INDY CAR

●インディ・カー・シリーズ第5戦インディ500【決勝】:ウエルドンが初優勝で今季4勝目、松浦と安川はともにリタイア

<US-RACING>
第89回インディ500は今年から午後12時にスタート。序盤はホーニッシュVSカナーンVSフランキッティの争いとなるが、ホーニッシュはクラッシュで戦線離脱し、カナーンとフランキッティも終盤に失速してしまう。155周目に数台を巻き込むスピンを起こしてピットに入ったパトリックは、その後無給油作戦に出てトップに立ち、最後まで走りきろうとしたが、ウエルドンが残り6周でパス。久しぶりのイギリス人ウイナーが誕生した。
●ラップ・バイ・ラップ・レポート
11時55分、マリ・ハルマン・ジョージがビクトリー・ポディアム上で「レディ・アンド・ジェントルメン、スタート・ユア・エンジンズ!」の掛け声をかけ、全車いっせいにエンジン始動。カストロネベスとカーパンティエのマシンはすぐにエンジンがかからなかったが、その後始動。
11時56分、パウウェル元国務長官がステアリングを握るシボレー・コルヴェットのオフィシャル・ペースカーが、第89回インディアナポリス500マイル決勝レースのスタートに先立ち33台のマシンを先導。レース中のフルコース・コーションの際は、テキサス州フォートワース出身で、過去3回インディアナポリス500での優勝経験を持つジョニー・ラザフォードがペースカーを駆る。
·レースはスタートから101ラップを過ぎたところで、成立する
·ピットレーンの制限速度は60mph
·スタートのグリーン・フラッグが振られるまでのペースラップでの速度は約110mph
·これまでインディ500に出場した女性ドライバーで最高位フィニッシュは、1978年のジャネット・ガスリーで9位入賞。
午後12時の気温は22度で、湿度は41パーセント。風速3メートル前後で空模様は快晴。コースの路面温度は49度。
12時3分、第89回インディアナポリス500マイルレース、スタート
Lap 1:地元のプロ・バスケット・ボール・チーム、インディアナ・ペーサーズのレジー・ミラー選手がスタートのグリーン・フラッグを振り、レースがスタート。ポール・ポジションのカナーンを先頭に全車ターン1へ。ホーニッシュがカナーンをパスし、ターン3を過ぎたところでトップに立つ。2台の差は0.4580秒。ブラックは21位、フランキッティは6位から3位にジャンプアップ、パトリックは6位に下がる。
Lap 3:カナーンがターン1でホーニッシュを交してトップに返り咲く。その差は0.0561秒。
Lap 4:ホーニッシュがターン1でカナーンをパスしてトップに立つ。コントロールライン上での差は0.3130秒。ホーニッシュは1997年のトニー・スチュワート以来、予選2位からスタートしてオープニングラップでレースをリードしたドライバーとなる。
Lap 8:カナーンがターン1でトップに立つ。コントロールライン上でのリードは0.2616秒。
Lap 10:カナーンがホーニッシュを0.7911秒リード。パトリックがシャープをパスして6位に上がる。
Lap 11:L.フォイトがピット・イン。タイヤ4本交換と燃料補給で所要時間は39秒。
Lap 12:マニングがピット・イン。タイヤ4本交換と燃料補給、さらにハンドリングを改善するためにリア・ウイングのダイヤルを3回転して調整する(13秒間)。
Lap 15:周回遅れが目立ち始める中、トップのカナーンがフランキッティを1.5889秒差でリードする。
Lap 18:フルコース・コーション。フォイトがターン1で4分の1回転スピンしてSAFERバリアに後ろ向きに激突、マシンはターン2のイン側に停止する。
Lap 22:トップはカナーンで、以下フランキッティ、ホーニッシュ、メイラ、パトリックと続く。全車いっせいにピット・インを開始する。カナーンが最も早くピット・アウトしてトップを維持。以下フランキッティ、パトリック、ホーニッシュ、カストロネベスと続く。
Lap 23:ハーンがピット・インしてタイヤ4本と燃料補給(13秒間)。ハーンは22ラップ目にピット・インしていたが、所定の位置を越えてしまい、そのままピットを通過。次のラップで再びピット・インを行った。バロンも前のラップにピット・インしていたが、燃料補給装置に問題が発生したためにこのラップで再びピット・イン。ここでは9秒を要してコースに復帰する。
