今年2度目のダブルヘッダーとなるトロント、土曜日に行われる第12戦の予選は従来どおりの3ラウンドで行われ、59.6756秒をマークしたダリオ・フランキッティが今季3度目の予選トップに輝きました。1997年、彼がまだ24歳のルーキーの時にこのコースでキャリア初ポールを獲得したフランキッティ。以来通算32回目のポール・ポジションとなり、マイケル・アンドレッティに並ぶ歴代6位となりました。
朝のプラクティスではターン5でミスし、クラッシュしていたフランキッティ。「急いで修理しなければならなくなったクルーに、感謝しているよ。でもクルマはブラック、レッドとどちらのタイヤもよかった。毎周少しずつ良いところをみつけることができ、特に最終ラウンドで2位だった時、さらにもう少しプッシュできたからすごく気分がいいよ」とこのトロントでの5回目のポールを喜ぶフランキッティ。現在、40歳になっても第一線で戦えるのは、素晴らしいですね。
予選2位に輝いたのはセバスチャン・ブルデイで、今回は現役最多の31勝を記録しているフランキッティとブルデイがフロントローに揃いました。二人で62勝です! どちらも4度チャンピオンに輝き、ここでポールトゥウィンを記録しているのはこの二人だけです。フランキッティが4勝、ブルデイが3勝とどちらもこのトロントを得意としているだけに、二人のバトルがほんとうに楽しみ。ホンダVSシボレーという意味でも注目ですよ。
チャンピカー時代からこのトロントで優勝しているウィル・パワーが、予選3位となりました。ここ数年毎年チャンピオンを争ってきたパワーですが、今年はミルウォーキーの3位がベスト。このトロントで3勝目を挙げ、シーズン終盤に向けて勢いに乗りたいところです。
デトロイトの第2レースで2位表彰台を獲得しているジェイムズ・ジェイクスが最終ラウンドに進出し、予選5位となりました。レイホール・レターマン・ラニガン入りしてからというもの、エースのグラハムを凌ぐ活躍を見せているジェイクス。今回は残念ながらエンジン交換のペナルティで10グリッド降格です。
マルコ・アンドレッティはドクター・ペッパーのスペシャルカラーで登場しました。オーバルの4連戦の間に2回ポールを獲得し、常にトップ4の予選でしたが、今回は11位。お父さんのマイケルはここで7勝もしていて、13番グリッドから優勝したこともあります。と、いつも書きながら思うのですが、お父さんやお爺さんが偉大だと、ほんとうに大変ですよね。
第1プラクティスはブレーキや駆動系に問題が発生し、23周のみの走行で1分1秒7904の20位だった佐藤琢磨。マシンを大幅に変更して臨んだ予選、第1ラウンドでは1分0秒2706まで短縮し、第1グループ3位で第2ラウンド進出を決めたのですが…。迎えた第2ラウンド、ターン1への進入の際にマシンが大きく底を打ってジャンプ。そのままコントロールを失ってタイヤバリアへ突っ込み、予選終了となって12位に終わりました。
「予選になって、ようやく、思い描くようなスピードが出せるようになったのですが…」とセッションを振り返る佐藤琢磨。「1コーナーでは減速しきれなかったわけでなく、プラクティスからいっきにスピードが高くなったことで、ダウンフォースが増えて車高がかなり下がり、バンピーな1コーナーで思いっきり底を打ってしまいました。それでフロントが宙に浮き、そのまま真っ直ぐ行ってしまったんです。その分を見越した準備ができていれば良かったのですが、最初のプラクティスが悪すぎたのでそこまで整えることができず、アタックできなくなったのは残念です」
さて、今回トロントに来るのは久しぶりで、あまりにも色々なものが変わってしまい、少し戸惑ってしまいました。コースそのものはほとんど同じですが、中にあった競技場がいつのまにか位置が変わって立て直されたり、メディアセンターがリニューアルされてきれいになったりと、まるで浦島太郎のような気分です。撮影に関しては、まだすべてのポイントを回っていないので確認はできていませんが、もともと市街地コースはレースのたびに変わるので大丈夫。97年にダリオがここで初ポールを獲った時のこともよく覚えていて、眉毛の濃いひょろひょろした青年がこんなに長くレースをやるなんて、思ってもいませんでした。当時メルセデスの秘蔵っ子なんて言われてましたが、このトロントの活躍が注目されて翌年ホンダ入りしましたからね(チーム・グリーン)。40代までいけるのがインディカーのいいところで、佐藤琢磨もチャンピオン獲得までがんばってほしいです!
●予選リザルト
●予選最終ラウンド「ファスト・シックス」
●第1プラクティス・リザルト
●第1プラクティス・ハイライト映像