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インディ・カー・オープン・テスト セブリング【二日目】 フォト&レポート

<US-RACING>

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2日目を迎えたセブリングでのオープンテストは、アンドレッティ・グリーン・レーシング(AGR)武藤英紀の活躍が光った。昨日はミスが響いてタイムを上げられなかった武藤は、朝からタイム・アタックを行い、42周目に52秒9513のベスト・タイムをたたき出す。このタイムは午後になってからも破られることはなく、ベテランのカナーンですら終盤まで武藤を上回ることが出来ずにいた。結局最後はカナーンが渾身のアタックで武藤を0.09秒逆転したのだが、カナーンは武藤のセッティングを参考にしていたため、結果的に武藤のセッティング能力の高さが証明されることとなった。カナーンからは、「ヒデキはすばらしい仕事をしたよ。もし僕がルーキーだったら、最初から今日みたいなことは出来ないね。今日の結果で彼に対する日本のファンの皆さんからの期待は、さらに高まったと思うよ」と太鼓判を押されるほど。開幕戦がますます待ち遠しくなった。

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「セント・ピーターズバーグを想定して、もっとトラクションを得る方法がないか試していました。今日はこのトラクションが主な課題となりましたが、良い方向性を見つけることが出来ました。良いタイムを出せたことよりも、ロード・コース用のマシンに慣れることができたのが、大きな収穫ですね。エンジニアとのコミュニケーションに関しては、自分のフィーリングを85%ぐらいまでしか伝えることが出来ていません。残された15%が重要な部分なので、しっかり伝えられるようにならなくてはいけませんね。でも、今日のテスト結果は僕たちにとって良いサインが出ている証拠ですよ」

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連日のトップ・タイムとは言え、今日はルーキー武藤の活躍に肝を冷やしたトニー・カナーン。テストはタイムを競うものではないと言いつつも、チーム内で誰よりも多い125周を走りこみ、意地のタイム・アタックで124周目に武藤のタイムを破る52秒8609をマークした。「マシンはかなり良くなったよ。僕たちは今日一日で大きな進歩を遂げることができた。今日は僕が試して良かったものをヒデキやマルコ、そしてダニカが確認したり、逆に彼らが試して良かったものも確認していたんだ。実際、最後にトップ・タイムを出したときのセット・アップは、ヒデキが試して好感触を得ていたものだから、彼には感謝しなくちゃいけないね」とトップに立って上機嫌のカナーン。武藤の速さがベテランを刺激し、武藤はチームにとって良い潤滑油となっているようだ。

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3位に入ったのはマルコ・アンドレッティ。彼も武藤のタイムを上回ろうと、積極的にタイム・アタックを行っていた。だが、攻めすぎてコース・アウトする場面もあり、午後のセッションではタイム・アップを図れなかった。トータル109周を走り、ベストラップの53秒2452が記録されたのは16周目。ルーキーの武藤にもコンマ3秒溝を開けられてしまった。ところで、アンドレッティは来週末セブリングで行われる伝統の12時間耐久レースに出場することが決定した。チームはもちろんAGRであり、ブライアン・ハータやクリスチャン・フィッティパルディとともにアキュラのマシンを駆る。「セブリングのレースに出れるなんてとてもうれしいよ。ブライアンやクリスチャンと一緒にレースをするのも楽しみにしているんだ。僕のお祖父ちゃん(マリオ・アンドレッティ)はここで3回も勝っているから、ぜひ僕も優勝者のリストに名前を加えたいね」と語るアンドレッティ。初挑戦の耐久レースでどんな走りを見せるだろうか。ちなみに、セブリング12時間耐久レースのドライバー候補には武藤の名前も挙がっていたようだ。残念ながら今回は実現しなかったが、今後武藤がアメリカン・ル・マン・シリーズにスポット参戦することがあるかもしれない。

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セブリングのロード・コースでもAGR勢に割って入り、4位につけたヴィジョン・レーシングのA.J.フォイト4世。初日からただ一人83周ものラップを重ね、精力的に走りこんでいる。2日目はコースを習熟し、1秒以上のタイム・アップに成功した。セッション終盤にはチームメイトのエド・カーペンターとマシンを交換して比較テストを行うなど、セット・アップに余念がない。ホームステッドのオーバルでも上々の仕上がりを見せていただけに、フォイト4世の速さは侮れないだろう。

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セブリング・インターナショナル・スピードウェイは、朝のうち綺麗な青空が見えていたものの、時間とともに上空が薄い雲に覆われていった。薄い雲から漏れたやわらかな光がサーキットを照らし、時には雲間から強い光が差し込むこともあって、気温は27度まで上昇する。しかし、強い風によって雨雲が運ばれてくるという予報もあり、この暖かさの中で雨の心配をしなくてはいけなかった。雨によってテスト・セッションが限られてしまうことを避けるためか、午前のセッションは45分間延長され、午後12時45分に終了。1時間後の午後1時24分から午後のセッションが開始されると、懸念されていた雨が降ることはなく、予定通り午後5時にセッションが終了した。テスト期間が限られているだけに、各チームとも予定のプラグラムをこなせて一安心といった様子。