IRL・IMSメディカル・サービスのヘンリー・ボック医師によるメディカル情報:L.フォイトは意識があるものの、アクシデントの衝撃で腰の痛みを訴えている。サーキット内の医療施設から、市内のメソジスト病院へと転送され、治療を受けることになった。
Lap 25:グリーン・フラッグ。フランキッティがカナーンをパスしてトップに立つ。ホーニッシュが3番手。
Lap 28:カナーンがフランキッティをパスしてターン1でトップに立つ。
Lap 30:トップのカナーンがフランキッティに0.5419秒差でリードする。
Lap 35:カナーンがフランキッティに0.4620秒差でリードする。
Lap 38:バックストレートからターン3にかけて、ホーニッシュが3位からトップへと躍進。2位カナーンとの差を0.7652秒へと広げる。
Lap 40:ホーニッシュがカナーンに1.1733秒差でリード。トップ5の順位は、ホーニッシュ、カナーン、フランキッティ、ラジア、パトリック。
Lap 45:ホーニッシュがカナーンに2.0905秒差でリード。ロスが規定のスピード以下で走行していることで、ブラックフラッグの提示を受ける。
Lap 47:エンジンに不調を訴えるカイトがピット・イン。作業に1分52秒を要してコースへ復帰する。
Lap 51:ホーニッシュがカナーンを1.8430秒リード。 ロスは基準スピードに満たない速度で走行を続けていたため、2度目のブラックフラッグの提示を受ける。
Lap 53:ロスはピット・インしてマシンを降り、レースをリタイア。
Lap 55:ホーニッシュがピット・イン、フランキッティがレースをリードする。
Lap 56:パトリックがコントロールライン上で4.4558秒差をつけてレースをリード。史上初めて女性ドライバーがインディ500でトップに立つ。 
ピットレポート:タイヤ4本交換と燃料補給を行ったドライバーは、ラジア(13秒)、フェルナンデス(11秒)、松浦(12秒)、シェクター(13秒)、カナーン(12秒)、フランキッティ(11秒)、ワード(24秒)、ハーン(14秒)、バロン(14秒)、ブリスコー(13秒)、カーパンティエ(14秒)、J.ラジア(12秒)、安川(19秒)、バックナム(15秒)。
タイヤ4本交換と燃料補給に加え、ウイングの調整を行ったドライバーは、ホーニッシュ(11秒)。
タイヤ4本交換と燃料補給に加え、タイヤの空気圧調整を行ったドライバーはディクソン(14秒)。
Lap 57:ピットレポート:タイヤ4本交換と燃料補給したドライバー; ウエルドン(12秒)、ブラック(12秒)、マニング(18秒)。
Lap 58:レースリーダーのパトリックがピット・イン、ジュンケイラがトップに立つ。
ピットレポート:タイヤ4本交換と燃料補給を行ったドライバーは、ジュンケイラ(14秒)、ボウデイ(14秒)、ハータ(10秒)、パトリック(13秒)、メイラ(10秒)、シャープ(13秒)。
Lap 59:バロンがピット・ロード速度制限違反でドライブスルー・ペナルティを受ける。
Lap 60:ホーニッシュがフランキッティに1.9436秒差でリードする。
Lap 65:ホーニッシュがフランキッティに1.9576秒差でリード。
Lap 70:ホーニッシュがフランキッティに3.0761秒差でリード。トップ5の順位は、ホーニッシュ、フランキッティ、カナーン、パトリック、ウエルドンのオーダー。
Lap 72:マニングのマシンがガレージへ持ち込まれ、修理を受ける。
Lap 76:ホーニッシュがフランキッティに2.4848秒差でリードする。
Lap 78:フルコース・コーション。ジュンケイラが周回遅れのフォイトをパスする際に接触。ジュンケイラは右にハーフスピンしてターン2のSAFERバリアへマシンの左側から激突。大破したマシンはそのまま後ろ向きでバリア沿いにスライドしながら、さらにハーフスピン。コーナー出口付近でようやく停止する。ジュンケイラはデルファイIRLセーフティ・チームのアシストでマシンから運び出された。
Lap 79:リーダーのホーニッシュ以下、フランキッティ、カナーン、パトリック、ウエルドンらが同時にピット・イン。さらに後続も続く。
