナルティを科せられたり、多重クラッシュに巻き込まれるなど、様々なアクシデントの中を生き残って9位でゴール。12戦連続のトップ10フィニッシュです。
 

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一方、レース前の39ポイント差を、ポールポジション獲得で38点差にしていたランキング2位のディクソンは、スタート後のターン3でパワーに先行を許し、48周目にグラハム・レイホールに追突されてスピン。4番手を走行していた53周目の再スタート時には、ターン1の進入でイン側に入ったところ、その前にいたパワーが突然進路を変更して2台は接触してしまいます。パワーはピットへ戻ったものの、オフィシャルはディクソンのマシンをピットに戻すことなくその場でリタイアとなりました。
 

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この写真はピットに戻ってきたディクソンが、パワーに詰め寄るのかという場面ですが、結局オフィシャルと話をしただけでした。パワーはコメントで謝っていたものの、結果的に今回もチームメートのカストロネベスを助ける形になってしまい、ディクソンは釈然としない様子です。前回のピットストップもそうでしたが、故意かどうかは誰にもわかりません。これで二人の差は49点に拡大、残り3戦で逆転はできるのか、この点もこれから注目していきたいものです。
 

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大波乱のレースとなった今回、最初の驚きはなんといっても佐藤琢磨でした。朝のウォームアップではブラックタイヤで上位を走行し、最終的に8位だったものの順調な仕上がりを見せていました。レースではスタート直後に7番手まで躍進し、さあこれからという時にエンジンから異音が発生。エンジン内部が破損し、何の兆候もなく突然パワーがダウンしたそうで、2戦連続のリタイアを余儀なくされたのです。
 

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「ウォームアップではブラックタイヤの調子もよく、今日はようやくいけそうだという手ごたえをつかんでいました」と語った琢磨。「スタート時にはアクシデントに巻き込まれないように注意し、第3コーナーで外側からポジションを上げることができました。4周目に入ったところでいきなりパワーダウンして駆動力を失い、ミクスチャーのセッティングを変えたりしてエンジンが復活しないかなといろいろやってみたのですが、だめでした。エンジンの内部が壊れたようです。今日は走りたかったので、ほんとうに残念でした」
 

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撮影していて、エンジン音がおかしいというのはすぐにわかりました。まさかとは思ったのですが、すぐに来なくなったので、今回も頭の中が真っ白になりましたね。前回はクラッシュに巻き込まれ、今回はエンジン…。やはり本人が一番つらいとは思いますが、現場まで行っている我々としても、ほんとうに言葉にならないほどのショックでした。唯一の救いと言えば、本人が次のヒューストンに向けて前向きになっていることで、今季最後の市街地コースで今度こそ思う存分走って欲しいと思います。
 
●決勝公式リザルト

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●決勝ハイライト映像

●ウォームアップ・リザルト

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●ウォームアップ・ハイライト映像