INDY CAR

カーペンターが最終戦を制し、ハンター-レイがチャンピオンに。佐藤琢磨は7位フィニッシュ

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「USA、USA、USA…」2012年シリーズ・チャンピオンのステージに立ったR.ハンター-レイ(シボレー)が星条旗を広げると、どこからともなく始まった観客のUSAコール。06年のS.ホーニッシュJr.以来となるアメリカ人チャンピオンの誕生に、カリフォルニアのファンが沸きました。
 

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「夢がかなったよ。6歳の頃からチャンピオンになりたかったんだ。まだ信じられない」と喜ぶ新王者。ライバルのW.パワー(シボレー)の脱落により、すんなりと決ったかのように見えがちですが、その道のりは決して平坦ではありませんでした。「この週末、我々はずっと苦闘していた。まるで深い森の中にいるようだった」
 

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チームメートのマルコ・アンドレッティがポールを獲ったものの、予選は17位。さらにエンジン交換のペナルティで、ハンター-レイは22番グリッドからの追い上げを余儀なくされたのですが「始まってすぐの状態は悪く、ピットストップのたびに調整し、少しずつ良くなっていった」とチーム・オーナーのマイケル・アンドレッティは振り返ります。
 

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レース前に17点リードしていたW.パワーは、55周目のターン2でアスファルトの継ぎ目でリアが流れ、まさかの単独スピンによってクラッシュ。右後方を走っていたハンター-レイはぎりぎりで回避し、この時点で彼は6位以上に入ればチャンピオンが確定する状況になりました。
 

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ところがチーム・ペンスキーは空いているクルーが総出でマシンを修復し、すでに着替えていたパワーは再びレーシングスーツをまとって124周目にコースへ復帰。65周でリタイアしたEJビソよりも1周多く走れば順位が上がり、2ポイントを追加できます。するとハンター-レイは5位以上のフィニッシュが必要となるのです。
 

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「彼ら(ペンスキー)には脱帽だ。これでいっそう大変な状況になったからね」と本音をもらしたマイケル。最後、ハンター-レイは佐藤琢磨との4位争いとなり、「5位でもチャンピンは獲れたから、佐藤(琢磨)を前に行かせても大丈夫だと無線で言った。その後ろにはまだギャップがあったからね。でも次の瞬間、周りから叫び声が上がったんだ」
 

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最終ラップで二台はほぼ並んでターン2へ入ったところ、イン側の佐藤琢磨がパワーと同じようにターン2で継ぎ目に乗ってスピンし、クラッシュ。またしてもアクシデントを回避することができたハンター-レイは、そのまま4位でフィニッシュしてタイトルを決め、同時にオーバル・チャンピオンも確定しました。
 

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03年にチャンプカーでデビューし、2勝しながら06年にシートを失う状況に見舞われたハンター-レイ。07年途中からレイホール・レターマンのシートを得、翌年1勝するもシートを再び喪失し、09年はビジョン・レーシングやA.Jフォイト・レーシングで戦ってきた苦労人でもあります。
 

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やっとアンドレッティに認められてチーム入りした10年、11年と1勝ずつ挙げたハンター-レイは、今シーズン最多となる4勝をマーク(通算9勝)。ミルウォーキー、アイオワといったショート・オーバル以外に、トロント、ボルティモアといった市街地でも優勝しました。
 

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3年目のタイトル争いは3点差で敗れたパワー。しかし「僕はオーバルで今年3回もクラッシュしたのに対し、彼はどのコースでも勝った。十分にチャンピオンの資格がある」とハンター-レイを賞賛。「去年までのパック・レースは楽しめなかったけど、ドライバーの重要さが増したテキサスと今回のレースで、オーバルがさらに楽しくなってきている。来年こそタイトルを獲りたいね」
 

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29回もトップが入れ替わる激しい展開となったレースを制したのは、最多となる62周をリードしたE.カーペンター(シボレー)。今年からオーナー・ドライバーとして参戦し、昨年のケンタッキー以来となる2勝目をマークしました。ガナッシのチャンピオン・コンビをおさえての勝利です。
 

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「11月に始まったばかりのチームだから、素晴らしい気分だよ」と喜ぶカーペンター。今年、我々はオーバルで勝つことに挑んできたし、最後に達成できた」と、最初からオーバルを狙っていたようです。「かつてチームメートだった友人のライアン(ハンター-レイ)がチャンピオンになって、ほんとうにハッピーだ」
 

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ハンター-レイの隣、21番グリッドからスタートした佐藤琢磨は、燃費をセーブしながらどんどん順位を上げ、ぎりぎりまでピットを遅らせて38周目にトップへ躍進! 全車の中で最も遅い40周目にピットへ入り、再び追い上げて150周目に再度トップへとのぼりつめます。
 

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5回目のピットも全車中最長の152周目まで伸ばした琢磨は、常にトップ5をキープする走りで終盤に突入。223周目に最後のピットを終え、227周目にはファステストをマークして翌周に3度目のトップに返り咲きました。
 

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しかし241周目のT.カナーンのクラッシュでイエローが発生し、INDYCARはグリーンでフィニッシュさせるためにここで赤旗を出して一時中断。前回の再スタート時からエンジンに不調が出始めていた琢磨は、最後のグリーンでも同じ症状でスピードが伸びずに5番手までダウンし、そのまま最終ラップに突入します。
 

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ストレートからターン2にかけて、前のハンター-レイのイン側に飛び込んだ琢磨。ところがパワー同様アスファルトの継ぎ目に乗ってスピンを喫し、壁にヒットして今万事休す。無念のリタイアではありましたが、トップと同一周回が6台だったため、今季最後のリザルトは7位となりました。
 

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「大幅にセットを変えたマシンの調子が良く、いっきに追い上げることができました」と序盤を振り返る琢磨。「気温が下がった終盤はトップスピードに少し苦しみ、赤旗の前の再スタートからはエンジンが息つきを起こしてしまい、順位を落としてしまいました」
 

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最後のスピンに関しては、「正直解らないです」と琢磨。「レーンチェンジをしている時にグリップを失ってしまったようで、路面の継ぎ目を補修した所だと思います。ほんとうに突然のことで、残念でした」
 

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3年目のシーズンを終え、「最終目標は達成できなかったので、僕としては悔しさが残る結果になってしまいましたけど、全体を見れば、チームが復帰する年に一緒にやれたのはとても大きな経験になりました。来年もこのチームで走れるよう、がんばっていきたいと思っています」と琢磨。早く吉報が届くことを祈りましょう!
 

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ついに今年最後のレースが幕を閉じました。40度近かった気温同様、タイトル争いも含めた最終戦はゴールまでヒートアップし、とてもエキサイティングでしたね。今回のUSTREAM決勝レポートは今晩22時30分からお届けしする予定ですので、ぜひご覧ください!
 
●決勝リザルト

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