INDY CAR

シーズン開幕戦のポールポジションはウィル・パワー 佐藤琢磨は予選11番手を獲得

<Honda>
2011年3月26日(土)
予選
会場:セント・ピーターズバーグ市街地コース
天候:快晴
気温:29℃
 

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2011年のIZODインディカー・シリーズは、フロリダ州のリゾート地セント・ピーターズバーグで開幕した。まだ3月だというのに、すでに暖かさを越えて暑さと感じるほどの天候の下、25台のインディカーが海辺の空港と市街地の道路を利用したコースを疾走。今年も予選は3段階で開催され、最速の6人によって争われた最終ステージでウィル・パワー(Team Penske)が1分1秒台に突入するすばらしいラップタイムをマークし、シーズン最初のポールポジション獲得を果たした。
 

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コンクリートの壁に囲まれたセント・ピーターズバーグのストリートコースには、バラエティに富むコーナーがレイアウトされている。滑走路部分を含めて路面のグリップは低く、700馬力オーバーのインディカーをコントロールするには高度のテクニックが必要だ。朝からサーキットに集まったファンは、照りつける日差しを楽しみながら25人のドライバーが繰り広げる予選を堪能していた。ロードおよびストリートのレースではソフトとハードの2種類のタイヤが供給されるが、今年からの新しい予選ルールにより、ドライバーたちが各予選ステージで使用できるのはハードかソフトのいずれか1種類、1セットのみとされた。このルールで行われた初めての予選は、とても興味深いことに、第1ステージから第3ステージまで全員がソフトタイヤだけを使って走った。ハードを選択したチームはゼロだった。
 

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第2ステージまででトップ6が決定。最終ステージは誰もが第2ステージまで使用したソフトタイヤで走らねばならなかった。ソフトはグリップが高い分、タイヤが最大限の性能を発揮できる周回数が少ない。しかし、パワーは見事な走りで第2ステージでの自己ベストを上回る1分1秒9625(平均時速104.579マイル)を記録し、ポールポジションを手に入れた。彼の豪快かつ切れ味鋭い走りに集まった大勢のファンは拍手と歓声を送っていた。予選2番手は昨年度チャンピオンのダリオ・フランキッティ(Chip Ganassi Racing)で、3番手は彼のチームメートのスコット・ディクソン(Chip Ganassi Racing)だった。パワーにとって今回のポールポジションはキャリア16個目、もちろん今シーズン初めてのもので、セント・ピーターズバーグでは2年連続の獲得となった。
 

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佐藤琢磨(KV Racing Technology-Lotus)は参戦2シーズン目を迎える。彼は今シーズン、フルシーズン出場する唯一の日本人ドライバーである。3回行われたプラクティスまでで11番手につける1分3秒5953の自己ベストをマークしていた佐藤は、予選の第1ステージで1分3秒0722と自己ベスト更新を果たして第2ステージへと駒を進めた。予選の第2ステージもソフトタイヤ装着で戦った佐藤はさらにラップタイムを1分2秒9312まで縮めたが、最終ステージへの進出はならず、予選順位は昨シーズンと奇しくも同じ11番手と決まった。
 
<コメント>
 
ウィル・パワー(ポールポジション)
「ソフトタイヤのグリップはハードタイヤを大きくしのいでいた。予選の第2ステージが終わった時点で新品のソフトはもう残されていなかったため、我々は予選の最終ステージを中古のソフトタイヤで走ったが、グリップの持ちは非常によかったためポールポジションを獲得できた。第1、第2ステージでタイヤを十分にいたわりながらタイムを出すことが重要だった。そして、最終ステージで自分に残されている力をすべて出しきる。それが今日はできていた。クルーたちのためにも、シーズン最初のレースを今年もポールポジションからスタートできるのはうれしい」
 
ダリオ・フランキッティ(2番手)
「ソフトタイヤのグリップはすばらしく、予選アタックでの走りはとてもエキサイティングだった。予選では1周ごとに限界を高めていく走りが実現できており、周回を重ねるごとにドライビングは大胆さを増した。朝のプラクティスで大きなアクシデントを起こしてマシンを傷めてしまったが、それを完ぺきに修理してくれたクルーたちに感謝する。今回は予選2番手となったが、フロントローからのスタートなら文句はない。すばらしいスターティングポジションだ」
 
