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■開催日:5月22日(日)
■開催地:インディアナ州インディアナポリス
■サーキット:インディアナポリス・モーター・スピードウェイ(全長2.5マイル)
■天候:曇り
■気温:25.5度
世界で最も長い歴史を誇る自動車レースであるインディアナポリス500マイル・レース(Indy500)は、今年で第89回目を迎える。伝統あるレースは、プラクティス開始から決勝までが約1ヶ月に及び、予選も2週間にまたがる4日間に渡って開催される。その予選が今日終了し、出場33台が決定した。 予選最終日の通称バンプ・デーには、ルーキーのアリー・ルイエンダイクJr.(ベック・モータースポーツ)が一旦はグリッドを獲得したものの、4度の出場経験を持つフェリペ・ジアフォーネ(A.J.フォイト・レーシング)がより速いスピードを記録したため、グリッドから弾き出された。ルイエンダイクJr.は予選時間終了間際に2度目のアタックを行なったが、ジアフォーネを逆転できるだけのスピードを出すことは叶わず、3人の優勝経験者と、6人のルーキーを含む出場33人が決まった。
今年のIndy500にはHonda Indy V-8を使うドライバー14名がエントリーし、14台すべてが予選3日目までにタイムアタックを終了。全員が決勝への進出を決めた。栄誉あるポールポジションは、昨年度IRL IndyCarシリーズ・チャンピオンのトニー・カナーン(アンドレッティ・グリーン・レーシング/Honda・ダラーラ)が平均時速227.566マイルで獲得した。Honda Indy V-8勢は、カナーンを含む14名全員が予選で素晴らしいパフォーマンスを発揮。1996年のシリーズチャンピオンであるスコット・シャープ(デルファイ・フェルナンデス・レーシング/Honda・パノス)は予選3位に食い込み、カナーンと共にHonda Indy V-8勢2台をフロントローに並べた。2003年が3位、2004年が2位とIndy500で2年連続のトップ3入りを果たして来ているカナーンは、今年は初優勝に最も近い位置からスタートを切る。
女性ルーキー・ドライバーで、第4戦BRIDGESTONE INDY JAPAN 300MILEの予選で2位となったダニカ・パトリック(レイホール・レターマン・レーシング/Honda・パノス)は、Indy500でもグリッド2列目イン側の4番グリッドを手に入れる活躍を見せた。
IRL IndyCarシリーズで2勝を挙げているダリオ・フランキッティ(アンドレッティ・グリーン・レーシング/Honda・ダラーラ)は、2列目外側の6番グリッドを獲得。ヴィットール・メイラ(レイホール・レターマン・レーシング/Honda・パノス)は、予選7位となった。そして、昨年度Indy500ルーキー・オブ・ザ・イヤーの松浦孝亮(スーパーアグリ・フェルナンデス・レーシング/Honda・パノス)は、昨年よりもひとつ上のポジションである8位で予選を通過と、Honda Indy V-8勢はグリッド3列目までに2台ずつが並んでいる。
昨年に続きHondaエンジン搭載でIndy500に出場するニューマンハース・レーシングは、ブルーノ・ジュンケイラが12位、セバスチャン・ボーデが15位で予選を通過。昨シーズン3勝を挙げ、今年はIndy500だけの出場を行なうエイドリアン・フェルナンデス(モー・ナン・フェルナンデス・レーシング/Honda・パノス)は14番グリッドを獲得した。
今シーズンすでに3勝を挙げ、ポイント・スタンディングのトップを走っているダン・ウェルドン(アンドレッティ・グリーン・レーシング/Honda・ダラーラ)は予選16位。2年連続でトップ10フィニッシュを達成して来ているロジャー安川(ドレイヤー&レインボールド・レーシング/Honda・ダラーラ)は予選17位から決勝レースに臨む。第2戦フェニックスと第3戦セント・ピーターズバーグで2戦連続ポールポジションを獲得したブライアン・ハータ(アンドレッティ・グリーン・レーシング/Honda・ダラーラ)は予選18位。Honda F1最初のドライバーであったロニー・バックナムの息子ジェフ・バックナム(ドレイヤー&レインボールド・レーシング/Honda・ダラーラ)もルーキーとして参戦し、21番グリッドを獲得してる。
昨年度Indy500ウィナーのバディ・ライス(レイホール・レターマン・レーシング/Honda・パノス)は、プラクティス中のアクシデントで首に負傷したため、残念ながらIndy500での2年連続優勝を目指すことができなくなったが、ライスのマシンには1999年Indy500ウィナーのケニー・ブラックがドライブすることとなり、彼は予選第2週目の最上位グリッドである23位を獲得した。
決勝レースは今日から1週間後。戦没者記念日の週末である5月29日(日)に開催される。予選終了後の4日間はスピードウェイでの走行は一切行なわれない。IRL IndyCarシリーズで最長の500マイル・レースは、ファイナル・プラクティスの日程も独特だ。昨年までは伝統的にレース前の木曜日だったが、今年からは金曜日に行なわれることとなった。
