1971年から89年まで開催され、以来途絶えていたポコノのレースが第11戦として復活。インディアナポリスと同じ2.5マイルで、独特なトライ・オーバルのレイアウトを持つスーパースピードウェイでポール・ポジションを獲得したのは、221.273 mphをマークしたマルコ・アンドレッティでした。ペンシルバニアが地元のアンドレッティ家、お父さんのマイケルが86年、おじいちゃんのマリオが87年にポールを獲得し、そのすぐ後にマルコが生まれたそうですよ。
親子三代でポールを獲得したことに対し、「たくさんの意味を持つよ。でももっと欲しいのは明日の勝利だ。早く勝って肩の荷を下したいね。ポイントリーダーとのギャップを埋めたいんだ」とマルコ。前回ポールを獲ったミルウォーキーは電気系のトラブルで戦線離脱を余儀なくされただけに、今回こそはという思いが強いようです。この週末も4カーチームの強さが発揮されたわけですが「チームメートが速いのはよくわかっている」と本人が言うように、最大のライバルはチームの中にいるということでしょう。
予選2位にはマルコのチームメートで、ランキング2位のライアン・ハンター-レイが入りました。9ポイント差のポイントリーダー、カストロネベスは今回予選6位で、この位置をキープしたままフィニッシュしたいところです。
予選3位は前回のアイオワのウィナー、ジェイムズ・ヒンチクリフ。今回はインディ500と同じ3列スタートなので、アンドレッティ・オートスポーツのフロントロー独占となります。チームメートで最前列を占拠するのは88年インディ500のペンスキー以来だそうですよ。
木曜日のオープンテストでポコノを初めて走り、この週末に臨んだ佐藤琢磨。第1プラクティスでは220.139mphの7位で、シングルカー・クォリファイの予選は219.124mphのスピードで8位となりました。スコット・ディクソンがエンジン交換ペナルティにより10グリッド降格となるので、7番手のスタートになります。予選後の最終プラクティスで2位だったこともあり、レースに向けて順調に仕上がってきましたね。
「1周2.5マイルで距離はインディアナポリスと一緒なんですけど、コーナーは3つで、それぞれの特性が全く違うんですね。オーバルのセットアップをしつつも、ターン2と3はロードコースのような要素があり、そういうクルマが求められます。走っててチャレンジングで楽しいんですけど、非常に難易度が高いですね」とコースを説明してくれた琢磨。
8位となった予選については「良かったと思います。全力で走って、力を出し切りました。短い時間の中で予選のシミュレーションもできて、クルマの中でアンチロールバーをこんなにつかったことがないというほど、フルに使って走りました。ウェイトジャッカーも使いましたし、非常に忙しいラップでしたね。ほぼ完ぺきに近い走りで、ホンダ勢2位というのは、チームとしても素晴らしいと思います」と琢磨。シーズン途中での大きな開発ができず、なかなかシボレーに追い付けないホンダ勢の中では、大健闘と言えます。
さて、今回初めてのポコノだったので、当時を知るベテラン・ジャーナリストの方々に色々と聞いてみました。71年からここでインディカーのレースが始まったのですが、70年代は大盛況で、グランドスタンドもインフィールドも満杯。「10万人以上は来ていたよ」とのこと。それが79年にCARTがスタートし、USACとの対立に巻き込まれたこともあって、80年代に入って徐々に人気が低迷していったそうです。
約4万人台まで観客が減っていった中、バンピーな路面を含め、コンクリートウォールではなくガードレールだった当時、安全性をなかなか改善しないコース側と、CART側は市街地レースが増え、その頃同じペンシルバニアに1マイルオーバルのナザレス(アンドレッティの地元)があったことなどなど、様々な理由によって89年で終わったそうです。写真はリチャード・ペティの200勝を記念したビクトリーサークルで、NASCAR色が随所に見れます。
しかし一部のジャーナリストによると「インディカーのためのデザインされたんだ」とのことで、「レースは絶対にインディカーのほうがおもしろくなる」そうです。ほんと楽しみですね。土曜日は気温28度とそれほど高くはなかったのですが、湿度が高く、時差ボケもあって大変。写真はターン3ですが「ターン4って何?」って感じで、だからどうしたと突っ込みたくなるような暑さでしたよ。
●ファイナル・プラクティス・リザルト
●第1プラクティス・ハイライト映像