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第14戦シカゴランドのベスト・ショット&撮影裏話!

真夏の3連戦、その2戦目となった第14戦シカゴランドは、6月20日に行われたアイオワのレース以来となるオーバル戦となりました。これから残りはすべてオーバルのレースになりますね。
 
シカゴランド・スピードウエイがあるジョリエットという街は、シカゴのダウンタウンから南西にクルマで50分ほどの場所に位置しています。毎日オヘア国際空港の近くのホテルに滞在して通うのも手ですが、渋滞などにはまると時間が読めなくなるし、ちょっと遠いのが悩みの種。
 
思い切ってコース周辺に宿を取りたいところですが、周辺ホテルが少ない=値段が高いわけです。これは万国共通のことなので諦めて、ちょっと離れた場所を探すのですが、今回のようにナイトレースだと、翌日の移動も考えなければなりません。
 
飛行機もできるだけ安いものにしているのでね、LAに戻る出発時間が早い場合、なるべく空港に近い方がモア・ベターということで、今回はちょうど空港とコースの中間地点にホテルを押さえました。どちらに行くのも約30分。毎日通ってみて思いましたが、けっこう妥当な選択でしたよ。まあ、ほんとうは帰りの飛行機も気にせず、のんびり出発できればいいんですけどね。
 
さてさて、シカゴランドは典型的なDシェープ・オーバルです。カンザスや次戦のケンタッキーのようにグランドスタンド側のカーブがきつくなく、今は開催されなくなった2マイル・オーバルのミシガンやフォンタナのスーパー・スピードウエイを、ひと回り小さくしたような感じです。
 
バンク角度は最大18度と、開催オーバルの中ではテキサスの24度に次ぐハイバンクとなっていて、レースでは十数台のマシンがひとつの大きなパックになってサイド・バイ・サイドを展開。ほんとうに見ごたえのあるコースですよ。
 
今回のシカゴランドを含めた残り3戦は、インディジャパン以外すべてナイトレース。いつからこんなにナイトレースが増えたのかよく覚えていませんが、オーバルのデイ・レースってカンザスとインディ500、アイオワにインディ・ジャパンと8戦中4戦。もう半分だけになってしまったって感じですね。
 
しかも上記のコースでのレースではシングル・ラインになることが多く、どちらかというとサイド・バイ・サイドになるのはそれほど多くありません。つまり、ナイトレース以外でマシンがツーワイドやスリーワイドに並んだ写真を撮影出来るチャンスが、残念なことに年々減っているわけです。
 
カメラが進歩しているおかげでナイトレースの写真のクオリティが上がっているので、撮影という意味ではそれほど問題ないのですが、やはり、暗いより明るい写真の方が発色は良いですからね。
 
あとナイトレースで大変なのは、仕事の終了時間が遅くなることです。ある意味、レースのチェッカーとともに僕らの仕事はまたグリーンフラッグになって、再スタートするようなものなのでね、メディアセンターを出るのが午前様ってときもあります。
 
まあ、それはメディアセンターにそれまで居て良い場合の話で、その日中に追い出されることが多いです。もちろん、ホテルに戻ってからも仕事で、ほとんどは午前様を通り越して朝方に終ることになりますから、気がついたら朝日がって感じです。そのまま空港行きのときもあるんでね、だからこそできるだけ近いほうがいいというわけでして。
 
ともあれ、今回はオーバルならでは接戦、そして単調になりがちなオーバルの写真で偶然撮れたワンカットを選んでみましたよ。
 

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最後のピット・ストップでタイヤを交換せず、燃料補給だけでトップに躍進したダリオ・フランキッティが、みごと今季3勝目を飾りました。トップ争いをしていたランキング・トップのウィル・パワーは燃料が足らず、レース終盤に止む無くピットイン。16位フィニッシュとなった結果、59ポイントもあった二人の差がいっきに23ポイントまで縮まってしまいました。
 
ほんと、レースって何が起こるかわかりませんって感じですが、この調子だとチャンピオンシップを争う上で次戦のケンタッキーが、大きなターニング・ポイントになるかもしれませんね。
 
今回の写真はフィニッシュ直後の写真を選んでみました。1位と2位のタイム差、0.0423秒というのはシカゴランドで6番目の僅差フィニッシュで、この写真のフランキッティとウェルドンの間隔=0.0423秒ということになります。
 
ドライバーに余裕があればスタート&フィニッシュラインを通過する際に片手ガッツポーズといったシーンも見られますが、今回のダリオは最後まで気を緩めることができなかったのでしょうね。チェッカーフラッグ後になって、やっと握り締めた左手をコックピットから突き上げました。
 
いつもならそのままビクトリー・サークルに向かうものの、もう一度グランドスタンドの方に戻って、あらためて左手を上げながらゴールラインを通過。ドーナッツ(スピンターン)でもするのかと思ったのですが、タイヤ交換してなかったからか、ちょっとだけタイヤをホイールスピンさせながらのウィニング・ランでした。
 
表彰台にきてマシンから飛び出したダリオは、いつも以上にうれしそうでしたね。勝ちたかったレースで勝てたっていう感じで、喜びを爆発させていましたよ。
 
●撮影データ
機種: Canon EOS-1D Mark ?
レンズ: Canon EF 70-200mm f/2.8 IS USM
撮影モード: マニュアル露出
シャッタースピード: 1/640
絞り値: F5.0
測光方式: 評価測光
ISO感度: 2500
焦点距離: 20.0mm
オートフォーカスモード: AIサーボAF
ホワイトバランス: オート
 
 

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予選8位からスタートした武藤英紀は、タイヤが外れたりコーション中に追突されてしまったりと散々トラブルに遭いながら、粘りの走りで13位フィニッシュ。でもレースセッティングで大幅な変更ができたそうで、決勝ではやっと混戦の中でも走ることができるクルマになっていました。その動きは見ていて安定感のあるもので、今週末のケンタッキーに期待が高まりますね!
 
さて、この写真は初日の午後5時から30分間行われたファイナル・プラクティスでのカットです。この時間帯、まさにこれから太陽が沈むぞって感じで、まだまだ明るいのですが、沈んでいく太陽のスピードが徐々に早くなっていくタイミングでもあります。
 
フェンスの影も長くなり始めてきたのでね、まずはマシン正面の写真を順光で撮ろうと、ターン3とターン4の中間にあるフォトホールに行って撮影。30分しかないので正面写真は手短に終らせ、逆光気味の光が綺麗だったバックショットを撮影しようと、大急ぎで移動です。
 
すぐにカメラを構えて、ふとフェンス越しにファインダーを覗いたら、黒いプラスチックでコーティングされたフェンスに反射した光が、まるで万華鏡を覗いたときのようにきらきらと飛び込んできました。
 
なんだか綺麗でね、これ、このまま撮影したらどうなるんだべ? って撮ったのがこの写真です。なんといいましょうか、普段見えないはずの光が突然見えたような、不思議な写真だなぁと。その場所、そしてそのタイミングに巡りあえたことに感謝です!
 
●撮影データ
機種: Canon EOS-1D Mark ?
レンズ: Canon EF 500mm f/4 IS USM
撮影モード: マニュアル露出
シャッタースピード: 1/640
絞り値: F7.1
測光方式: 評価測光
ISO感度: 100
焦点距離: 500.0mm
オートフォーカスモード: AIサーボAF
ホワイトバランス: オート
 
Text & Photo by Hiroyuki Saito
 
※こちらが今回のPick the Winnerの当選者の方にプレゼントする写真です!