ピットレポート:タイヤ4本交換と燃料補給を行ったドライバーは、ブリスコー(13秒)、カーパンティエ(17秒)、ディクソン(11秒)、ハーン(17秒)、J.ラジア(14秒)、バックナム(17秒)、ジアフォーニ(9秒)、カーペンター(14秒)。ワード(4分56秒)はエンジンカバーを外して作業。パトリックは作業が終了してピット・アウトする際にエンジン・ストールし、合計で48秒のストップ。順位も4位から16位まで後退する。松浦(16秒)、メイラ(13秒)、ハータ(10秒)、ボウデイ(12秒)、シェクター(11秒)、フランキッティ(14秒)、ウエルドン(13秒)、ブラックは右フロント・サスペンションのボルトが緩み、それを絞めなおす作業に時間を要して合計31秒を費やす。
タイヤ4本交換と燃料補給に加え、フロント・ウイングの調整を行ったのは、カストロネベス(13秒)。シャープはタイヤ4本交換と燃料補給、それにタイヤの空気圧調整を行い12秒。フェルナンデスはフロントウイングの調整のみながら、エアジャッキの不調により36秒間停止。ピット・アウトの順位は、ホーニッシュ、フランキッティ、カナーン、シャープ、シェクター。
カナーンが31周目をリードしたことで、インディ500史上、歴代のポールポジションからスタートしたドライバーがトップを走行したマイル数が、1万マイルを突破した。この1万マイルとは、500マイルレース20回分の距離と同じ。
IRL・IMSメディカルサービスのヘンリー・ボック医師によるメディカル情報:ジュンケイラの意識はあり、医師の応答にも受け答えしている。背中の痛みを訴えており、サーキット内の医療施設から、救急車で市内のメソジスト病院へと運ばれる。
Lap 80:フェルナンデスがピットへ戻り、タイヤ4本交換と燃料補給(10秒間)。
Lap 82:ブラックがピット・インして破損箇所を修復、合計24秒を要する。
Lap 87:グリーン・フラッグ。ホーニッシュがリードを保ちターン1へ進入。マニングがガレージでのサスペンションの修復を終えてレースへ復帰する。
Lap 90:ホーニッシュがカナーンに0・7151秒差でリード。
Lap 95:ホーニッシュがカナーンに1.2520秒差でリード。
Lap 96:バロンがピット・インしてタイヤ4本交換と燃料補給(19秒間)。
Lap 98:カナーンがターン1の進入でホーニッシュをパスしてトップに立つ。シャープがターン3でフランキッティをパスして3位に上がる。カナーンがホーニッシュをおさえてリード。コントロールライン上での2台の差は0.21868秒。
Lap 99:ブラックがレースをリタイア。
Lap 100:カナーンがホーニッシュに0.002秒差でリード。
Lap 101:ホーニッシュがターン1でカナーンをパスしてトップに立つ。2台の差は0.7844秒。
Lap 102:ワードがレースをリタイア。
Lap 105:ホーニッシュがカナーンに0.1011秒差でリード。
Lap 110:ホーニッシュがカナーンに0.3085秒差でリード。
Lap 112:カナーンがターン3でアウトからパスしてトップに立つ。コントロールライン上での差は0.7104秒。
A.J.フォイト?(ABCサプライ/A.J.フォイト・レーシング・ダラーラ/トヨタ/ファイアストン)のコメント:
「突然だった。ターン1を超えたところでブルーノが自分の方へ寄ってきた。彼にとってもとても残念な結果となった。彼の無事を祈る。しばらく好調だったが、ピット・インでペースを崩してしまった。5月に入り、比較的調子はよかったが、レース用のセット・アップでミスをしてしまったようだ」
ジミー・カイト(エタノール・ヘメルガーン・レーシング・ダッラーラ/トヨタ/ファイアストン)のコメント:
「カーブデー(キャブレーション・デー)から日曜日までの間にマシンのセッティングを変えてみた。問題を解決できたと思っていたが、実際にはだめだった」
パトリックは56周目をリードしたことで、インディ500史上初の女性ドライバーとしてレース中にトップを走行した。女性によるリードラップは、これまで参加した女性ドライバーの合計ラップ数である1688周目に達成された。
マーティ・ロス(ロス・レーシング/PDMレーシング・ダッラーラ/シボレー/ファイアストン)のコメント:
