Roger Yasukawa's

開幕直前! テストで明らかになったドライバー&チームの実力(前編)

画像先週バーバー・モータースポーツ・パークで行なわれたオープンテストが無事に終了。いよいよ来週末にIZODインディカー・シリーズ(IICS)の開幕戦が、ブラジル・サンパオロの市街地コースで行なわれます。待ちにまった今シーズン、各チームやドライバーが、どのようなパフォーマンスを見せてくれるのかが楽しみですね。今回のテストを通して僕が感じたそれぞれの仕上がり具合を、2回にわたって紹介したいと思います。
バーバーでのオープンテストを見る限り、今年もやはりペンスキーVSチップ・ガナッシの戦いになることは間違いなさそうです。ペンスキーは3台体制に拡大し、去年スポット参戦で大活躍したウィル・パワーがフル参戦ドライバーに返り咲きました。

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ウィル(写真↑)は昨年のインフィニオンで起きたプラクティス中の事故のケガから完全復活し、オープンテストではダントツのトップ・タイムを記録。チャンプカー時代にチーム・オーストラリア(ウォーカー・レーシング)で走っていたときの担当エンジニアだったデビッド・フォースティーノがKVレーシングから移籍してきたので、最初のテストからうまく歯車が噛み合ったのでしょう。顔つきもペンスキー・ドライバーらしく自信に満ちあふれ、キリッとしたオーラを感じとる事ができました。

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先週のアラバマ州の天候は異常気象で、低気温のために路面温度が上がらずテストの時間が短縮。それでもペンスキーの3台は限られた時間の中でしっかりテストメニューをこなし、最後にはワンツースリーのタイムを叩き出しました(写真↑)。3台から得られるデータを有効活用し、さらにチーム力がアップしています。コーナーでマシンの動きを観察したら、ペンスキーの3台は格別に良い動きをしていました。マシンが自らコーナーに入り込んでいくように見えて、ロードでも市街地でも速いマシンを作り上げることに成功しているようです。

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去年、最終戦の大逆転劇でタイトルを奪ったチップ・ガナッシ勢は、オープンテストで少し元気が無いように感じられました(写真↑)。2日目のセッション開始直後には、ダリオが高速コーナーで大クラッシュ。幸いケガはなかったものの、事故の詳細について多く語らないところを見ると、何らかの極秘開発パーツが壊れたのかもしれません。セッション終了間近にスコット・ディクソンは4位までタイム・アップしましたが、ペンスキーのトリオを倒すには昨年以上のパフォーマンスを発揮しないといけないということを、彼らは実感したのではないでしょうか。

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2強のすぐ後ろにつけたのは、ロード・コースを得意とするジャスティン・ウィルソン(写真↑)。今年は僕の古巣でもあるドレイヤー&レインボールド・レーシング(DRR)に移籍しました。同じくロード・コースを得意とするマイク・コンウェイのチームメートとなり、今年はこの2人がロードや市街地で活躍するような予感! ジャスティンはセットアップ能力もすごく高いので、チームのレベルがかなり上がることが期待されます。開幕戦のブラジルでは、昨年までインディ・プロ・シリーズに参戦していた女性ドライバー、アナ・ビアトリスを3台目として走らせることが決定しています。オーナーから「インディ・ジャパンでの枠はまだあるよ」と言われているだけに、僕もなんとかスポンサーを獲得して今年も参戦できるように頑張ろう!!!!

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さて、去年ルーキー・オブ・ザ・イヤーを獲得したラファエル・マトスは、今回のテストで苦戦しているように見えました(写真↑)。今までペンスキーの兄弟チームとも言われていたルクソ・ドラゴン・レーシングは、今年からジル・ド・フェランが共同オーナーとなって加入し、チームのマネージメントに関わっていきます。ジルはペンスキーに所属していたドライバーですから、勝つための法則というのを知っています。チームを強化してくれるであろう彼のアドバイスは、大きな財産になるでしょう。

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今回のテストの1週間前にコンクエスト・レーシングと契約を交わし、大急ぎで用意をしてテストに臨んだのがマリオ・ロマンチーニ(写真↑)。ダリオやラファエルと同様、濃い顔のロマンチーニは遠くから見ても一目でわかりますね(笑)。ブラジル出身の彼はルーキーと思えない走りで、初めての合同テストでトップ10入り。エンジニアには、昨シーズン前半戦までDRRに所属していて、その前にはフォーサイス・レーシングにいたマイク・ポラウスキーが担当。オーバルでは苦戦すると思われますが、ロードや市街地では光るパフォーマンスが見られるような気がします。

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HVMレーシングは昨シーズン中にロバート・ドーンボスと契約したと発表があったにも関わらず、なぜかロバートはテストにも現れませんでした。そして、そのシートを獲得したのは昨年までフォーミュラ・アトランティックに参戦していた、シモーナ・デ・シルベストロ(写真↑)。すでにセブリングでテストをした時は、チームが彼女のパフォーマンスを絶賛していただけに、今回のテストでも期待どおりの仕事をしてくれました。シモーナもオーバルでは苦戦するような気がしますが、ロードや市街地ではシモーナVSダニカのバトルも面白くなりそう。テストではダニカを上回ってましたからね。
というわけで前半はここまで。次回、後編は注目の日本人ドライバーである佐藤琢磨&武藤英紀、アンドレッティ・オートスポーツなどのレポートをお届けしまーす。