<SUPER AGURI PANTHER RACING>
<2007 IPS インディ・プロ・シリーズ 第2戦Honda GP オブ・セント・ピーターズバーグ>
【日 程】3月30日〜4月1日
【開催地】フロリダ州セント・ピーターズバーグ
【コース】セント・ピーターズバーグ市街地特設コース
【距 離】1.81マイル(2.912km)×40周=72.4マイル(116.5km)
■■■3月31日決勝(第2戦)■■■
天候:快晴/気温:27℃/時間:14時50分〜(日本時間4月1日3時50分〜)
<マカオ以来のストリートレース>
2007年IPSインディ・プロ・シリーズの第2戦は、フロリダ州セント・ピーターズバーグの市街地コースで行われる。1週間前にホームステッド・マイアミ・スピードウェイで行われた開幕戦で3位フィニッシュしたばかりの武藤英紀にとっては、マカオ・グランプリ以来のストリートレースである。
リゾート地として名を馳せるセント・ピーターズバーグに設営される全長1.81マイル(2.912km)のコースは、とてもユニークで、そしてエキサイティングだ。スタートフィニッシュは飛行場の滑走路で、公園内の道路と普段は生活道路として使われている本当のストリートが見事にミックスされている。
<ストリートレースならではの難しさ>
前日のプラクティスで武藤がまず最初にしなければならなかったのは、初めて走るコースを覚えることだった。しかし、多くの時間が費やされることはなく、5番手タイムをマークすることができた。マシンのセッティングは、今ひとつ納得のいくものではなかったが、武藤とスーパーアグリ・パンサー・レーシングは、プラクティス2回目でマシンを一気に向上させることに成功した。
しかしクリアラップが獲れず、スピンしたマシンを避けてタイヤカスを拾った直後、自らもスピンを喫し9番手に下がったが、マシンの状態には自信を持って予選日を迎えることができた。
<エンジントラブル発生>
今週は2レースが予定されているが、2回行われる予選はどちらも第2戦のスターティンググリッドを決めるためのものである。明日行われるシリーズ第3戦のグリッドは、今日のレースの結果によって決められるためである。
武藤は1回目の予選で5位。フレッシュタイヤを投入*したところで他車のアクシデントでフルコースコーションが出され、狙っていたポールポジション、あるいはそれに近い順位を得ることはできなかった。
チームは予選2回目にもフレッシュタイヤを1セット用意。武藤はセッション開始早々に1分7秒台に入る好タイムをマークした。ところが、新しいタイヤにスイッチしようというところで突然エンジンがブローしてしまう。この時点でのポジションは5位。さらに後方グリッドとなる可能性があった。しかし、この後に武藤を上回るタイムを記録する者は現れず、トップ4のひとりがフルコースコーション中にベストラップを記録したことに対してペナルティを課されたため、4番グリッドからレースをスタートすることになった。
IPSインディ・プロ・シリーズのエンジンはすべて主催者所有、主催者による一括管理とされており、1万7000マイル(27.353km)の走行距離をもって交換するルールとなっている。このため、予選後のエンジン交換によるペナルティはない。しかし、スーパーアグリ・パンサー・レーシングは、急遽エンジンの載せ換えを余儀なくされた。クルーたちは全力で作業に当たり、決勝スタート時刻に何とかマシンを間に合わせることができた。
<好スタートと冷静なレース運び>
レースは40周。武藤のスタートはまずまずのものだった。ブレーキングを遅らせた1周目のターン1で1台をパスして3位へと浮上。そのポジションをしばらく走り続けた後、トップを争うふたりが接触した隙をうまくついた武藤は、18周目に2位へとポジションを上げた。
逃げるアレックス・ロイド、追う武藤。ふたりは3位に上がってきたジョナサン・クライン、彼にアタックを仕掛けるステファン・シンプソンを突き放しての一騎打ちへと持ち込んだ。予選タイムに迫る1分7秒台で逃げるロイドに対し、武藤もほぼ同じラップタイムを出して応戦したが、ストレートエンドでアタックを仕掛けるところまでは接近できず、第2戦は2位でゴールすることとなった。
<アクシデント発生でレースは57周で終了>
武藤が3位へとポジションを戻した直後だった。武藤のインから後退していったドライバーがスピン。外側を走っていた1台を巻き込みキャッチフェンスに激突し、後続には大混乱が起きてさらに2台がアクシデントに巻き込まれた。67周のレースが47周目を迎えたところだった。