「残念な結果となった。これは500マイルレースだから、パワー不足は致命的だった。タイヤにゴミがたくさん張り付いてしまったため、ピット・インしてタイヤ交換した。コースへ戻ったところ、ちょうどリーダーが迫っていたので道をあけて彼らに先行してもらおうと思ったが、その際にまたしてもマーブルを拾ってしまったり、ラインを外したことでコントロールが効かなくなってしまったりで、散々だった。レースではリーダーとスピード差がある場合には、おとなしく彼らに先行させるべく道を譲る。これからもそのやり方には変わりはないよ」
Lap 111:ブリスコーがピット・インしてタイヤ4本交換と燃料補給(10秒)。
Lap 112:安川がピット・インしてタイヤ4本交換と燃料補給(15秒間)。安川はクラッチにトラブルを抱えているとクルーに訴える。
Lap 113:カストロネベスがピット・インしてタイヤ4本交換と燃料補給(12秒間)。
Lap 114:フルコース・コーション。ハーンとディクソンがターン1でコンタクト。ディクソンの右フロントとハーンの左リアが接触し、ハーンは180度スピンしてマシン左側からウォールにヒット、ディクソンは4分の1スピンでマシンのリアからウォールにヒットした。ディクソンとハーンはともに自力でマシンを脱出。このコーション下での順位は、カナーン、ホーニッシュ、シャープ、フランキッティ、メイラ。
Lap 115:ピットレポート:タイヤ4本交換と燃料補給を行ったドライバー;J.ラジア(16秒)、カーペンター(17秒)、ジアフォーニ(15秒)、B.ラジア(13秒)、エンゲ(12秒)、ホーニッシュ(13秒)、フランキッティ(13秒)、シャープ(13秒)、シェクター(15秒)、メイラ(13秒)、パトリック(14秒)、松浦(14秒)、フェルナンデス(16秒)、ハータ(13秒)。
タイヤ4本交換と燃料補給に加えて、フロント・ウイングの調整を行ったドライバー;カーパンティエ(14秒)、ウエルドン(13秒)、ボウデイ(14秒)。
カナーンは、タイヤ4本交換と燃料補給に加えて、リア・ウイングの調整を行った。ホーニッシュがトップでピット・アウト。カナーン、フランキッティ、メイラ、シャープ等がこれに続く。エンゲはピットレーン速度違反でブラック・フラッグ・ペナルティを科せされる。
Lap 117:安川がピット・インしてタイヤ4本交換と燃料補給(15秒間)。
Lap 118:フェルナンデスが燃料補給のみのピット・イン(3秒間)。エアジャッキ・システムが誤作動する。
Lap 119:グリーン・フラッグ。ホーニッシュがトップで再スタートしたが、カナーンとフランキッティがフロント・ストレートでパス。カナーンはコントロールライン上でトップに上がり、フランキッティはターン1で2位のポジションを確保。
Lap 120:カナーンがフランキッティに0.1171秒差でリード。
Lap 125:カナーンがフランキッティに0.4300秒差でリード。
マシン・トラブルでピット・インしたワードのコメント:
「ターン2でヒットされた。突然誰かが自分のホイールを引っ掛けたんだ。ステアリングのメカニズムが壊れてしまったようで、左右どちらにも3インチ以上回らなくなってしまった。まっすぐ走ることさえままならない状態で、ピット・インするしかなかった。どこが壊れているかを探して修復する」
リタイアしたブラックのコメント:
「予期することのできない状況だった。サスペンションのウィッシュボーンを固定しているボルトのひとつが緩んでしまったようだ。チームにとって厳しい結果となった。5月に入ってから、バディ(ライス)のマシンを仕上げるために、みな必死に作業してきた。彼がクラッシュしてから、かなり時間がない中で、自分が戻ってきてさらに忙しい状況だった。前半、マシンの状態はすこぶる良かったが、コース上は汚れていてグリップも低下している状態だった。それでも感じは良かったから、これはいけるかもしれないと思っていた。いずれにしてもシリーズに復帰することができてとても嬉しいよ」
マニングのコメント:
(リタイアした理由は?)「それが良く分からないんだ。原因が解明すれば、それを直してレースに復帰できるんだが。スタートしてから3〜4周ぐらいしてからだろうか、マシンが極端にオーバーステアになってしまい、どうすることもできなかった。とても残念だよ」
Lap 130:カナーンがフランキッティに0.2115秒差でリード。
Lap 132:パトリックと松浦がターン4でコンタクト。パトリックの右リアと松浦の左フロントが軽く接触。両者はそのままレースを続行。
