<US-RACING>
開幕戦のウイナーに輝いたのは、ダン・ウエルドン。冠スポンサーのXMサテライト・ラジオにちなんだラジカセ風(!)トロフィーを、高々と持ち上げてみせた。これでウエルドンはホームステッド3連覇。同じコースで3年連勝するのは、IRL史上初めてのことだ。ポールからスタートしたウエルドンは、200周中179周もリードラップを獲り、レースを完全に支配。圧巻だったのは、104周目のピット・ストップでエンジンをストールさせ、最後尾まで落ちてからの追い上げだった。リスタート直後から、次々とマシンをパス。ホーニッシュJr.のお株を奪うようなアウトサイドからのパスで、いっきに2位へジャンプ・アップする。ついにはトップを走るチームメートのディクソンを捕らえ、またしてもアウトサイドから鮮やかにオーバーテイク。トップ陥落からわずか15周でレース・リーダーに返り咲き、そのまま優勝まで快走を続けた。「このコースがほんとうに好きだ。自分のスタイルに合っている。バンクが急なコースでは、マシンが結構路面で滑ったりする。だからこのコースではコツを見つけなければいけない。僕はそのコツがわかっているんだ」と3連覇の喜びを語るウエルドン。「良いシーズンの始まりになったね。今日のレースは楽しかった。たまにイライラしてしまうこともあるけど、今日は安定して走ることができた。今日はほんとうに楽しかったよ」とチャンピオン奪回に向け、幸先のよいスタートを決めたウエルドン。もてぎでも優勝候補の筆頭であることは間違いなし。
ウエルドンに続いたのは、チームメイトのスコット・ディクソン。ウエルドンほどの勢いはなかったが、予選5番手から堅実な走りで2位を掴み取る。「全体的に良かったよ。ナンバー9のマシンは速かったけど、優勝するにはスピードが十分じゃなかった。ダン(ウエルドン)はロング・ランがとても良かったようだね。僕のマシンはスティントの残り10周と、走り始めが少しルーズだったんだ。少し手に負えないときもあったよ。ワン・ツー・フィニッシュを抜きにしても、チームの状態はかなり良かった。良いシーズンの始まりになったよ」と語るディクソン。開幕からワン・ツーを決めたチップ・ガナッシは、タイトル獲得に向けて最高の滑り出しをみせた。
3位に入ったのはペンスキーのサム・ホーニッシュJr.。予選2番手からスタートした昨年のチャンピオンは序盤、トップのウエルドンのミラーに映りこむよう、アウトサイドのラインを取ってピッタリとマーク。しかし一回目のコーションが明けると、じりじりとウエルドンとの差が開き始め、3番手のディクソンからの追撃にあってしまう。なんとか2番手をキープしたまま、108周目に2回目のピット・ストップを行うが、まさかのエンジン・ストールで万事休す。後方から何とか3番手まで浮上するも、ワン・ツーで快走するチップ・ガナッシ勢を追い詰めるには至らず、そのまま3位でフィニッシュした。「ダン(ウエルドン)についていったけど、すぐにギャップを築かれて追いつけなかった。(ストールに関して)チーム・ペンスキーのクルーにとっては不運だったよね。でも、今夜はトップ3に入ることができればいいよねって言っていて、それができた。僕たちは次のレースに向けて、何が出来るかはわかっているんだ」と今日のレースを振り返る。
「すごく悔しいけど、収穫のある一日でした」と話す松浦。アクシデントでリタイアしたあとでも、その表情は明るかった。レイホール・レターマンの2台がペナルティによって、予選タイムが剥奪されたため、16番手からレースをスタート。スタートで1台にかわされるも、17位をキープしながら、8周目に最初のコーションを迎える。このコーション中の12周目に早々と燃料補給する作戦をとった松浦は、リスタートでインサイドから4台をパスし、いっきに13位まで浮上。グリーンの最中に上位陣が次々とピットへ入ったことで、55周から3周にわたっていったんトップに浮上する。2回目のピット・ストップで順位を落とすが、すぐに追い上げを開始。