INDY CAR

第15戦ケンタッキーのベスト・ショット&撮影裏話!

ケンタッキーで怒涛の3連戦が終了! と思ったらふっと気が抜けて、なんかシーズンが終ったような感覚になってしまいました。そんな気持ちになるほど、ナイトレースのケンタッキーは大変だったんです。
 
でもね、ちゃんと残り2戦あるのは誰よりもわかっていますよ。次戦は僕らのメイン・イベントとも言うべきインディ・ジャパン。日本に帰ったら気を入れなおしてがんばりたいと思います。
 
さて、先週の舞台だったケンタッキー・スピードウェイは、ケンタッキーの北部にあるシンシナティ・ノーザン・ケンタッキー国際空港から、クルマで南西に向かうハイウエイを35分くらいドライブした場所にあります。道中、ハイウエイは緑の深い山々に囲まれていて、かなり田舎です。
 
このタイプのコースは一般的にDシェープと言われてますが、グランドスタンド側のターン4からターン1までが、ちょうどハンガーを吊り下げたような三角形となっているのでね、トライ・オーバルと言ったほうがいいかも。今シーズンだとカンザス・スピードウェイと同じタイプです。ターンのバンク角度は最大で14度と、この手のオーバルでは一番低いですが、カンザスは15度なんで、ほとんど同じ。
 
ロジャー安川いわく、地盤が緩いために路面のコンディションが毎年変わるとのこと。また、コースの特性的に2台までのサイド・バイ・サイドはあるのですが、スリーワイドまでの激しい攻防というのは、あまりできないようです。パックにはなるものの、数珠繋ぎ的な集団になりがちですね。
 
あと特徴としては、コースに車線が引かれていて、5車線分もあります。これってけっこう有効なのか、ロジャーに聞くのを忘れてました。あまり関係ないとは思うんですけど、じゃまなんじゃないかなと。あぁ、今になって気になってきましたよ。
 
ともあれ、今回のレース・スタート時間が午後8時50分っていうのはね、かなりやられました。レースが終ってからのインタビューなどを終えて、メディアセンターに戻ったらもう午後11時30分。それから写真をパソコンにダウンロードして・・・、なんてことで僕の2回目のグリーンフラッグが振られたのは午前0時過ぎ。もう、気絶しそうでした。
 
すでにこの再スタートの時点で周回遅れのような感じでしたが、さすがにこの日は遅くまでメディアセンターも開いていたのでね、先に急ぎの仕事をワーとこなして、とりあえずホテルへ戻ろうかとなったのが午前2時過ぎ。もちろんホテルについてからも続きがあって、もうね、スタート時間の遅すぎるナイトレースは勘弁して欲しいなぁ、と思うケンタッキーでした。
 
とまあ、ここで嘆いてもしょうがないので、そろそろ写真の解説をしたいと思いますよ。
 

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今回のナイト・レースは暗くなってからスタートしたので、写真的には最初から照明の光だけが頼りの撮影となりました。テキサスや前回のシカゴランドはまだ明るいうちに始まるのでね、その光の移り変わりをうまく捕らえると、雰囲気のある写真が撮れるのですが、今回は最初からノーチャンス。
 
そういった意味では圧倒的に光量が足らないものの、光の安定さという点ではデイレース(日中)とあまり変わらないかもしれませんね。ふと思いましたけど。
 
レースはエリオ・カストロネベスが燃費作戦で優勝です! 2回目のイエロー・コーションでちょこちょこ燃料補給を繰り返していたんで、こりゃ燃費作戦でくるんじゃないかと思っていたら、案の定でした。
 
残り数周でトップグループが次々とピットインしてきたので、けっこう緊迫した状態になったゴール前。いったい誰がトップなんだって感じで、少し混乱したのは言うまでもありません。こっちはチェッカーのシーンを撮影するためにスタンバってたんですが、先ほど書いたとおり、今回はなんとなくエリオじゃないかなって思っていたわけです。
 
僕の隣にはペンスキーのオフィシャル・カメラマンがいて、電光掲示版を見てエリオだってお互いに確認したし(多分、残り3周の時点)、無事にエリオがトップでスタート&フィニッシュ・ラインを通過したところを撮影できました。となれば、恒例のフェンスのぼりもあるなってことでね、それを撮影してから表彰台に向かいましたよ。
 
やはり、ブラジルのスパイダーマンこと、エリオといえばこのフェンスのぼりでしょう。優勝できなかったエドモントンの雪辱を晴らすかのような、歓喜の瞬間です!
 
●撮影データ
機種: Canon EOS-1D Mark ?
レンズ: Canon EF 500mm f/4 IS USM
撮影モード: マニュアル露出
シャッタースピード: 1/640
絞り値: F4.5
測光方式: 評価測光
ISO感度: 3200
焦点距離: 500.0mm
オートフォーカスモード: AIサーボAF
ホワイトバランス: オート
 
 

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武藤英紀は予選5位とすばらしいスピードを記録しましたが、その一発の速さとは裏腹に、レースでのマシンセッティングに苦しみました。レースではいつスピンしてもおかしくない状況のマシンを、なんとか最後まで走らせて17位フィニッシュ。
 
撮影しながら見ていたのですが、集団での走行はとても乗りづらそうだというのがわかって、苦労しているなっていうのがファインダー越しに伝わってきました。無事完走できただけでも、十分な仕事をしたと言えるのかもしれません。それ以上いくとクラッシュしてしまうわけですから。
 
この写真は前回のシカゴランド同様、ファイナル・プラクティスでのカットです。ケンタッキーではこのセッションの開始時間が午後6時30分と、ちょっと遅めでした。それでも太陽の光はまだ路面に反射していたのでね、今回もバックショットにトライです。
 
今回はシカゴランドのようなフェンスではなかったため、ストレートに路面の明るさとマシンの影のコントラストを表現しようと。さらに、このコースは車線があるので、それもわかるような構図を狙ってスローシャッターでいきました。
 
すると、英紀と佐藤琢磨がサイド・バイ・サイドでターン4を通過してきたので、絶好のチャンス到来。ピントを内側のラインにいるマシンに合わせていたのでね、外側とのスピード差で琢磨のマシンは少しぶれてしまいましたが、英紀のマシンは少しだけ光が反射しているところをバッチリ撮影できました。
 
次戦はいよいよ、インディ・ジャパンですね。ロジャー安川の参戦も決まり、英紀、琢磨と日本人ドライバーが3人も参戦することになりました! 彼らの活躍に期待するしかないですよ!
 
●撮影データ
機種: Canon EOS-1D Mark ?
レンズ: Canon EF 500mm f/4 IS USM
撮影モード: シャッター速度優先AE
シャッタースピード: 1/30
絞り値: F32.0
測光方式: 評価測光
ISO感度: 50
焦点距離: 500.0mm
オートフォーカスモード: AIサーボAF
ホワイトバランス: オート
 
Text & Photo by Hiroyuki Saito
 
※こちらが今回のPick the Winnerの当選者の方にプレゼントする写真です!