カナーンはこれまで参戦したインディ500(2002-2005)で、最低でも1回はレースをリードしたことになる。パーネリ・ジョーンズ(1961-1964)とジム・クラーク(1963-1966)が保持する記録、インディ500に参戦した最初の年から4年間連続で最低1回はレースをリードしたドライバーの一人となった。
A.J.フォイト?のコメント:
「何とかマシンを修復してレースに復帰したかったが、叶わなかった。10分以上かかってもまだ修復の目処も立たっていないんだ」
Lap 137:ブリスコーがピット・インしてタイヤ4本交換と燃料補給(13秒間)。
Lap 141:フランキッティがカナーンに0.7392秒差でリード。
Lap 143:フェルナンデスがピット・インしてタイヤ4本交換と燃料補給(13秒間)。
Lap 144:カナーンがターン1でフランキッティをパスしてトップに立つ。コントロールライン上でのカナーンとフランキッティとの差は、0.3720秒。安川がピット・インしてタイヤ4本交換と燃料補給(15秒間)、タイヤの空気圧の調整も行う。松浦が4本のタイヤ交換と燃料補給(11秒間)。
Lap 145:カナーンはコントロールライン上で2位以下との差が0.0823秒。カーペンターが4本のタイヤ交換と燃料補給(10秒間)。
Lap 146:フランキッティがターン1の進入でカナーンをパスしてトップに立つ。
Lap 147:フルコース・コーション。ホーニッシュがボウデイとサイド・バイ・サイドで競り合った際、ターン1のSAFERバリアに接触、マシン右サイドを激しく損傷した。マシンはそのままターン2のSAFERバリアに激突して停止。ホーニッシュは駆けつけたデルファイIRLセーフティ・チームの助けを借りることなく、自力でコックピットから這い出した。
Lap 149:コーション下でのトップはフランキッティで、以下カナーン、ウエルドン、メイラ、ラジアと続く。
ピットレポート:4本のタイヤ交換と燃料補給を行ったマシン; フェルナンデス(13秒)、ボウデイ(12秒)、ウエルドン(14秒)、ハータ(13秒)、バックナム(15秒)、J.ラジア(14秒)、エンゲ(13秒)、B.ラジア(12秒)、カナーン(11秒)、シャープ(11秒)、フランキッティ(14秒)、パトリック(12秒)、シェクター(13秒)。
タイヤ4本交換と燃料補給に加えて、フロント・ウイングの調整を行ったドライバー;カーパンティエ(13秒)、カストロネベス(11秒)、メイラ(11秒)。
ウエルドンが先頭でピット・アウト。以下メイラ、フランキッティ、ボウデイ、カナーンの順。ハータがピット・レーン速度違反でストップ・アンド・ゴー・ペナルティを科せられる。
Lap 152:カストロネベスが4本のタイヤ交換と燃料補給(9秒間)。B.ラジアがピット・インしてノーズコーンを交換(12秒間)。
IRL・IMSメディカルサービスのヘンリー・ボック医師によるメディカル情報: ディクソン、ハーン、ホーニッシュ等はサーキット内の医療施設で診断後、走行に支障なしとのことで解放される。
Lap 155:グリーン・フラッグが振られた直後、フルコース・コーションが提示。ターン4で複数のマシンによるアクシデントが発生。パトリックが左向きに4分の1スピンしてエンゲと接触。これを避けようとしたシェクターがその後方でコントロールを失い、外壁にヒット。さらにその後方では、バックナム、カーパンティエ、ラジアがこれに巻き込まれる。パトリックはピット・インしてノーズコーンを交換、作業に60秒間要したあと、周回遅れにならずにレースへ復帰する。
Lap 157:カストロネベスが燃料補給のみのピット・イン(6秒間)。フェルナンデスは37秒間のピット・ストップ。
Lap 159:パトリックがピット・インしてタイヤ4本交換と燃料補給(13秒間)。
Lap 160:トップ集団の順位は、ウエルドン、メイラ、フランキッティ、ボウデイ、カナーン。カストロネベスがピット・インして右側2本のタイヤ交換と燃料補給。
エンゲのコメント:
「レースをとても楽しんでいた矢先のアクシデントで、とても残念だ。そこまではすべて順調に進み、レース中にもマシンのセッティングを徐々につめていった。再スタート直後、ダニカ(パトリック)の横をすり抜けようとしたが、彼女のマシンがいきなり突っ込んできた。せっかくパンサーとシボレーがマシンを用意してくれたのに、とても残念な結果となってしまった」
