<US-RACING>
快晴となった2日目のセント・ピーターズバーグ。朝から強い日差しが照りつけ、インディカーの予選が行われる頃には、26度まで気温が上昇した。予選はオーバル同様一台ずつのアタックで行われるシングル・カー・クオリファイの後、そのトップ6が改めてタイムを競う“ファイアストン・ファスト・シックス”でポール・ポジションが確定する。みごと今季初のストリートの予選を制したのは、エリオ・カストロネベスだった。トップ・タイムをマークしていたカナーンが、アクシデントでセッションを中断させたことによるペナルティを受けてしまい、後退したために繰り上がりでポール・ポジションの座へ。それでもカナーンに続いてただ一人、アベレージ・スピード105mphを記録。1分1秒6839のコース・レコードをマークして、ポール・ポジションにふさわしい速さを見せた。「チーム・ペンスキーのみんなは、信じられないくらいすばらしいよ。僕のエンジニア(ロン・ラゼウィック)は、特にすばらしい仕事をしてくれた。今週末、最初のセッションから何をすべきか、また何をすれば良いのかを考えてきた。速いマシンに仕上げていいラップ・タイムが出ていたから、予選ではその成果が出たんだ」と語るカストロネベスは、自分で記者会見をしきるほど上機嫌。明日のレースは、IRL最多記録となるキャリア17回目のポールから優勝を狙う。
予選2位フロントローは、2年目のマルコ・アンドレッティ。シングル・カー・クオリファイを4位で通過したアンドレッティは、ベスト6での予選アタックに入り、周回ごとにタイムを更新していく。カストロネベスを追撃すべく、セッションの最多ラップとなる8周を周回したが、あと一歩及ばなかった。「NYSEチームみんなの期待に応えることが出来た。彼らはこのマシンのために、懸命に働いてくれた。簡単な予選ではなかったよ。でも誰にとっても簡単ではないと思っている。ラスト・ラップではポール・タイムに接近できたはずだったが、前にスコット・ディクソンがいたのは残念だったね」と話すアンドレッティ。キャリア初ポールとはならなかったが、昨年のインフィニオン・スピードウエイ以来の、ベストグリットとなった。明日のレースで初優勝を遂げたインフィニオンの再来となるか、注目があつまる。
トップ5に食い込んだのは、元全日本F3チャンピオンの肩書きを持つ、ダレン・マニング。シングルカー・クオリファイで9番目に走行したA.J.フォイト・エンタープライゼスのマニングは、1分2秒4822を記録して6番手に滑り込んだ。迎えたベスト6での予選ではさらにタイム・アップを図り、見事5位を獲得した。A.J.フォイト・エンタープライゼスは、A.J.フォイト4世が2004年のシカゴ・ランドで予選6位を獲得して以来の、予選ベストを記録。この活躍により、マニングは記者会見の席にも呼ばれた。「すばらしい週末だよ。エンジニアやA.J.とコミュニケーションをしっかりとって、良いマシンを用意することができた。あともう少し変更を加えれば、トップと戦えると思う。こんな早い時期に良い走りができたので、これからのレースに向けて、かなり自信がついたね」と話すマニング。決勝ではさらに上位を目指したいところだ。
昨日のプラクティスで、グループ1のトップ・タイムをマークした松浦孝亮。今日の午前中は8番手をキープし、午後の予選を迎えた。依然強い日差しが照りつける中、松浦は12番目に登場。ターゲット・タイムとなる暫定トップのダレン・マニングがマークした、1分2秒4822を目指してアタックを開始する。目だったミスもなくアタックを終えた松浦だったが、タイムは1分3秒5381と伸びず、暫定5位。最終的には10番手まで落ち、昨日のプラクティスに比べると残念な結果となった。「ノーミスで走りきったんですけど、クルマが滑っていたんじゃないですかね。思ったよりタイムが出ませんでした」と悔しげな表情を浮かべる松浦。「気温が上がったから、コンディションは良くなかったです。ファイン・チューニングでクルマの感触は良かったんですが」。しかし、明日のレースの巻き返しを誓い、「戦略が大事なコースなので、どういう戦略になるかはわかりませんが、調整して前に出て、守りきりたいですね」と語ってくれた。
最初のシングル・カー・クオリファイで、トップ・タイムをマークしたカナーン。ベスト6による予選に入ってからも、先陣を切ってコース・インした。一人だけアベレージ・スピード105mphを超える速さを見せ、1分1秒5955を記録したカナーンだっやが、4周目のターン9へのアプローチに失敗し、右フロント・タイヤをウォールのインサイドに右を引っ掛けてしまう。バランスを崩したマシンは、そのままアウトサイドのウォールにヒット。マシンは左フロントに大きなダメージを負ってしまい、戦列を離れることになった。「ドライバーのミスだ。コーナーを攻めていたんだけど、不運にもインサイドのウォールをかすめて、まっすぐアウトサイドのウォールに突き刺さってしまったよ」とアクシデントを振り返るカナーン。この一件でペナルティを受けることになり、6位まで後退することになる。マシンの修復が間に合わず、バックアップ・カーを使用すれば、最後尾からのスタートとなるカナーンだが、「まだ明日があるさ。マシンはとても良いんだ。もう少し仕事をする必要はあるけどね」。速さではナンバー1のカナーンが、明日のレースでどんな走りを見せるだろう。