INDY CAR

第2戦ルイジアナ決勝はヒンチクリフがギャンブルで今季初優勝、佐藤琢磨は接触でリタイア

画像

初開催となるインディ・グランプリ・オブ・ルイジアナは3日間にわたって雨に見舞われ、土曜日の予選だけでなく、決勝日のウォームアップまで激しい雨によってキャンセルとなりました。幸いレースのスタート前に雨は止んだものの、完全なウェットの状態で始まった第2戦。規定の75周に達するか、タイムレースとなる場合はこれまでの120分ではなく、105分が経過した時点でチェッカーとなることになっていました。
レースはポール・ポジションのファン・パブロ・モントーヤが32周にわたってリードし、33周目にモントーヤを筆頭とする上位勢のほとんどが2度目のピットへ。ここでコースにステイアウトすることを決めた予選16位スタート(予選が雨でキャンセルされたためエントラントのランキングで決定)のジェイムズ・ヒンチクリフがトップに躍進。モントーヤよりも1周早い13周目に最初のピットを終えていたヒンチクリフのチーム、サム・シュミット・モータースポーツは終盤にもイエローが続くと想定し、そのまま走り切る作戦に出ました。
 
16周目の最初のイエロー・フラッグ以降、グリーンとなるたびにアクシデントが発生してフルコースコーションとなる展開が相次ぎ、トータル6回、計26周にわたってイエローとなる大波乱の展開になったルイジアナ。最終的に105分のタイムレースとなることが決まり、47周でチェッカードフラッグが振り下ろされてヒンチクリフが今季初優勝、通算4勝目を達成しました。
 
2位は3番手を走りながら20周目の再スタートで接触、ウィング交換により20番手まで順位を落としたエリオ・カストロネベスが大躍進。29周目の3度目のピットで燃料を継ぎ足していたカストロネベスは、上位勢が2度目のピットへ入ったことで2番手にジャンプ・アップし、通算120回目のトップ5フィニッシュを決めました。また、カストロネベスと同じ周にピットへ入っていたヒンチクリフのチームメート、ジェイムズ・ジェイクスが2013年デトロイト2以来の表彰台となる3位に入っています。
 
「コースに留まるのを決めた時に最初は思ったよ。このまま1ストップで走り切れたらおもしろいだろうなって。でも決してできないだろうって思っていた」と2013年のアイオワ以来となる勝利を遂げたヒンチクリフ。「ファンやNOLAに来てくれたみんなに、もっとグリーンのレースを見せることが出来なくて申し訳ないと感じる一方で、チームの作戦は見事だった。クルマはレッド・タイヤで信じられないほど良かったから、ペンスキーのドライバーたちをおさえることができた。もしグリーンになれば、燃料が持つ限り、彼らの前を走ることができたはずだ」
 
本来ウェットを得意とする佐藤琢磨でしたが、プラクティスの総合が23位と基本的なドライ状態のセットアップが向上しなかったこともあり、スタート後、徐々にポジションをダウンしていきます。ポイント順で13番手からスタートしたものの19番手まで落とし、上位勢よりも3周早い11周目にピットイン。レッド・タイヤを装着した琢磨は12番手までポジションを上げてきましたが、モントーヤら上位勢と同じタイミングで33周目にピットへ入りました。
 
19番手でコースに復帰した琢磨は39周目の再スタート時に接触し、電気系に問題が発生してギアシフトが不可能となり緊急ピットイン。そのままリタイアを余儀なくされました。「残念ながら雨でもうまくいかない時はあります。グリップ感もなく、バランスも悪いという状態で、手こずったというか、乗れなかったです。乾き始めていったので早目にピットへ入り、ポジションを上げることができたのですが、レースが120分ではなく105分になるという発表が直前だったようで、チーム内のコミュニケーションの問題があったのも残念でした」と琢磨はレース後に語っています。
 
さて、今回のレースは3日間にわたって毎日雨が降り続けるという、非常にめずらしい事態になりました。レースも中盤以降6回コーションが連発するというのは滅多にあることではなく、スタートしてすぐにコーション発生と訪れた観客を失望させるような展開になったわけで、そんな状況を予測して勝ったのが果たして良かったのかどうか・・・。3日間を通して今回はペンスキー勢だけでなく、ガナッシ勢も速さを見せ始めてきました。ヒンチクリフを含むホンダ勢がこのようなギャンブルをしなければ勝てないというのではなく、真っ向勝負で勝ってくれることを望みます。
 
佐藤琢磨に関しては前回のセント・ピーターズバーグでペンスキーに次ぐ5位のスターティング・グリッドを手に入れ、しかも新しいコースに比較的強いということもあり、ファンも大いに期待していたのではないでしょうか。しかし実際にはプラクティス総合23位で、市街地コースとロード・コースでなぜこれほどまでに差が出てしまったのか、また、昨年のアラバマやミドーオハイオに続き今回も雨のロード・コースで苦戦しました。これもまた雨の市街地コースとはまるで逆の展開になっており、今回聞くことができなかった接触の状況と併せて、次回聞いてみたいと思います。(斉藤和記)
 
●公式リザルト

画像


●ハイライト映像