レースはフルコースコーションとなったがキャッチフェンスのダメージが大きく、その修理をせずにレースを続行することは危険であるとの判断が下され、10周短縮の57周でイエローフラッグとチェッカーフラッグが同時に振られた。武藤はIPSデビュー戦、そして初めてのオーバルレースで3位入賞を果たした。
■■■コメント■■■
<武藤英紀>
「2位という結果は悪くないが、やっぱり勝てなかったことが悔しい」
「コースは短時間で覚えることができました。思っていたよりバンピーではないですね。テストを行ったセブリングの方がずっとバンピーでした。マシンはプラクティス3回目まででかなり良いものにできていたんですが、予選2回目にエンジントラブルがあって、レースではオイル漏れ、水漏れの心配がありました。チームがパーフェクトな仕事をしてくれたのでトラブルなく最後まで走り切ることができました。2位になってからは、何とかして前をいく相手をパスしようとトライしていましたが、ある程度の距離まで近づくとフロントのグリップがなくなって、タイムが悪くなってしまっていました。2位という結果は悪いものではないですが、やっぱり勝てなかったことが悔しいですね。リスタートではトップのマシンが減速したり加速したりを繰り返していて、こちらが加速のタイミングを合わせられないようにしていました。自分の方は、リスタート前にタイヤカスを拾ってしまっているのか、レースが再開された直後のグリップが低くなっていました。明日の第3戦に向け、何を改善すべきかはわかったと思います。ファステストラップを最後に記録できたことで、マシンの良さ、自分の力をライバルたちに知らせることもできたと思います。明日のレースでは優勝できるよう頑張ります」
<ジョー・ケイン:チームオーナー>
「明日の第3戦でも優勝争いができると確信している」
「予選2回目にエンジントラブルが発生したことにより、我々のレースは非常に難しいものとなっていた。しかし、クルーがエンジンの積み替えを短時間で完璧に行い、ヒデキもそれに応える見事な走りを見せてくれ、4番手スタートから2位でゴールすることができた。エンジン交換という大きな作業が最優先されなければならない状況だったため、サスペンションの細かな部分はすでに考えられていたセッティング変更を完全に施すことができなかった。その点を考えれば、2位という結果にはおおいに満足すべきだろう。明日のレースではトップ6のスターティングポジションが裏返しにされるルールのため、我々は5番手グリッドからスタートする。しかし、ヒデキは今日のレースでも前をいくマシンをオーバーテイクしており、明日の第3戦でもポジションを上げ、優勝争いができるものと確信している」
■■■決勝結果■■■
1.81イル(2.912km)×40周=72.4マイル(116.5km) 出走24台
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順位 No. ドライバー 周回数 タイム差
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1位 7 A.ロイド 40 56’59.2976
2位 55 武藤英紀 40 +1.6038
3位 2 J.クレイン 40 +8.3402
4位 24 S.シンプソン 40 +9.3671
5位 44 J.ハワード 40 +16.1795
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※シャシーは全車ダラーラ、タイヤは全車ファイアストン
■■■ポイントスタンディング■■■
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順位 No. ドライバー ポイント ビハインド
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1位 7 A.ロイド 105 リーダー
2位 55 武藤英紀 75 -30
3位 9 C.フェスタ 65 -40
4位 1 B.ウィルソン 56 -49
5位 24 S.シンプソン 51 -54
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※シャシーは全車ダラーラ、タイヤは全車ファイアストン