カーパンティエのコメント:
「何か起こったのか良く分からないよ。誰かがコントロールを失ったのがきっかけになったようだ。おそらくそのドライバーは、冷えたタイヤで加速したことでスピンしたのが原因だろう。それで周りのマシンが巻き込まれた。幸いクラッシュには巻き込まれず無事だったが、パーツの破片らしきものがエアボックスからエンジンに入ってしまい、それでエンジンが壊れてしまった」
ディクソンのコメント:
「前方でアクシデントが発生した直後、おそらくゼッケン70番のマシンだろうが、彼はこちらを見ていなかったようだ。そのマシンと絡んでしまい、スピン・アウトしてしまった」
ハーンのコメント:
「ダッシュボードの下部にひざを強く打ってしまって、徐々に腫れがひどくなった。前方ではコントロールを失ったマシンが右往左往している状態だった。そのときはスコット(ディクソン)は見えていなかったんだ。せっかく調子の良いマシンを用意してくれたカー・オーナーのサム・シュミットと、メイジャーのクルー達にはすまない思いだ。あのまま順調に行けば、上位入賞の可能性も十分にあったと思う」
ホーニッシュのコメント:
「まだビデオのリプレイをみていないのでなんともいえないが、押し出されたような感じだった」
Lap 161:グリーン・フラッグ。ハータがピット・イン(15秒間)、フェルナンデスが燃料補給のみのピット・イン(4秒間)。
Lap 162:メイラがターン1でウエルドンをパスしてトップに立つ。2台の差は0.1969秒。 メイラはインディ500で初めてリードする。
Lap 165:ウエルドンがターン1への進入でトップに立つ。2位との差は0.5689秒。
Lap 170:ウエルドンがメイラに0.2050秒差でリード。
Lap 171:フルコース・コーション。安川のマシンから白煙が立ち上る。
安川のコメント:
「スタートから序盤にかけて全体的な調子は良かったのですが、クラッチに問題を抱えていました。最初のストップでは問題なかったんですが、そのあとクラッチ・ペダルが効かなくなり、2度目のピットストップからは押しがけでエンジンを始動しなければならなくなりました。それ以外は特に大きな問題はなく、マシンは好調でした。あのままで行けばトップ10かトップ12ぐらいはいけたんじゃないでしょうか。クラッチの問題でエンジンに負担がかかってしまい、最終的にリタイアとなってしまいました」
Lap 172:トップ集団がピット・イン。パトリックとハータはピット・インせずにコース上に残る作戦に出る。
ピットレポート:燃料補給のみのマシンは、ボウデイ(6秒)、シャープ(7秒)、フランキッティ(8秒)、メイラ(6秒)、松浦(6秒)、カストロネベス(7秒)。
右タイヤ2本のみの交換と燃料補給したマシンは、B.ラジア(11秒)。
タイヤ4本交換と燃料補給したマシンは、ウエルドン(11秒)とカナーン(11秒)。
Lap 173:グリーン・フラッグ。パトリックが集団をリードしてターン1へ。
Lap 175:パトリックがハータに0.9342秒差でレースをリードする。
Lap 180:パトリックがハータに0.6312秒差でリード。シャープがバック・ストレートで後続車に対するブロック行為を指摘され、ペナルティを受ける。
Lap 185:パトリックがウエルドンに0.3828秒の差をつけてリード。
Lap 186:ウエルドンがフロント・ストレートでパトリックに仕掛ける。その後方では松浦がターン3とターン4の間の外壁にヒットしてマシンを大破。ここでフルコース・コーションとなる。
Lap 189:グリーン・フラッグ。パトリックがフロント・ストレートでウエルドンに仕掛けてトップに上がる。その差は0.0841秒でさらに広がる。
Lap 194:ウエルドンがターン1でパトリックをパスして差を0.6641秒へと広げる。
Lap 195:ウエルドンがパトリックに0.4353秒差でリードする。
Lap 196:ウエルドンがパトリックに0.3544秒差でリードする。
Laqp 198:フルコース・コーション。ボウデイがターン4のSAFERバリアに激突する。
Lap 200:フルコース・コーション下で、チェッカード・フラッグが振られてレースが終了。
ウエルドンが第89回インディアナポリス500マイルレースを優勝する。1966年にグラハム・ヒルが優勝して以来の英国人ウイナーとなる。