<US-RACING>
今シーズン、開幕戦以来2回目のナイト・レースとなるテキサスで、初日のトップ・タイムをマークしたのはスコット・ディクソンだった。1回目のプラクティスこそ、213.632mphの4位に留まった2003年チャンピオンのディクソンだが、2回目のプラクティスの6周目に214.164mphまでスピードを伸ばし、トップに踊りでる。この後、彼のスピードを上回るものは現れず、ディクソンはトップのまま初日を終えた。「今日はマシンの調子が良かったね。ほぼ1日中レースのセット・アップに集中していたんだ。このようなセッションでは時間の使い方が難しい。ずっと走っているとタイヤが減りすぎるし、セッションが長く感じることもあるね。まぁ、少しフラストレーションがあったけど、基本的には良い一日だったよ。今夜はずっとトラフィックの中で走っていたから、このスピードはドラフティングのおかげだろうね」と明るい表情を見せるディクソン。今シーズン初勝利に向けて、上々の立ち上がりとなった。
先週のレースで2位に入り、現在ポイント・ランキング1位と波に乗るダリオ・フランキッティ。この日も1回目のプラクティスで214.138mphのスピードを叩き出して2位に入り、決勝に向けてのセット・アップも万全のようだ。「全体的にみて悪い一日ではなかったよ。僕たちは様々なコンディションでセット・アップをしていた。レースにかなり近いコンディションではとても良い走りができているよ」とフランキッティは語る。一方、先週のミルウォーキーで勝利を挙げたチームメイトのカナーンは、誰よりも多い94周を走りこみ、214.072mphのスピードで3位に食い込んで見せた。「今日は色々なところを調整することができたし、変更に対してセブンイレブンのマシンはとてもよい反応を示してくれたね」と満足げに語るカナーン。アンドレッティ・グリーン・レーシングはフランキッティとカナーンを含めた全4台がトップ10に入り、先週に続いて好調をキープしている。明日の予選もこのチームの4人に注目だ。
ミルウォーキーで今シーズン2回目の完走を果たした松浦孝亮。このまま調子を上げて行きたいところだったが、1回目のプラクティスでホイール・シャフト・ベアリングからのオイル漏れに見舞われてしまう。このトラブルが尾を引いたのか、2回目のプラクティスはピットに出たり入ったりを頻繁に繰り返していた。結局、この日走りこんだのは51周と、全20人のドライバーの中で一番少ない周回数に留まり、順位も総合で15位となったが、明日の予選では松浦の巻き返しに期待しよう。
快晴となったテキサス。時折、雲は見えるものの雨が降る気配はなかった。気温は31度までに達し、加えて湿度が高いために少し動くと汗が出るくらいに蒸し暑く、テキサスらしい暑さが強い風に乗って運ばれていた。24度というハイバンクを持つDシェイプのオーバル・コースとして知られるテキサス・モーター・スピードウエイは、毎年2ワイド、3ワイドの迫力あるバトルが見所となる。今日もプラクティスから、決勝を見据えたトラフィックでのセット・アップをするため、2ワイド、3ワイドの走行が随所に見られた。その光景はレースと見間違うほど迫力があるものであり、今年も決勝でのスリリングなレースを期待させる。
先週のミルウォーキーではウエルドンがフジフイルムの特別カラーで走行したが、今週はこの日トップだったディクソンのカラーリングが変更された。今回、チップ・ガナッシのナンバー9に施されたのは、禁煙促進錠剤のメーカーであるコミットのカラーリング。鮮やかな青のグラデーションにコミットのロゴが映えるデザインは、いつも攻撃的な赤が特徴的なチップ・ガナッシのマシンだけに、とても新鮮に見えた。世界的な健康増進ブームでタバコ・ロゴがモーター・スポーツ界から消える中で、コミットのような禁煙を促進するメーカーが登場するのも、時代の流れといえる。
先週のレースで接触するアクシデントがあったダニカ・パトリックとダン・ウエルドン。接触の影響でポジションを失ったパトリックは、レース後も怒りが収まらず、ウエルドンに詰め寄る場面が見られた。「『何考えてるの?私が見えなかったの?なぜあそこで引かなかったのよ』と言ってやったわ。彼は何も言わなかったけどね」と、いつも通り強気でパトリックがインタビューで言えば、一方のウエルドンは「レースに勝てないプレッシャーじゃないの」と応戦。この二人のバトルがしっかりテレビに映っていたため、今週のテキサスでは、こんな横断幕まで用意されてしまった。初日を終えてウエルドンは4位で、パトリックは9位。明日の予選、そして決勝と、このポジションがどう変化するのか、ファンの熱い視線が二人に注がれることだろう。