INDY CAR

松浦孝亮、今年2戦目のロードコースで予選11番手

<SUPER AGURI PANTHER RACING>
<2007 IRLインディカー・シリーズ第10戦 キャンピング・ワールド・ワトキンスグレン・グランプリ>
【日 程】7月6〜8日
【開催地】ニューヨーク州ワトキンスグレン
【コース】ワトキンスグレン・インターナショナル
【距 離】3.37マイル(5.422km)×60周=202.2マイル(325.32km)
■■■7月7日予選■■■
天候:晴れ/気温:28℃
時間:13:30〜15:00(日本時間8日2時30分〜4時00分)
<一気にタイムアップしたワトキンスグレン>
 2007年のIRLインディカー・シリーズは第10戦キャンピング・ワールド・ワトキンスグレン・グランプリを迎えた。ニューヨーク州の西北部マンハッタンからクルマで4時間以上はかかる山間のロードコース、ワトキンスグレン・インターナショナルは、1980年までF1アメリカGPを開催していた由緒あるサーキットだ。アップ&ダウンに富み、チャレンジングな高速コーナーをいくつも持つワトキンスグレン戦では、金曜日にプラクティスを開始、土曜日に予選を行い、決勝レースは日曜日にスタートするという伝統的なスケジュールが採用されている。過去2年間、ワトキンスグレンでのインディカー・レースは雨に見舞われた。多くの湖が点在する山中のコースだけに天候が不安定なのだ。今年のレースウイークも、少なくとも金曜日には雨が降るとの予報が出されていたが、幸いにも走行初日から好天に恵まれ、ドライコンディションでプラクティスを走ることができた。
 金曜日の午前10時15分から2時間、午後3時30分からは2つのグループに分かれて、それぞれ30分ずつ走行。この2セッションがともにドライであったことは、スーパーアグリ・パンサー・レーシングだけでなく、全チームのマシンセッティングを大きく進歩させた。ワトキンスグレンはシーズンオフに一部路面の補修がなされており、その部分はグリップが高くなっている。セッティングが煮詰まり、路面コンディションも改善されたことにより、ラップタイムは昨年までと比べて一気に速くなった。トルクが増大したHondaインディV8エンジンの威力もプラスされているはずだ。
<走り始めから好感触も予選日にアクシデント>
 走行初日、松浦孝亮は総合8番手につけるタイムをマーク。プラクティス1回目は9番手だったが、ここではタイヤを1セットしか投入していない。チームがワトキンスグレンへと持ち込んだマシンのイニシャル・セッティングが良かったこと、そこからさらに進化を遂げたことが好位置からの発進を可能にした。
 プラクティス2回目、松浦は1分30秒8648で5番手に。ダウンフォースを減らす方向へとセッティングを進めたところに、暑くなったことが重なり、マシンバランスに多少の狂いが出た。しかしベースセッティングの素性の良さから、松浦はセッション終盤に好タイムをマーク。15周ほど走り込んだタイヤを装着して自己ベストを更新した。
 ところが土曜日のプラクティスで、松浦はアクシデントに見舞われる。バスストップ・シケインで、松浦のマシンはリヤサスペンションとリヤウイングにダメージを受けた。しかし、それで松浦とチームスタッフの表情が暗くなることはなかった。前日までのデータをもとにマシンはさらにスピードアップを果たしており、そのために発生した事故とも言える状況だったからだ。スーパーアグリ・パンサー・レーシングは予選トップ6に入ることを目標に定め「ファイアストン・ファスト6」を戦う栄誉を手にするべく意気込みを新たにした。
<コンディションの急激な変化と予想外の結果>
 午後1時30分過ぎから開始された予選は、屋外に立っているだけで汗がにじみ出すほどの暑さとなった。照りつける太陽により路面の温度も一気に上昇。予選アタックは、プラクティス3回でのベストタイムが遅い順となる。松浦は11番目にコースイン。トップ5すら射程圏内と考えていた松浦だが、アタックに入るとアンダーステアが強く、思うように攻めることができない。第8コーナーで、わずかながら左後輪がコースをはみ出したことも影響したのか、タイムは1分31秒9641という不本意なものとなった。午前中は気温や路面コンディションが良かったとはいえ、1分29秒台さえ十分に狙える仕上がりだっただけに、残念な予選結果に終わってしまった。
 しかし、決勝レースに向けては大きな期待と自信を有している。金曜日に行われた2回のプラクティスで、ユーズドタイヤで好タイムを記録したことは、松浦の駆る55号車がレースコンディションで安定したパフォーマンスを発揮できるマシンになっていることを証明している。グリップレベルが向上した新しい路面は、ドライバーに高い体力を要求するが、その面でも松浦は自信を持っている。チームクルーたちがピットストップで着実に仕事をこなし、松浦が全力を出してこたえることで、キャリア最高のリザルトを狙っていく。

■■■コメント■■■
<松浦孝亮>
「トップグループと同じ速さで走る自信はある」
「予選ではタイヤの空気圧が合っていなかった。プレッシャーが高過ぎてフロントタイヤがスキップしてしまいました。くやしいですね。確かに朝のプラクティスでアクシデントを起こしてしまったことは、レースウイークの流れという面からは良くなかったかもしれません。でも、マシンのセッティングは金曜日と比べてすごく進化しているんです。コンピュータのデータ上では、あのアクシデントの時点までコンマ6秒も速くなっていました。1分29秒台に入れるという状態まで持ってきていたんです。だから、予選ではもっと良いタイムを出して上位に食い込んでいけると自分でも期待していました。とにかく今週は走り始めからマシンの状態がとても良い。僕らはロードコースでのセッティングにおいて、かなりレベルの高いものを手にしていると思います。おそらく決勝レースはペースが速くなると思われますが、自分たちもトップグループと同じ速さを保って走り続けることはできると思います」
<ロン・キャット:チームマネージャー>
「予選で発生したアンダーステアの原因を解明しなくては」
「今週末はロードコースでの戦いとなる。最初のプラクティスから、コウスケはマシンのフィーリングがとても良いと言ってくれている。ベースセッティングが正しく、そこから小さなチューニングを重ねることで、さらにマシンを速くすることができた。ところが予選ではなぜかアンダーステアが発生してしまった。ダウンフォースをつける方向へとセッティングを変更したのに、アンダーステアが出てしまったことに関しては、もう一度データを検討して原因を解明しなくてはならない。予選結果は11位。これは我々が望んでいたリザルトではない。我々のマシンも、コウスケの実力も、もっと上位に食い込めるはずのものだと確信している。レースに向けて、マシンの仕上がりは非常に良い。今日までに得られたデータから、決勝レースにはファインチューニングを施したマシンを用意する。天候は今日と同じか、若干だが暑くなる可能性がある。さらにダウンフォースをつける方向へ変更することも検討する必要があるかもしれない。スタートからひとつでも上のポジションを狙い、トップグループに食らいつき、ゴールまで戦い抜いて好成績を残したい」
■■■予選結果■■■
3.37マイル(5.422km)               出走18台
順位 No. ドライバー     タイム  平均速度mph(km/h)
1位  3  H.カストロネベス  1’29.1919  136.021(218.858)
2位  9  S.ディクソン    1’29.5686  135.449(217.937)
3位 27  D.フランキッティ  1’29.6764  135.286(217.675)
4位 11  T.カナーン     1’29.7843  135.124(217.415)
5位  6  S.ホーニッシュJr.  1’29.9676  134.849(216.972)
11位 55  松浦孝亮      1’31.9641  131.921(212.260)
※全車、シャシーはダラーラ、エンジンはHonda、タイヤはファイア