<Honda>
2007年3月24日(土)・決勝
開催地:フロリダ州ホームステッド
会場:ホームステッド・マイアミ・スピードウェイ(全長:1.5マイル)
ターゲット・チップ・ガナッシ・レーシングのダン・ウェルドンは、ホームステッド・マイアミ・スピードウェイでの開幕戦を過去2年連続で制してきた。今年も彼は得意とする1.5マイル・オーバルですばらしい走りを見せ、予選でポールポジションを獲得。レースでも他を寄せつけないと表現していいほどの力強い走りで3年連続優勝を飾った。1996年にスタートしたIRL IndyCarシリーズにおいて、同イベントで3年連続優勝を記録するのは今回のウェルドンが初めてである。
ホームステッド・マイアミ・スピードウェイでの開幕戦は、今年からナイトレースとして行われることとなり、スタートは午後8時を予定されていたが、雨のために約1時間遅れでグリーンフラッグは振られた。しかし、走る時間帯が変わってもウェルドンの強さは不変だった。レース中盤のピットストップでエアレンチの1つが故障し、タイムロス。チームメイトのスコット・ディクソンにトップを明け渡したが、約20周をかけてトップの座を奪い返し、6秒以上もの大きな差をつけてゴールしたのだ。
昨年度のシリーズ・チャンピオン、サム・ホーニッシュJr.(チーム・ペンスキー)は、予選2位から3位でフィニッシュした。ウェルドンに食らいついていくだけのスピードをレース前半のホーニッシュJr.は備えていたが、終盤になるとウェルドンの速さが明確となり、彼から17秒遅れでゴールラインを横切るのが精一杯だった。
松浦孝亮(スーパーアグリ・フェルナンデス・レーシング)は16番グリッドからスタートし、着々とポジションアップしていった。レースが折り返し点を迎える前にトップ10入りを果たした松浦は、マシンのハンドリングがよく、さらに上位を狙える状況だった。しかし、目の前を走るマシンのクラッシュに巻き込まれる不運に遭い、92周でリタイアとなった。
サラ・フィッシャー(ドレイヤー&レインボールド・レーシング)とダニカ・パトリック(アンドレッティ・グリーン・レーシング)。今年の開幕戦には2人の女性ドライバーが出場していた。フィッシャーは安定感のある走りを続け、11位でフィニッシュ。パトリックもレース中のセッティング変更でハンドリングをよくしていき、トップ10入りは確実というところまでポジションアップ。しかし、154周目にピットレーン入り口でアクシデントを起こし、リタイアを喫した。
今回のレースは、排気量が3.5リッターへと0.5リッター拡大され、燃料もエタノール100%へと変わった新しいHondaエンジン、Honda HI7Rにとってのデビュー戦だった。Hondaは出場した20台のインディカーすべてにエンジンを供給したが、週末を通してトラブルは一切なく、出場全車の走行距離は合計で7965マイルにも達した。
同日に開催されたIndy Pro Seriesの決勝レースは、予選3番手からスタートした武藤英紀(SUPER AGURI Panther Racing)が、3位でチェッカーフラッグを受け、開幕戦から幸先のいいスタートを切った。
<コメント>
ダン・ウェルドン(優勝)
「開幕戦で勝つことができ、最高のシーズンスタートを切ることができた。チームがすばらしいマシンを作り上げてくれたおかげだ。今日のレースは本当にエキサイティングであると同時に、自分としては大いに楽しむことのできるものとなっていた。ピットで小さなトラブルがあったが、速いマシンを手にできていたから焦ることはなかった。今シーズンは3リッターから3.5リッターへとエンジンが新しくされているが、Hondaがその移行をとてもスムーズに行ってくれたことにも感謝している」
スコット・ディクソン(2位)
「スタート直後はアンダーステアが強くて苦しかったが、ピットストップでのセッティング変更でハンドリングをよくすることができた。チームメイトのダンに勝てなかったことは悔しいが、今日の彼は特にロングランで速く、自分たちよりもマシンの仕上がりは上だった。今日は、チームとして1-2フィニッシュを飾るという素晴らしいシーズンのスタートを切れたことを喜びたい」
松浦孝亮(16位)
