INDY CAR

スコット・シャープがHonda Indy V-8搭載で初優勝 Hondaは今シーズン8勝目でマニュファクチャラーズ・タイトルに王手

<Honda>
8月14日(日)・決勝
サーキット:ケンタッキー・スピードウェイ 天候:快晴 気温:31℃
ケンタッキー州の山間に作られた全長1.5マイルのハイ・スピード・オーバル、ケンタッキー・スピードウェイで開催されたIRL IndyCarシリーズ第12戦アンバー・アラート・ポータル・インディ300では、7番グリッドからスタートしたスコット・シャープ(デルファイ・フェルナンデス・レーシング/Honda・パノス)が優勝を飾った。Honda Indy V-8にとって今シーズン8勝目である。2位にはヴィットール・メイラ(レイホール・レターマン・レーシング/Honda・パノス)、3位にはダン・ウェルドン(アンドレッティ・グリーン・レーシング/Honda・ダラーラ)が入賞。Honda Indy V-8勢による1-2-3フィニッシュが達成された。Hondaドライバーたちがトップ3を独占するのは今シーズン5回目。次戦パイクス・ピークで優勝すれば、Honda Indy V-8は2年連続のIRLマニュファクチャラーズ・タイトルを獲得できることとなった。
今年からデルファイ・フェルナンデス・レーシングへと移籍して来てHondaドライバーとなったシャープは、新体制での1年目、12戦目にして勝利を手に入れた。シャープはIRL IndyCarシリーズ創設以来出場を続けて来ているベテランで、初年度である1996年のチャンピオン。今回の勝利はシャープにとってのキャリア9勝目となった。
シャープから0.0779秒という僅差の2位でゴールしたのは、6番グリッドからのスタートだったメイラだった。インディカー・レースならではのクロース・フィニッシュに、集まっていた観客は大歓声を上げた。IRL IndyCarシリーズ史上18番目に数えられる僅差でのゴールであった。レース中盤に11周をリードした彼は、シャープとテール・トゥ・ノーズ、サイド・バイ・サイドのバトルを延々と続け、Indy500に続く今シーズン二度目の2位入賞を果たした。
3位でゴールしたのは、2番手グリッドからスタートし、200周のゴールまで終始トップ争いを戦い続けたウェルドンだった。ポイントリーダーの彼は、今シーズン7回目のトップ3フィニッシュを数え、ポイントを争っているランキング上位勢が今回のレースでは苦戦していたため、2位以下とのポイント差は78点から90点へと拡大。初のシリーズタイトル獲得へと大きく前進した。Hondaドライバーたちはランキングトップ5に4人が並んでいる。ポイント3位はトニー・カナーン(アンドレッティ・グリーン・レーシング/Honda・ダラーラ)、4位はダリオ・フランキッティ(アンドレッティ・グリーン・レーシング/Honda・ダラーラ)。今回優勝したシャープは、2つポジションを上げてランキング5位につけることとなった。
雨のために予選が行なわれず、プラクティスでのタイムによってスターティング・グリッドは決定。ポールポジションからスタートしたのは、女性ルーキー・ドライバーのダニカ・パトリック(レイホール・レターマン・レーシング/Honda・パノス)だった。残念ながら彼女はギアボックスのトラブルでレース中盤に後退。レースに復帰して16位でゴールした。彼女はルーキー・オブ・ザ・イヤーのポイント・スタンディングでトップを保ち続けている。
松浦孝亮(スーパーアグリ・フェルナンデス・レーシング/Honda・パノス)は、今シーズン5回目のトップ10フィニッシュとなる8位でゴールした。レース序盤から安定したペースで走り続けた松浦は、終盤175周目のリスタートで一気に4位までポジションアップ。しかし、ゴールを前にしての6位走行中、前車のブロッキングによって急減速を強いられたことなどがあり、8位でゴールした。
ロジャー安川(ドレイヤー&レインボールド・レーシング/Honda・ダラーラ)は粘り強い戦いを続け、終盤の勝負どころに来て10位までポジションを上げていた。しかし、いざこれからというところでギアボックスにトラブルが発生。ピットで修理を試みたが、完走はならず17位となった。
コメント
■スコット・シャープ(デルファイ・フェルナンデス・レーシング) 優勝