しかし10位までポジションを挙げた93周目、ターン4で目の前のジェフ・シモンズがスピンしたことで行き場をなくし、接触してしまう。コントロールが効かなくなったマシンはホーム・ストレートのフィニッシュラインを越えるほど滑っていったが、大きな怪我もなくマシンを降りた。それでもチームはリタイアした松浦を温かく迎え入れ、果敢な走りにチーム・オーナーも「孝亮がこれほど走ってくれるとは思わなかった。彼はもう完全にパンサーのドライバーだ」と絶賛。「アクシデントがなければ、トップ10は間違いなかったし、7位、8位までは行けたと思う」と松浦は悔しさを見せる一方、「もてぎに向けてはもっと自信がつきました。チームともてぎの相性は良く、僕自身も好きなコースですし、レース前にいっぱいテストが出来るので、もてぎはかなりいいレースが出来ると心から思います」と力強く語ってくれた。
レース開始予定の1時間前に降った雨により、スタート時間が大幅に遅れてしまった開幕戦。開始時に雨はすでに上がっていたが、コースがまだ濡れていたため、昨日と同じくジェット・ドライヤーが登場する。オフィシャルが懸命にコースを乾かす作業を行い、午後9時06分、インディ500を4度制したA.J.フォイトがエンジン・スタートのセレモニーを行った。全車がコース上で隊列を整え、予定より50分遅れでレースがスタート。大きな混乱もなく、全車がクリーンにスタートを決め、ターン1へ飛び込んでいった。
155周目の出来事。なぜかダニカ・パトリックが、左のウイングとサスペンションにダメージを負って、ピット入り口のイン側に張り付いていた。この前のピット・ストップの際、前のピット・ボックスに置いてあったタイヤにヒットしていたパトリックは、ペナルティで最後尾へ。そこから追い上げ、最後のピット・インのためにピット・ロード入り口へアプローチしたところ、バランスを崩してスピンしてしまった。走行が難しいほどのダメージに見えたが、自分のピットに戻りたいらしく、押しがけをするように何度も地元のセーフティ・クルーに合図して促す。しかしコーションが出ていないので、セーフティ・クルーがなかなかマシンを動かしてくれず、怒り心頭。何度もステアリングを叩く仕草を見せた。助けに来たチーム・クルーもダメージを見るや、さっさとマシンをガレージに押し戻し始める。チーム・クルーが降りるように催促しても、始めはまったくいうことを聞こうとしなかったダニカ。ようやく指示に従ってマシンを降りたが、怒りが収まらず、今度はチーム・クルーに詰め寄っていた。「ただただ、がっかりだわ。あんなミスをするなんて、ほんとうに信じられない」とコメント。追い上げてトップ10圏内まで復帰していただけに、相当悔しかったのだろう。
ナイト・レースで行われたホームステッドでの開幕戦。ヘッド・ライトなんてないインディカーですが、これだけの照明があれば問題なくレースが出来ます。今日は曇っていて暗闇が一層深かったので、闇の中にサーキットが浮かび上がる幻想的な光景に。写真では涼しそうに見えますが、今日の気温は35度にも達し、雨のおかげで湿度は83%にも上がっていました。
メインスタンドの裏では日本車マニアの人たちが集まって、ちょっとしたカー・ショーをやっていました。そのなかになんと横浜ナンバーの車を発見。でもよく見ると、日本ではありえないローマ字のナンバーです。聞いてみると、ナンバーに書かれている2−JZ というは、この車のエンジン・コードで、最近の日本車ファンの間では、このようなナンバープレートが流行っているんだとか。
毎レース、会場の上空にはヘリコプターやバルーン、時にはアクロバットをするプロペラ機など、実に様々なものが飛んでいます。飛行船も良く見かけるのですが、マイアミ上空を飛ぶ飛行船は一味違います。なんとディスプレイが付いていて、CMを流しているのです。写真に映っているのはNBAの選手のようで、その後に少しだけ試合の様子も放映されていました。長くレースを見てきましたが、こんな空飛ぶ巨大ディスプレイは初めてみましたね。