<US-RACING>
第16戦デトロイトで残り2戦となったタイトル争いは、絶対に負けられないエリオ・カストロネベスが初日のトップ・タイムをマークした。この日、35周を走ったカストロネベスは、タイトルにかける闘志をぶつけるように1分13秒2059を記録。2位のディクソンに0.4937秒差をつけ、タイトル争いの天王山となるデトロイトの初日で先手を打った。「良い一日だったね。ベル・アイルはバンプがいくつもあって、ハイスピード・コーナーがあるテクニカルなコースだけど、とても楽しめているよ。いつもこのコースではとても良い状態なんだ。僕達は正しい方向を向いているけど、まだまだ作業を続ける必要があるね」と気を引き締めるカストロネベス。この勢いのまま明日の予選でポール・ポジションを獲得できるか?
現在ランキング・トップを守るスコット・ディクソンは、勢いづくカストロネベスを止めることができず2位に終わった。午前のプラクティスではカストロネベスをコンマ5秒近く引き離すトップ・タイムをマークするも、午後になってからカストロネベスがペースアップ。ディクソンもなんとか喰らいつこうと周回を重ねるが、午前とは対照的にコンマ5秒近くカストロネベスに水をあけられて初日が終わった。「今朝はとても良かったけど、ウォールに2回ヒットしてトー・リンクを曲げてしまったんだ。マシン自体は今朝のセットをベース・ラインにすれば、まだ速くなる余地はあるし、速くならなくてはいけないね」とディクソン。チャンピオン獲得のためにもカストロネベスをなんとか止めたい。
初日3位に飛び込んだのは、パンサー・レーシングのヴィットール・メイラ。彼のオーバルコースでの速さは誰もが知るところだが、今日はこのベル・アイルのストリートで速さをみせた。上位3人の中では一番多い46ラップを走ったメイラは、41周目に1分13秒9816をマーク。明日の予選でカストロネベスとディクソンのポール争いに割って入るダーク・ホースとなるかもしれない。インディ500で2位になって以降、徐々に調子を上げてきたパンサー・レーシングとメイラは、この5レースでチャンピオンシップ・ランキングを7ポジションあげている。残りの2戦でどこまでランキングを上げてくるのか注目だ。
昨年このデトロイトで2位表彰台を獲得したダニカ・パトリック。今日は38ラップを走行して1分14秒4452の5位に入り、ベテランのトニー・カナーンを上回ってアンドレッティ・グリーン・レーシング最上位となった。ストリートやロードが苦手といわれる彼女だが、このデトロイトは別。マシンの感触にご機嫌のパトリックは、プラクティスが終わったあと、長い時間ファンのサインに応じていた。「どのセッションでもマシンの感触がとても良かったわ。どこのロード・コースへ行ってもトラック・ポジションが重要だから、明日は何とかファイアストン・ファスト・シックスに残って、良い順位でレースを終えたい。今週末に関しては、とても良い結果を出せそうよ」と強気のパトリック。予選で良いグリッドを獲得し、決勝では昨年を再現できるだろうか?
デトロイト初挑戦となる武藤英紀は、経験したことがないほどバンピーな悪路に苦しみ17位に終わった。午前のプラクティスでは1分16秒4874の12番手に入り、まずまずのスタートを切ったが、午後からはライバルのペース・アップに付いていけない。ピットに入って何度もセッティング変更を行うものの、1分15秒5606以上はタイムを縮めることができず、午前より1秒近くタイム・アップしても17位が精一杯だった。明日の予選までに路面を攻略し、今年最後となるロード・コースで上位を狙って欲しい。
「マシンはほんとうに乗りづらく、何をやっても変わらなかったです。コースは今まで一番バンピーで、マシンがバウンドするようでした。セッティングの方向性はチームでバラバラです。午前中はトニーとセッティングが近かったんですが、午後に思いっきりセット変更したことで、今はマルコと近いセッティングになっていますね。色々変更しましたけど、明日は午前中のセッティングをベースにしたいと思います」
曇天のベル・アイル・パーク・サーキット。午前8時30分に雨粒が上空から落ちて波乱を予感させたが、インディカーのプラクティスが始まる午前10時50分にはすでに雨は上がっていた。先に行われていたアメリカン・ル・マンのプラクティスにより、ライン上が乾かされたため、路面はほぼドライとなる。プラクティスが始まると雲間から日が差し、気温も22度まで上がって、午前、午後ともにドライ・コンディションでプラクティスが行われることになった。昨年は3日間とも晴天だったデトロイトだが、初日悪天候に見舞われた今年はどうなるだろうか?