スコット・ディクソン(3番手)
「今日はプラクティスの3回目と3段階の予選が行われたが、我々は高い安定感を発揮できていた。残念なことに、予選の最終ステージで私がちょっとミスを犯したが、昨日と今日の2日間、ともに上位につける好ラップタイムを記録することができている。今日の我々のマシンは、あと数十分の1秒速いラップタイムを記録できる能力を秘めていたと思う。明日のレースが非常に楽しみだ。新ルールでリスタートも2列で切られることとなるが、それはファンにとって大いに見応えのあるものになるはずだ」
 

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佐藤琢磨(11番手)
「チームの3台で手分けしてセッティングの方向性を探ってきましたが、まだセッションごとに変化するコンディションに完全に対応しきれていません。予選ではスピードが足らず、トップ10に食い込めず残念です。チームメートとこれからミーティングを行い、決勝前のウオームアップでマシンを安定したラップタイムで走り続けられるものに仕上げたいと考えています。昨シーズンは最初のスティントでレースを終えているので、今年はしっかりとゴールを目指してがんばりたいです」
 
エリック・バークマン|HPD社長
「日本の震災で被害に遭われた方々にお見舞いを申し上げます。これから日本の人々は復興に向けて全力を投入し、それは必ずや達成されると信じています。そこまでの道のりは平坦ではありませんが、人々の精神的な面なども癒される必要があると思います。また、復興へのプロセスには多くの企業が支援を続けることも必要だと考えています。そこで、我々は何ができるのか、現在インディカー・シリーズとそれを話し合っているところです。
いよいよ訪れた新しいシーズンの開幕はすばらしい天候に恵まれ、大勢のファンがサーキットへと足を運んでくれました。今年から予選に新しいルールが採用されたため、どんな戦いになるのかを楽しみにしていましたが、シーズン最初の予選セッションはとてもエキサイティングなものとなりました。タイヤの使い方によって、実力のあるドライバーの中にも6人による戦いである最終ステージへと進出できない者がいました。競争はますます激しく、おもしろいものになっています。明日の決勝レースもすばらしいバトルとなるに違いありません」
 
<予選リザルト> 
順位 No. ドライバー チーム C/E/T タイム
1 12 ウィル・パワー Team Penske D/H/F 01:01.9625
2 10 ダリオ・フランキッティ Chip Ganassi Racing D/H/F 01:02.2953
3 9 スコット・ディクソン Chip Ganassi Racing D/H/F 01:02.3975
4 27 マイク・コンウェイ Andretti Autosport D/H/F 01:02.5306
5 6 ライアン・ブリスコー Team Penske D/H/F 01:02.5744
6 22 ジャスティン・ウィルソン Dreyer & Reinbold Racing D/H/F 01:02.7729
7 26 マルコ・アンドレッティ Andretti Autosport D/H/F 01:02.6312
8 82 トニー・カナーン KV Racing Technology-Lotus D/H/F 01:02.7818
9 3 エリオ・カストロネベス Team Penske D/H/F 01:02.8204
10 77 アレックス・タグリアーニ Sam Schmidt Motorsports D/H/F 01:02.8225
11 5 佐藤琢磨 KV Racing Technology-Lotus D/H/F 01:02.9312
12 38 グラハム・レイホール Service Central Chip Ganassi Racing D/H/F 01:03.0640
13 14 ヴィットール・メイラ A.J. Foyt Enterprises D/H/F 01:03.1315
14 28 ライアン・ハンターレイ Andretti Autosport D/H/F 01:03.1778
15 02 オリオール・セルビア Newman Haas Racing D/H/F 01:03.2434
16 17 ラファエル・マトス AFS Racing D/H/F 01:03.2594
17 78 シモーナ・デ・シルベストロ HVM Racing D/H/F 01:03.2724
18 19 セバスチャン・ブルデー Dale Coyne Racing D/H/F 01:03.3188
19 7 ダニカ・パトリック Andretti Autosport D/H/F 01:03.3764
20 24 アナ・ベアトリス Dreyer & Reinbold Racing D/H/F 01:03.8036
21 59 E.J.ヴィソ KV Racing Technology-Lotus D/H/F 01:03.4065
22 18 ジェームズ・ジェイクス Dale Coyne Racing D/H/F 01:03.8854
23 83 チャーリー・キンボール Novo Nordisk Chip Ganassi Racing D/H/F 01:03.5162
24 34 セバスチャン・サーベドラ Conquest Racing D/H/F 01:03.9696
25 4 J.R.ヒルデブランド Panther Racing D/H/F 01:03.8256