INDY CAR

第16戦ケンタッキーのベストショット&撮影裏話!

昨年のケンタッキーはインディ・ジャパン開催前の9月4日にレースが行われましたが、今年はインディ・ジャパン・ザ・ファイナルの2週間後、10月2日に開催されました。この時期ならまだまだ残暑を引きずってるだろうと高をくくっていたら、もう寒いのなんの。ほんとうに驚くような寒さでした。
 
初日はもうね、普段カメラ機材のクッションにしているフリース素材の長袖を着て(こういうまさかの寒い日対策。シーズン中は滅多に着ません)、その上にはウィンド・ブレーカー(ちょいと肌寒いときやメディア・センターの冷房がきつい時用)まで着て撮影していましたよ。午後になっても寒くて、この低気温の中での予選はドライバーとマシン、そして観客や僕らにもやさしくなかったです。
 
前日と打って変わって澄んだ青空が広がった決勝日は、朝こそ肌寒かったもののレース中は長袖のTシャツ1枚で耐えられるぐらいまで気温が上昇。それでもじっと座り込んで応援しているファンは、みんな防寒対策していたようですが、少し寒かったかもしれませんね。
 
そんなわけでいっきに秋が深まったケンタッキーでのレースとなりましたが、内容もなかなか深いものがありました。ポール・ポジションを獲得したウィル・パワーは、なんとピット・ストップでアナ・ベアトリスと接触し、後退を余儀なくされて結局19位。タイトル争いをしていたダリオ・フランキッティはまんまと2位でゴールし、18ポイント差でリードすることになりました。
 
パワーはインディ・ジャパンでせっかくポイントリーダーに返り咲いたのに、ランキング2位に逆戻り。これもまたドラマだなーと思いますが、なんといっても今回の主役は優勝したエド・カーペンターでしょうね。去年、一昨年と2年連続2位でフィニッシュした彼、2009年のライアン・ブリスコーとのトップ争いもしびれましたが、昨年の初ポールポジション獲得は、ほんと競馬でいう“大穴”っていったら失礼ですが、かなりびっくりしました。
 
そんなカーペンターが今年こそはと臨んだ今回のレース。みごと、きましたね。3度目の正直が。普段はあまりスポット参戦のドライバーは撮影しないのですが(やはり優勝の確立は低いですから)、カーペンターはね、なんかトップスリーに入りそうな予感がしていたので、ちゃんと撮っておきましたよ。
 
しかもピットストップまでタイミングよくおさえることができたので、ラッキーでした。レース後半になってコースの外側から内側に戻り、撮影しながらターン4側へと移動していた時に、そろそろピットのタイミングだと思ってピットレーンで撮影を開始。たまたま寄ったのが、カーペンターのピットだったんです。
 
138周目に発生したイエローコーションで、140周目に多くのドライバーがピットストップを行う中、カーペンターも同じタイミングで入ってきました。シメシメと僕はカメラを構え、最後のピットアウトをスローシャッター気味に撮影しようと、シャッタースピードを60分の1に変更。「さあ、こい!」と待っていたら、すぐには出なかったんですね。
 
なんとカーペンターのヘルメットのバイザーが外れそうになっていて、クルーが急いで黒いガムテープを貼っていたんです。でもね、慌てるようなこともなく確実に貼り終えてからピットを飛び出したので、かえって僕自身も落ち着いてパシャパシャと撮影することができました。
 
いつもの“タイヤ交換→燃料ホース取り外し→ゴー!”といった流れはけっこう速いので、シャッター・スピードのダイヤルを一指し指で適当に回し、シャッター・スピードを確認する間もなく撮影することがあります。今回はちゃんと60分の1に設定したので、イメージどおりの写真が撮影できましたよ。
 
インディカー写真
 
ということで今回、選んだのはその時のピット・アウトの写真です。ヘルメットにピントがきて、バイザーに黒いガムテープが貼ってあるのも確認できますね。見た目はあまりよくないですが、これもまたドラマだと思いますよ。今年はロング・ビーチのマイク・コンウェイ、そしてカーペンターと2回も初優勝のシーンをおさえることができました。最終戦でもぜひ撮影したいものです。もちろん、佐藤琢磨のね。
 
Photo & Text by Hiroyuki Saito
 
●撮影データ
機種: Canon EOS-1Ds Mark ?
レンズ: Canon EF 16-35mm f/2.8 L USM
撮影モード: シャッター速度優先AE
シャッタースピード: 1/60
絞り値: F22.0
測光方式: 評価測光
ISO感度: 100
焦点距離: 26.0mm
オートフォーカスモード: AIサーボAF
ホワイトバランス: オート
 
※第16戦Pick the Winnerのプレゼントはこちらの写真となります。