[ガラスのハート – IRL インディカー -]
31勝25ポールポジション、チャンピオン獲得1回。その走りは常にアグレッシブで、サーキット外での振る舞いも派手なポール・トレイシー。今年40歳を迎える彼のレーシングキャリアは長く、波乱に富んでいます。チームメイトが速いと調子を崩しがちなポール。勝てそうなレースをアグレッシブすぎる走りでフイにするポール。31勝も挙げているにもかかわらずチャンピオン獲得は1回のポール。その風貌・言動が、以前当4コマでも描いたように、デビューからかなり変化しているポール。そして、アメリカンモータスポーツにおける自身の役割を本人も分かっているかのような振る舞いは、ファンを心の底から楽しませてくれました。
しかし統合されたインディカーシリーズに、彼のシートはありません。現在ポール・トレーシーが所属するチャンプカーの強豪チーム、フォーサイスは統合シリーズには参戦しないことを発表しているのです。
確かにロードコースでの1発の速さでは、「若いドライバーに対抗するのは大変だ(対A.J.アルメンディンガー)」とこぼしたこともありますが、経験も重要なファクターになるオーバルでは、彼の経験が生かされるような気がします。特にチャンプカーからの移籍チームには必要な人物だった気も? もっともポール・トレーシーとしても、下位で走ることを良しとするとは思えないので、これも時代の流れと諦めるしかないかもしれませんね。
今年のインディ500で優勝をかっさらって、「あの時(2002年)勝ったのは俺だ!」と吠えて欲しかった。もしくはマルコ・アンドレッティと大バトルの末、アンドレッティ家のジンクス(インディ500でなかなか勝てない)を増やして欲しかった!? てっきりポールの走りを見られると思っていただけに、とても残念です。
そうそう、マイケル・アンドレッティは、ポール・トレーシーのシートが決まらないことについて「うちは採らないけど彼にシートがあって欲しい」と、微妙なコメントを残していましたね。ここはぜひ敵に塩を……って、ムリかな〜?
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4コマの内容はフィクションです。
登場する団体・人物等は実際とは異なります。
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Illustration & TEXT by アラブルカ