「プラクティスの時からレース用のセッティングに集中してきたことによって、レースでの僕らのマシンはハンドリングがとてもよいものになっていました。レースがもう少しで100周を迎えようという時までにトップ10入りができ、自分たちの考えていた通りの戦いを行うことができていました。しかし、残念なことに目の前でクラッシュしたマシンがあり、それに巻き込まれてしまいました。アクシデントという結果は非常に残念ですが、とても大きな収穫を得られたレースでした。来週のセント・ピータースバーグは自分たちのマシンが非常に高い競争力を発揮してくれるロードコースなので、全力でいい結果をつかむようがんばります」
ロバート・クラーク HPD社長
「今シーズンの我々は3.5リッターの新しいエンジンを投入している。燃料もエタノール100%へと変わっている。外観は変わらないが、実際には新しいエンジンの内部には昨年までのエンジンと比べると数々の変更がなされている。しかし、今年初めてのレースでHonda Indy V-8にはただ1つのトラブルも出なかった。
レースはダン・ウェルドンの圧勝だったが、今シーズンは昨年以上にチーム間の戦闘力が縮まっており、今後は非常にエキサイティングな接戦が多くのレースで繰り広げられることになるだろう」
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<決勝リザルト>
順位 No. ドライバー チーム C/E/T タイム
1 10 ダン・ウェルドン Target Chip Ganassi Racing D/H/F –
2 9 スコット・ディクソン Target Chip Ganassi Racing D/H/F +6.4993
3 6 サム・ホーニッシュJr. Team Penske D/H/F +17.4754
4 4 ヴィットール・メイラ Delphi Panther Racing D/H/F +22.5373
5 11 トニー・カナーン Andretti Green Racing D/H/F +23.1179
6 20 エド・カーペンター Vision Racing D/H/F +1Lap
7 27 ダリオ・フランキッティ Andretti Green Racing D/H/F +0.5366
8 2 トーマス・シェクター Vision Racing D/H/F +0.9547
9 3 エリオ・カストロネベス Team Penske D/H/F +1.3577
10 15 バディ・ライス Dreyer & Reinbold Racing D/H/F +14.0150
11 5 サラ・フィッシャー Dreyer & Reinbold Racing D/H/F +5Laps
12 8 スコット・シャープ Rahal Letterman Racing D/H/F +6Laps
13 14 ダレン・マニング A.J. Foyt Enterprises D/H/F +42Laps
14 7 ダニカ・パトリック Andretti Green Racing D/H/F +46Laps
15 25 マーティ・ロス Roth Racing D/H/F +81Laps
16 55 松浦孝亮 Super Aguri Panther Racing D/H/F +108Laps
17 17 ジェフ・シモンズ Rahal Letterman Racing D/H/F +110Laps
18 22 A.J.フォイト4世 Vision Racing D/H/F +0.6270
19 98 アレックス・バロン CURB/Agajanian/Beck Motorsports D/H/F +114Laps
20 26 マルコ・アンドレッティ Andretti Green Racing D/H/F +147Laps
<ポイントランキング>
順位 ドライバー チーム 総合ポイント
1 ダン・ウェルドン Target Chip Ganassi Racing 53
2 スコット・ディクソン Target Chip Ganassi Racing 40
3 サム・ホーニッシュJr. Team Penske 35
4 ヴィットール・メイラ Delphi Panther Racing 32
5 トニー・カナーン Andretti Green Racing 30
6 エド・カーペンター Vision Racing 28
7 ダリオ・フランキッティ Andretti Green Racing 26
8 トーマス・シェクター Vision Racing 24
9 エリオ・カストロネベス Team Penske 22
10 バディ・ライス Dreyer & Reinbold Racing 20