現地時間の11月14日、4度シリーズ・チャンピオンに輝き、インディ500を3度制覇したダリオ・フランキッティが現役引退を発表しました。1997年にCARTデビューを果たしたスコットランド出身のフランキッティは、歴代8位となる通算31勝をマークし、歴代6位となる通算33回のポール・ポジションを獲得。265レースを戦った大ベテランです。
この5月19日に40歳となった彼は、2006年以来となる久しぶりの未勝利のシーズンとなりましたが、4回の表彰台を含むトップ5フィニッシュが7回、トップ10は11回を数えます。予選においては今年誰よりも多い4回もポールポジションを獲得。シーズン序盤からアクシデントやメカニカルトラブルが相次いだこともあり、2004年以来最も低いランキング10位に終わりました。
第18戦ヒューストン(第2レース)で、6位争いをしていた佐藤琢磨がタイヤカスに乗って壁に接触してサスペンションにダメージを負い、高速コーナーでリアが大きく流れたところにフランキッティが追突。浮き上がったマシンはフェンスに激突する大クラッシュとなり、脊椎と足首を骨折しました。足首はすぐに手術したものの、脊椎は手術の必要がないと言われ、それほど大きなダメージではないように思っていたのですが…。
「クラッシュから1か月が過ぎ、僕の頭と脊椎を治療してくれた専門医のアドバイスと、彼らのベストな医学的見解を聞き、レースをやめることにしたよ」とコメントしたフランキッティ。「彼らは僕がこれ以上レースを続けるのはリスクがあまりにも大きく、今後長期的に健康な状態を維持する上で、良くないというのを明確に示した。この医学的なアドバイスに基づくと、やめる以外にチョイスはないんだ」
「人生の中で30年以上レースをしてきて、ドライブすることが終わったと思うと、とても辛いものがある。2014年もターゲット・チップ・ガナッシ・レーシングで4度目のインディ500優勝と、5度目のチャンピオンを獲ろうと楽しみにしていたからね。これまで一緒に戦ってきた仲間のコンペティターと、チームメート、クルー、そしてスポンサーの最高のサポートによって素晴らしいドライブができたことに感謝している」
今年のソノマで4度目のポールを獲得した後、40歳のダリオに「インディカーは何歳までドライブできる?」というテーマでインタビューしたばかりでした。97年のデビュー当時から見てきたこともあり、当時と今と何が違うのかなど、色々な話を聞くことができたのですが、インディカーを長年続けるうえで一番重要なのは「経験と速さのコンビネーション」と語っていたのが印象に残っています。
しかし予選では相変わらず速さを見せていたものの、レース中のスピードを維持するのが難しくなってきたのではないかと感じる場面もたまにあり、ここ数年はきわどいドライブが目立っていたのも事実です。昨年のロングビーチのスタートでジョセフ・ニューガーデンと接触した件や、佐藤琢磨をブロックしたインディ500、そしてウィル・パワーとの度重なる接触など、物議を醸しだしたレースが度々ありましたね。
1月に突然離婚を発表し、その理由は明らかになっていませんでしたが、奥さんのアシュレイ・ジャッドはダン・ウェルドンのアクシデント以来、レースをやめて欲しかったという話を何度か聞きました。奥さんとしてはダリオが接触するのを見るたびに、辛かったと思います。でもダリオはダンと特に仲が良かったこともあり、そのアクシデントが原因で引退・・・、などとは決して言えなかったと思うのです。
今回の引退コメントを見ると、ヒューストンのアクシデントの影響で、医者の見解を受け入れざるを得なかった風なことを本人は語っていますが、成績も不振に終わり、引退する良いタイミングだと判断したのかもしれません。まだレースは続けたいが、現役から退かなければならないということに、したかったのではないかと。
アシュレイはアクシデント後すぐに病院にかけつけ、まだ離婚の手続きが終わっていないことも明らかになりました。そして10月7日、「私たちは私たちの道を歩んでいきます」といったツイートをし、復縁かと噂されていましたね。この時すでに、ダリオは引退を決意していたのではないでしょうか。
10月11日、退院するダリオの写真が公開され、足元にはアシュレイの愛犬がいました。なんだかとてもリラックスして、幸せそうな笑顔に見えたものです。
ダリオ、とりあえずお疲れさまでした。
「やっと医者のOKが出たから、インディ500だけ走るよ」っていつアナウンスするのか、今度教えてね!
え、その前にアシュレイを説得できるかが問題だって?