観光都市・小樽に残るバブルのツメあと
2007年に財政破綻する可能性も・・・・・・
小樽といえば運河があまりにも有名であり、100年にも及ぶ数々の歴史的建造物や、職人が生み出す工芸品に新鮮な食材など、観光としての資源が実に豊富だ。十数回は小樽に行っているが、休日に関係なくいつも観光客は大勢いて、最近はアジア、ロシア、オーストラリアといった海外からも多く訪れるという。さぞ市の財政も潤っているんだろうと、そんな下世話なことをつい考えてしまっていたのだが、実際はまるで逆。にわかには信じられないような現実が、そこにあった。
小樽市は2004年度の予算編成において、北海道内で初めて赤字予算を計上した。歳入が362億円に対して、歳出は384.6億円。他の会計から3.5億円を繰り入れ、最終的な財源不足は19億円にも及んだ。前年度も11億円の赤字だったが、当時はまだ補填できるだけの蓄えがあった。2004年はついに貯金も底をつき、足りない分は2005年度予算から充当。だが市債などの借金総額は約1300億円もあり、その返済のピークに達している小樽市は、結局2005年も再び赤字予算を計上しなければならなかった。
「市民に対して率直に申し訳ないと思います」と初めて赤字予算を編成した山田勝磨市長は、日経ビジネス誌(2004年5月13日号)のインタビューで答えている。「こんな予算、日本一の貧乏都市だと世間に恥をさらしているようなもの(中略)、非常に残念無念という気持ちです」
1999年に就任し、2003年に再選されて2期目を努める山田市長は、その要因を「人口に対する市の職員の多さ」と、「バブル期のツケで市の歳出構造が膨らみ、箱モノ行政の風呂敷を広げ過ぎた。余分な公共事業をしたとは思わないが、長期的な展望の中で事業選択をして欲しかった」と言う。バブルで身の丈を見失った、かつての政権が推し進めた様々な事業。しかし少子化によって人口減少は加速され、高齢化も進み、ここ数年のうちに団塊の世代が大量に定年を迎えようとしている。このままでは2007年に破綻するとさえ、言われているのだ。
筆者近況
フォーミュラ・ニッポン最終戦でJRP社長の野口さんにご挨拶。日本最高峰のフォーミュラを活性化させるため、様々な改革に取り組んでらっしゃる野口さんに、小樽が順調であることを伝える。ついでに「FNのチャンピオンに、チャンプ・カーのテストの機会を設けるというのはどうですか?」と聞こうと思ったが、タイミングを逸してしまう。本山選手が走ってくれたらおもしろいのに、と思うのは僕だけ?
(オートスポーツ誌 2005年12月22日号に掲載)