<SUPER AGURI FERNANDEZ RACING>
2005 IRLインディカー・シリーズ第9戦「ファイアストン・インディ200」
日程:7月15〜16日
開催地:テネシー州ナッシュビル
コース:ナッシュビル・スーパースピードウェイ
距離:1.33マイル(2.140km)×200周
■■■7月16日決勝■■■
天候:晴れ/気温:28℃/時間18:00〜(日本時間17日午前8時〜)
<ファイナルプラクティスで好感触をつかむ>—————————-
昨日、雨によって決勝日の午後1時過ぎに延期された30分間のファイナルプラクティスで、パナソニックARTA/パノス・Hondaに乗る松浦孝亮は、トラフィックでのハンドリングを仕上げるため42周を走行。10番手につけるタイムをマークした。このプラクティス時点での気温は28℃、湿度は74%。ここで得たフィーリングを元にして、決勝ナイトレースのコンディションに合わせたセッティングを見出さなくてはならない。テクニカルディレクターのジョン・ディック、松浦のレースエンジニアのジョン・ウォード、そしてスコット・シャープのレースエンジニアも交えて最終ミーティングを行い、松浦の決勝用セッティングは決定された。
<序盤、周回遅れに陥ったがフルコースコーションを利用して挽回>——–
レースのスタートは午後6時5分。気温はファイナルプラクティスと同じ28℃だった。次第に気温は下がり、路面のグリップは逆に高まっていくという条件下、松浦は上位を目指す戦いへと走り出して行った。
序盤はアンダーステアでなかなか順位を上げることができず、一時は周回遅れに陥ってしまったが、燃費をセーブする走りでレース中盤はライバル勢よりも長い距離を走行。そして、次のピットインのタイミングをずらす作戦によってトップと同一周回へと復帰した。
松浦が最後のピットストップに入ったのは、チェッカーまで無給油で走り切れるギリギリに近い134周目だった。この燃費走行が功を奏し、前を走るマシンはほぼ全車があと1回はピットに入らねばならない状況へと変わり、松浦の上位入賞の可能性は俄然高まった。
<イエロー中のピットロードでまさかのアクシデント>——————–
しかし、162周目に松浦はもう一度ピットストップを行った。ゴールまで充分に燃料を持たせ、ミクスチャーが最も濃い状態でポジション争いを行えるようにチームが作戦変更を行ったためだ。
ところがピットに向かう松浦のすぐ前のマシンが必要以上に減速したため、松浦はこのピットストップで少量しか燃料補給の必要がなかったにも関わらず、ポジションを上げることができなかった。松浦はこの結果11位でリスタートを迎えた。
もうゴールまで40周を切ってのグリーンフラッグ、そしてすぐさま176周目にターン4でアクシデントが発生し、またもフルコースコーションとなった。そして、この時のペースカーランの間に、考えられないアクシデントが松浦の身に降ってかかった。破片が飛び散ったコースから、前のマシンと連なるようにしてピットロードへと向かった松浦に、突如としてセーフティカーが飛び出してきてぶつかったのだ。
トップ10フィニッシュはもちろん、トップ5すらも狙えるチャンスは、このアクシデントによって一瞬にしてかき消された。
■■■コメント■■■
松浦孝亮
「目の前にマーシャルカーが飛び出してきて、どうすることもできなかった」
「こんな形でレースが終わってしまうなんて本当に残念です。2台のマシンがターン4でクラッシュし、自分はサム・ホーニッシュJr.のすぐ後ろを走っていました。アクシデントでまき散らかされた破片を避けようと彼がピットレーンへと向かったので、自分も同じようにピットレーンへとマシンを向けたわけですが、マーシャルカーが僕の目の前に飛び出してきたのです。自分としてはもうどうすることもできませんでした。救助が大切な仕事であるのはわかっています。しかし、他のマシンがまだ走り続けているということにも十分な注意を払ってもらいたいと思います」
<サイモン・ホジソン:チームマネージャー>
「160周目前後のピットインが裏目に出てしまった」
「マシンはまずまずのスピードを確保できていたが、オーバーテイクをできるまでのマシンとはなっていなかった。そこで燃費をセーブする作戦に切り替え、粘り強くチャンスを待っていた。今日の我々は、最後に作戦面でミスを冒した。160周目前後に出されたフルコースコーションで我々はコウスケをピットインさせる作戦を選んだが、あそこはステイアウトすべきだった。それも検討はしたのだが、レースの最後の最後のバトルでも燃料の残りを気にせずに走れるようにピットに入ることを決めた。あの時点でコウスケは12位を走っていたが、ライバルたちよりも給油する量が断然少なくて済むので、大きく順位を上げられるはずだった。しかし、ピットインする際にコウスケのすぐ前を走っていたドライバーが遅かったため、ポジションを上げることができなかった。そして、その後にピットロードでセーフティカーと接触し、レースを終えることになってしまった。映像がないために、いかにしてアクシデントが起きたのかはわからないが、コウスケが言うには、突然クルマが目の前に飛び出してきたということだ。スポッターのジョン・マーティンからも同じ内容のレポートがされている。本当に残念なことだ」
<トム・アンダーソン:マネージングディレクター>
「今後は今日見せたパフォーマンスにさらに磨きをかけていく」
「映像がなく、アクシデントがいかにして起こったのかを検証することができないため、IRLのセーフティチームにも現在話を聞いているところだ。セーフティチームを率いる人間に、コウスケのマシンとぶつかったクルマに乗っていたドライバーに話を聞いてもらい、来週の月曜日にはレポートを我々の元へと届けてもらうことになっている。アクシデントによってトップ10フィニッシュを実現できなくなったのは、チームとして残念でならない。しかし、今日見せたパフォーマンスに今後はさらに磨きをかけ、上位フィニッシュを重ねていきたい」