<US-RACING>
第1戦ホームステッドの予選を前に、午後2時30分からアンドレッティ・グリーン・レーシング(AGR)のトニー・カナーンと武藤英紀の記者会見が行われた。今シーズンからチームメイトとなった二人の関係は、昨年カナーンがフォーミュラ・ニッポンに出場したときか始まっており、それ以来より良い関係を築いてきた間柄。この会見ではオフシーズンの過ごし方や、お互いの印象を改めて聞いた。いつもどおりカナーンの冗談が飛ぶ記者会見は、20分に及び、会場は終始和やかな雰囲気に包まれていた。
Q:まず、トニー・カナーン選手に質問ですが、AGRのチーム・リーダーとして、またプライベートではどのようなオフシーズンを過ごしましたか?
トニー・カナーン(以下TK):はい(日本語)、オフシーズンは殆んどの時間をチームのワークショップで過ごしました。今シーズンに向けて新しいアイディアを出したり、英紀がルーキーということで、コミュニケーションが取れるようにポルトガル語と日本語でやり取りをしてきました。
オフの間に鈴鹿でフォーミュラ・ニッポンのレースをしたわけですが、そのときに英紀のレーシング・シューズを借りたんですね。その靴は良い成績(6位)を獲った幸運の靴なので、今夜、こっそりモーターホームの中に入って彼のシューズを盗もうかなと思っています(笑)。
また、オフに一番嬉しかったことは、やはり家族と一緒に過ごせたことです。息子のレオナルドが産まれ、世話をする時間があったことも嬉しかったですね。
Q:では武藤選手に質問ですが、カナーン選手の印象をお願いします。
武藤英紀(以下MH):そうですね、兄貴分のような存在ですね。僕の知らない走り方を教えてくれますし、僕が質問をしなくても、細かい点に気づいてアドバイスをしてくれるので、とても心強いです。
Q:ではカナーン選手、武藤選手の印象はどうですか?
TK:わかりません(笑)。それは冗談として、彼の走りは昨年のインディ・ライツのときから見ていました。そのときから彼は僕に沢山の印象を与えてくれていますね。僕は多くの日本人ドライバーと一緒に走った経験がありますが、と言っても、中嶋悟さんと一緒にレースをしたことがあるほど年はとっていないんですけど(笑)、とても才能のあるドライバーだと思います。同じチームになってからいつも近くで見て感じるのは、いつも落ち着いていることです。その点は僕と違うところですので、僕も見習いたいと思います。セブリングのテストでも良い走りをしていましたし、先ほどのセッションでも僕より速かったので、明るい未来が待っているのではないでしょうか。
Q:テスト前とテスト後の武藤選手の印象は変りましたか?
TK:初めて英紀と親密に話したのは、昨年の鈴鹿でフォーミュラ・ニッポンに出たときですが、そのときはとても静かな青年だなと思いました。また、よく色々なことを観察している人だなとも思いましたね。僕に対してはとても尊敬してくれます。昔、僕がザナルディやセナに接したときと同じような感覚でしょうか、『草を食べれば速くなるよ』といえばほんとうに食べてしまいそうなくらい、熱心に話を聞いてくれます。テストの後は、ただ良い青年というだけでなく、とても速いドライバーだという印象を持ちました。
Q:今年から4周アタックの予選になりますが、昨年との違いは何でしょうか?
TK:今までは2周のどちらかが速ければ良かったわけですけど、4周の平均スピードになるということで、トップ・スピードというよりも安定した走りが求められます。
MH:僕もトニーと一緒の意見で、安定した走りが必要ですね。1周目からアタックしすぎると4周目にペースダウンしてしまうと思いますから、バランスをとりながら予選に臨まないといけないと思います。
Q:AGRでのはじめてのレースがナイト・レースということで、カナーン選手は武藤選手にどのようなアドバイスをしましたか?
TK:透明なヘルメット・バイザーをつけることですね(笑)。昼間のプラクティスから夜のレースにかけて大きな温度差が生じ、マシンのバランスも変わってきてしまうので、その点に気をつけたほうが良いと言っています。インディカーでのナイト・レースは初めてですが、シカゴランドのデビュー戦でオーバルも経験していますから大丈夫でしょう。あとは英紀からなにか質問があれば、できるだけ答えるようにしています。でも、やっぱり透明なバイザーは大事かな(笑)。
Q:では最後に、カナーン選手と武藤選手からインディジャパンに向けての豊富をお願いします。特にカナーン選手はディフェンディング・ウイナーとしてレースに臨む気持を、お聞かせください。
TK:僕は日本が大好きです。今まで優勝に近いところまで行くのに、なかなか勝てなかったのですが、昨年ついに勝つことが出来ました。フォーミュラ・ニッポンの時にも、250人のブラジル人を含む多くの方が応援にきてくれましたので、アメリカでレースをするときよりファンが多かったのではないかと思います。今年も頑張ってよい結果を残したいですね。
MH:やはり母国のレースなので、よりいっそう気が引き締まります。チームとして良いデータも持っていますし、昨年はトニーが勝っているから、また彼からアドバイスを受けて、自分も良い走りが出来たらと思います。頑張ります。