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インディ・カー・オープン・テスト デイトナ【最終日】 フォト&レポート

<US-RACING>

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2日目のテストはトップにエリオ・カストロネベス、2位に昨年のシリーズチャンピオンであるサム・ホーニッシュJr.がつけ、チーム・ペンスキーが1−2を獲得した。カストロネベスは昨日のカナーンのタイムには及ばなかったものの、1分12秒3538のタイムを記録。この日の走行は僅か34周に留まったが、「僕たちはとても良いテストができ、多くのことにトライできた。サムと僕はできるだけ多くのことを話し合うようにしていたんだ。チーム・ペンスキーにとって実りのある、すばらしいテストになったよ」と2日間のテストを振り返った。ホーニッシュJr.は雨を予想してか、午前中から積極的にラップを重ねていた。記録された1分12秒7670の自己ベストも午前中にマークしたもので、午後は13周しか走行せず、タイム更新もなかった。「新しいホンダのエンジンに関しては、すごく上手くいっていると思う。トルクが増しているからコーナーの出口ではホイール・スピンが起きるね。マシンをコントロールするのにドライバーの能力、感覚が再び必要になるね。このマシンに乗って色々学んで成長する機会になるはずさ」と好感触を見せるホーニッシュJr.。トップ2を独占したペンスキーの二人が、今年もシリーズを引っ張っていきそうな予感だ。

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昨日トップタイムを記録したトニー・カナーン。2日目はペンスキーとチップ・ガナッシが調子を上げたため4位に留まったが、何とかチップ・ガナッシの間には割って入って見せた。2日目は天候不良もあり、12秒台のタイムを記録したのはトップ3と1分12秒9120をマークしたこのカナーンだけ。さらに、昨日彼が記録したタイムを、今日は誰も更新することができなかったため、カナーンは2日間の総合トップとなった。「最後のセッションは1歩後退したように思えたけど、僕たちは幾つかのこと、ここで何をすべきかってことを学んだと思う。昨日はトップでフィニッシュし、テスト期間全体のトップ・スピードを記録できたことはいい気分だよ」と語るカナーン。ペンスキーとチップ・ガナッシの牙城を崩すのは今年もこの人のようだ。

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昨日とは風向きが変わり、各チーム、セッティングに苦しんでいたなか、松浦も同様にギアのセッティングに苦しんでいた。しかし昨日とは異なり、午前中から順調に周回を重ね、この日41周を周回。タイムは自己ベストに及ばない1分13秒9553だったが、インフィールド区間でチップ・ガナッシのディクソンの後を追えるなど、本人は納得の様子だ。「この2日間色々マイナー・トラブルが出たんですけど、そのマイナー・トラブルを出すためにここへテストに来ているので、そういう部分ではトラブルが昨日、今日と出てくれたお陰でよかったと思うし、それがレース・ウィークに出ないことを祈って、自分たちで作業をしなきゃいけない。タイム・シートを見るとあまり良くない結果かもしれないんですけど、自分たちとしてはすごく収獲のあった2日間ですし、このコースでタイムを出すにはダウンフォースを削っていけばタイムが出るというのは分かっている」と語る松浦。この2日間のテストは実りのある結果となったようだ。

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ペンスキーの2台に続いたのはダン・ウェルドン。2日間安定した速さを見せたウェルドンは総合でも3番手に入り、今年もペンスキーの対抗馬がチップ・ガナッシであることを示した。午前中から精力的に周回をこなすウェルドンは、この日トップ3となったドライバーで誰よりも多い48周を周回。「No.10ターゲット・カーにとって、デイトナ・オープン・テストはほんとうに良いものになったよ。僕たちは多くのことをこなし、このダラーラでロード・コースを楽に走れて自身がついたよ。良いシーズンのスタートになったね」と語り、開幕に向けて弾みがついたようだ。セクションベストこそ1ヶ所しかなかったが、うまくまとめて1分12秒8365のタイムを出したあたりは、2005年チャンピオンの貫禄だろうか。

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昨年までフェルナンデス・レーシングをスポンサードしていたデルファイが、パンサー・レーシングに移った。ステアリングを握るのはヴィットウォール・メイラ。デルファイの文字が黒で縁取りされるなど細部は違うが、昨年スコット・シャープが乗っていたマシンとほとんど同じため、メイラが乗っていることに違和感を覚えてしまう。しかし、こうした違和感も開幕前のテストではよくあることなので、シーズンが進めばじきになれてしまうだろう。

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ダリオ・フランキッティのカラーリングが一新。新スポンサーにブロードバンド電話のリーディング・カンパニーであるボネージと、日本でもお馴染みのウィスキーブランドのカナディアン・クラブが新たに加わった。ブラックをベースに、ボネージのコーポレートカラーであるオレンジが塗られ、昨年に比べるとかなり印象が異なる。2006年シーズンは1勝も出来なかったフランキッティだけに、カラーリングとともに気分を一新してシーズンに望みたいところだ。

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レイホール・レターマン・レーシングへ移籍したスコット・シャープのメインスポンサーは、世界的にテキーラで有名なアルコール飲料メーカー、パトロン。マシンはブラックに明るいライムグリーンが映えるカラーリングが施された。煙草広告が世界中で規制される一方で、アルコール飲料に関する広告は各国まちまちのというのが現状。アメリカではこのように堂々とスポンサードが可能だ。

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朝のうちは晴れていたもののセッションが始まる頃には雲に覆われていたデイトナ・インターナショナル・スピードウェイ。時折、太陽の光が差すこともあったが、昼間には一時小雨が降るときもあった。昨日は快晴でも肌寒さを感じたがそれに引き換え、二日目は暖かくなり、最高気温も20度まで上昇した。午後のプラクティスがスタートし、時計が2時50分を回った頃、予報通りの雨が降り出す。雨は見る見るコースを濡らし、全ドライバーが走行を見合わせた。その後、1時間チームの走行がなかったことで、午後3時50分、オフィシャルは正式にテストの中止を発表した。午後は4時間のセッションが用意され、1人当たりの走行は100周を超えると予想されていただけに、開始2時間での雨はチームのテスト・プログラムを台無しにするものとなった。1時間もたたないうちに雨はあがったが、コース状況を知る全チームはさっさと片づけを開始。残り1時間を残し、2日目のテストは予定より早く終了した。