「エンジニアたちに感謝したい。今朝のファイナルプラクティスの後にミーティングを行い、マシンにいくつかのセッティング変更を行ったのだが、それらが見事に成果を発揮してくれた。テストをしていないセッティングであったため、序盤の2度のピットストップで小さな変更を行った。その結果として素晴らしいハンドリングとスピードを持つマシンを手に入れることができた。クルーたちによるピットストップも素晴らしかった。今日のレースでは、ピット作業の良し悪しが大きなポイントとなっていた。ここ数年は、僕自身のドライバーとしての能力に疑問を持つ人も出ていたが、デルファイは僕を信頼してくれた。ずっとサポートを続けてくれた彼らは、今シーズンの僕を良いチームへと入らせてくれた。チャンスを与えられ、能力を証明できたことを本当に嬉しく思う」
■ヴィットール・メイラ(レイホール・レターマン・レーシング) 2位
「今日は少しばかり慎重なスタートを切った。マシンの仕上がりが良いことは確信していたので、安定した走りを続けることで勝負に加わることが出来ると考えていた。レースの中盤にトップに立ったものの、その後に入ったピットストップで装着したタイヤのせいなのか、ハンドリングがオーバーステアに変化してしまった。そこからはポジションを保つことに神経を集中していた。今日のレースのように高いポジションを保ち続けることができれば、いつか必ず勝利を手にすることができると信じている」
■ダン・ウェルドン(アンドレッティ・グリーン・レーシング) 3位
「3位はチームにとって良いリザルトだと思う。残念なのは、今日は僕のチームメイト全員がトラブルに見舞われたことだった。レース終盤、アンドレッティ・グリーン・レーシングは僕ひとりしか走っておらず、非常に寂しく感じていた。最後は、あと少しのところで優勝を逃した。しかし、チャンピオンシップに向かって大きな仕事を今日は達成することができたと考えている」
■松浦孝亮(スーパーアグリ・フェルナンデス・レーシング) 8位
「最初の100周、自分のマシンは非常にハンドリングが良かった。しかし、暑さのためか後半にはスピードが下がってしまった。それでもチームは素晴らしい仕事をしてくれ、最後のピットストップでマシンを再び速くしてくれました。最後のイエローフラッグが出た後、自分のキャリアでベストと思えるリスタートを切ることができ、一気に5位までポジションを上げました。残念ながら、その後にトラフィックに引っかかり、2つか3つポジションを落としてしまいましたが、今シーズンの自分にとってベストのレースを戦うことができました」
■ロジャー安川(ドレイヤー&レインボールド・レーシング) 17位
「スタート直後からのマシンは非常に良いハンドリングで、ピットストップでさらにそれを向上させて行くことができていました。トップ10フィニッシュを目指して走っており、それが実現できるとの見通しが立ったところでギアボックスにトラブルが発生してしまいました。最後のピットストップ以降、2速以外が使えなくなってしまったんです。結果は残念なものとなりましたが、今日のレースは今シーズンの終盤に向け、勇気付けられる内容となっていました。今週得られたデータと自信を持って次戦のパイクス・ピークに臨みます」
■ロバート・クラーク:HPD社長
「デルファイ・フェルナンデス・レーシングが去年に続いてケンタッキーで優勝を飾ってくれた。これまではアンドレッティ・グリーン・レーシングだけによって勝利を重ねて来たが、こうして2チーム目のウイナーが誕生したことを嬉しく思う。今日は多くのマシンに様々なトラブルが発生したが、シャープとデルファイ・フェルナンデス・レーシングは安定した走りを最後まで続けてくれた。ヴィットール・メイラが2位、ダン・ウェルドンが3位でゴールし、我々はシーズン8勝目を1-2-3フィニッシュで飾ることもできた。次戦のパイクス・ピークで優勝すれば、Hondaは昨年に続いてのIRLマニュファクチャラー・チャンピオンとなることができる。是非ともパイクス・ピークで行われる第13戦、Hondaインディ225で勝利してタイトルを決定したい。新しいエンジン・マネジメントECUの開発も行っている我々としては、シーズン終盤にもさらに優勝を重ねて行くため、シカゴでマニュファクチャラー・テスト・デイを使ってのテストも計画している」