今回からこのコラムを担当させていただくことになった新井宣之と申します。「誰だおまえ?」って思われる方も多いかとは思われますが、詳しくはわたくしのプロフィール欄をご参照いただければ……、えっ、そんなものはない?
うーむ、ならば、簡単に自己紹介を。元々レーシングオン、F1速報、F1der編集部で編集部員としてレースに関わって来たのですが、2003年からインディ・カーを中心にアメリカン・モータースポーツの取材をはじめました。これからこのコラムで取材先での出来事や、アメリカンモータースポーツに関する興味深い話や噂などなどを随時紹介してまいりますので、お暇がありましたら、ぜひぜひ“クリック”してください。
この原稿は、NASCARネクステルカップ第30戦の舞台アラバマ州にあるタラデガ・スーパースピードウェイのプレスルームで書いております。今年のタラデガはとにかく話題が豊富で、そのあたりの話を中心にと最初は思っていたのでありますが、ちょうど2日前にIRLから興味深い発表があったので、まずはそちらのネタを栄えある(?)第1回目のコラムのトピックスに取り上げさせていただこうと思います。タラデガでの話題は来週のコラムで紹介するので、楽しみに待っていてくださいね。
さて、引っ張りに引っ張った感のある、栄えある(しつこい?)第1回目のコラムの話題ですが、IRLの新しいレース賞金額についてちょっとお話させていただこうと思います。
IRLは10月2日、プレスリリースを通じて、2008年のインディ500、並びにシリーズ全体の賞金額を大幅に引き上げることを発表したのであります。その気になる金額ですが、まずインディ500の賞金総額が1067万ドル(1ドル=115円で12億2705万円!!)から1340万ドルに大幅値上げ。伝統のミルクを口にできる栄光の“500ウイナー“”の優勝賞金は、何と最大で250万ドルまで獲得できるとのこと。ちなみに、91回もの長き歴史を持つインディ500で最も賞金を稼いだのが、2004年のバディ・ライスで176万ドル。つまり、およそ42パーセントも優勝獲得賞金が値上がりしたってぇわけです。ちなみに、現在アメリカで最も人気のあるモータースポーツカテゴリーにのし上がったNASCAR最大のイベント、デイトナ500で今年優勝したケビン・ハービックの稼いだ総額は約151万ドル。これと比較しても、IRLを管轄するIMS(インディアナポリス・モーター・スピードウェイ)の大盤振る舞いぶりがよーくわかります。っというか、「本当に大丈夫なの?」と心配したくなるほどの値上げになったわけです。
もちろん、91回もの伝統を誇るインディ500にはそんなお金には代えられない名誉、伝統、そして格式があることは言うまでもないですが、デイトナ500に奪われた“アメリカ人気ナンバー1レースイベント”の座を奪回するためにも、何かしらのインパクトが欲しかったのは事実。お金にオープンなアメリカ人にとっては、この発表はそれなりにインパクトのあるものになったのではないでしょうか。とはいっても、実際にはインディ500の賞金総額アップに関してはある程度規定路線ともいえ、取り立てて驚かされたってことではありませんでした。
じつは今回のIRLの発表で一番注目されたのが、もうひとつの賞金額の値上げに関してなんです。それは、「2008年シーズンに全戦出場したエントリーには“最低で”120万ドルの賞金を保証する」ってこと。いわば皆勤賞みたいなものですね。この賞金にはレースでの獲得賞金は入っていないので、仮に全戦最下位だとしても、全戦出場したら120万ドルが与えられちゃうわけです。これは予算の小さいチームにとっては非常に魅力的。もちろんIRLの狙いはそこで、参加台数を増やすことで新たなニューフェイスの参入を促し、新たな競争を生み出して、最終的にはシリーズ全体を活性化させて、より魅力的なレースシリーズに生まれ変わらせるっていう算段なんです。そうなればファンの注目が増え、それがひいてはスポンサーやマニュファクチャラーの新規参入に繋がるってわけです。「結局は金で釣るのかよ!」って思う人もいるかもしれませんが、スポーツ競技の中では断然にお金のかかるのがモータースポーツ。こればっかりは避けては通れない道なんですね。
最初からいきなり“現実的な”話題になってはしまいましたが、逆にこれだけ賞金額をオープンにしたら、かえってわかりやすくて嫌味がないと思うのは僕だけでしょうか?