<Vertex Sports>
<2008.5.10 ケンタッキー州スパルタ>
現地10日、初のポールポジョンからスタートした 『HATTORI RACING ENTERPRISES(HRE)』 は、残り1周というところで後続車に接触されリタイヤとなり、目の前にあった初優勝を逃してしまった。
『ARCA/RE MAXシリーズ』 第6戦の 『Buckle Up Kentucky150』 は、練習走行、予選、決勝レースを1日で行う1DAYイベントとして 『Kentucky Speedway』 で開催された。
決勝レース(150mils/100周) はアメリカらしいナイトレースで行われ、現地時間の夜8時にスタートを切った。予選でトップポジションを確保した『HRE』のCar No.01ADVICS TOYOTAをドライブする Sean Caisse(ショーン・ケース)は好スタートを切り、2番手のNo.28 Michael Annett(第1戦優勝)を毎周引き離して行くが8周目にスピンしたマシンの撤去の為1回目のイエローコーションが出される。その後も立て続けに接触があり20周までに3回のコーションが出されなかなかレースのペースが上がらない中、Sean Caisseは3回目のリスタートに失敗し2番手の Annettに抜かれ順位を下げるが、その後トップの2台は異次元のスピードで3番手以下を見る見るうちに引き離し順調に周回を重ねていく。
45周目に出された4回目のイエローコーションで、チームは事故の多いレース展開を考慮し早めのピットインで1ストップ作戦に変更したが、奇しくもトップのNo.28チームも同じ作戦を取りトップ2台が同時にピットに入る展開となった。 『HRE』 のピットクルーは完璧な作業でタイヤ交換と燃料補給を済ませ No.01 ADVICSTOYOTA をコースに送り出すが、上位の車はそのままコースに残った為No.28 Annettが19番手、No.01Sean Caisseは20番手でコースに復帰した。再スタートが切られたレース折り返しの50周目から SeanCaisse は他を圧倒する走りで次々に前車を抜き去り、No.28 Annettをパスすると75周目には3番手まで順位を挽回し、場内の視線は No.01 ADVICS TOYOTA のマシンに集中する。
この時点で前を走るNo.99とNo.2はレース序盤からピットインをしておらず、誰もが Sean Caisseの勝利を予感したが、レースが残り20周となった80周目、周回遅れ2台の事故が発生。 Sean Caisseはチームの指示でうまく事故をすり抜けたが、コース上に散らばった事故車のパーツを踏み右前輪にダメージを受け緊急のピットインを余儀なくされる。『HRE』はすばやい判断で右側前後の2輪だけを交換しピットのタイムを最小限に短縮する戦略でSean Caisseをコースに戻すが、残り14周の時点で12位まで順位を下げてしまう。
ここから場内の誰もが息を呑むレースが展開され、燃料切れで次々にピットに入るマシンと追い上げるNo.01ADVICS TOYOTAのマシンにすべての視線が注がれる展開になった。上位陣よりSean Caisseのペースのほうが明らかに速く、残り3周で3番手まで順位を上げると残り2周で今年F1から転向して来た No.2 ScottSpeedのRedBull TOYOTAをパスして2番手に上がる。残り1周半、Sean Caisseは燃費がきつくスピードを上げられないトップのNo.99 Ricky Stenhouseに見る見る追いついて行く。そしてチームの誰もが勝利を確信した瞬間、ターン3でトップに並びかけたその時に後方のScott Speedが抜き返そうと無理にイン側にノーズをねじ込んで来た。2台は軽く接触し左リアを押されたSean Caisseはたまらずスピン! アウト側のコンクリートウォールまで飛ばされ、初勝利を目前にしていた『HRE』のNo.01ADVICS TOYOTAは、一瞬のうちにリタイヤとなってしまった。イエローコーションの後レースは再開され、No.99Ricky Stenhouseがそのままトップでチェッカーを受けた。
チームオーナーコメント ( Shigeaki Hattori )
参戦2戦目でとてもすばらしいレースでしたが疲れました。今日は現地のADVICSの従業員の方々が応援に来て下さり「こんなに興奮したレースは初めてだ」と皆さん感激して帰られましたが、チームとしてはリタイヤした事に変わりはなくとても複雑な心境です。 ただ、ショーンはドライバーとして100%力を出し切っていますし、それをサポートしたチームの全員がすばらしい仕事をしているので我々のチームが勝利に近い位置にいる事を実感しました。このレースで他のチームも我々『HRE』の総合力の高さを知り、これからはマークがきつくなると思いますが引き続き初優勝に向けて全力を注いで行きます。
ドライバーコメント ( Sean Caisse )
悔しくて今の気持ちを言葉で表現するは難しいです。スタートからマシンはすばらしく勝てなかった事がとても悔しいのとすばらしいマシンを与えてくれたチームの為に結果が残せなかった事にとても申し訳なく思います。スコット・スピードのチームオーナーはレース後謝罪に来ましたが、今日の彼のドライビングは理解できません。ただシゲアキはドライバーとしての僕の気持ちをとても理解してくれたので本当に感謝しています。次のミシガンのレースは、今日以上のすばらしいレースをして必ず勝ちますのでそれまで待っていてください。