●トニー・カナーン(アンドレッティ・グリーン・レーシング):ポールポジション
予選でのマシンは素晴らしかった。ウォームアップ・ラップの1周目を少々プッシュし過ぎてしまったかもしれないが、アタック中もマシンは最高だった。Hondaエンジンはいつもと同じくパワフルだった。予選でのような走りをレースで続けるのは不可能だ。予選を終えてからの我々は、レース用セットアップに全力を挙げて来た。トラフィックの中でも安定したマシンとできるよう周回を重ねて来た。その結果、かなり良いレース用セッティングを見つけることができた。しかし、今後も我々は冷静さを保ち、レースに向けての集中力を途切れさせないようにしなければならない。天候は大きなファクターで、状況が一変することだって十分に在り得るからだ。僕らは料理の本を作っているようなもので、決勝日に、その日のコンディションに合ったレシピが載っているページを開けるかが大事。決勝レースが終わる時、ミルクを飲むことができていたら最高だ。
●スコット・シャープ(デルファイ・フェルナンデス・レーシング):予選3位
フェルナンデス・レーシングは、本来なら休める日を返上し、予選3日目にもプラクティスを走った。彼らの献身的な働きぶりに感謝したい。Indy500では、風や気温、路面などコンディションは毎日変化する。だからこそ毎日走れば、様々なコンディションでマシンのフィーリングをチェックでき、それに合わせたマシンとする作業が行える。決勝日の天候やコンディションがどんなものになっても対応できるよう、できる限りの準備を行なっておく必要がある。金曜に比べて土曜は気温が高く、路面の温度も同じように高くなっていた。決勝日がそうしたコンディションになる可能性は十分にある。我々は予選日も使ったことにより、さらに新しいマシンセッティングをトライすることもできた。そして、我々の考えるベストに近いマシンに仕上げることができている。
●ダニカ・パトリック(レイホール・レターマン・レーシング):予選4位
プラクティス用にスケジュールされている最後の日までには、チームとしてやっておくべきことが本当にたくさんあったわ。雨で1日走れなくなったので、とても忙しくなったけれど、用意していたプログラムを全部こなせたので、ホッとしているところ。今は、27日に行われる最終プラクティスが楽しみ。これからレースまでは、プロモーションやPRの仕事が忙しくなるけれど、それもこの仕事の楽しい部分だから、IRL IndyCarシリーズのため、そして、インディカー・レースのためにメディアとの時間をエンジョイしたいわ。
●松浦孝亮(スーパーアグリ・フェルナンデス・レーシング):予選8位
予選3日目だった土曜日までプラクティスを続けて、その最後の方でダウンフォースを多めにするセッティングをトライしました。その中でなかなか良いセッティングを見つけることができたので、レースはそのセッティングで戦うことになると思います。大きなトラフィックの中での安定感が完璧ではないけれど、1、2台のトラフィックであれば問題はありません。レースはトップ5が集団を作るのか、トップ10による集団になるのか、どのような展開になるかは誰にもわかりません。自分たちはダウンフォースを多めにするので、それがレース展開にマッチしていれば、いい走りを続けられると思います。500マイルの長いレースでは、どれだけのマシンが最後まで走り切れるかもわからないので、最後まで走り切るよう頑張ります。その結果がトップ3に食い込めるものになればいいですね。
●ロジャー安川(ドレイヤー&レインボールド・レーシング):予選17位
予選までに十分な走り込みができず、ぶっつけ本番のようなアタックとなりましたが、無事に決勝グリッドを獲得でき、それからは決勝用セッティングに専念して来ました。Tカーは急いで組み上げたこともあって問題がいろいろと出たため、決勝日にメインでドライブするプライマリー・カーにもレースセッティングを続けました。予選2週目の2日間も使って周回を重ねたことで、かなり良いレースカーにすることができました。あとはレース当日の天候、気温、風向き、風速などによってギヤリングなどを決めるだけです。足回りのセットは満足の行くものにできています。2年連続でトップ10フィニッシュをしているので、今年はトップ5を狙います。
●ロバート・クラーク:HPD社長
去年のIndy500において、我々は予選でトップ7グリッドを独占しました。今年はフロントロー、2列目、3列目にそれぞれ2台ずつを並べており、その3列目までのイン側グリッドをすべて獲得しています。去年以上に強力な出場ラインナップ、そして、去年以上に満足の行く予選結果となりました。500マイルで争われるレースでは、信頼性が非常に大きな意味を持って来ます。我々は予選で使ったエンジンと基本的に同じながら、耐久性確保に重点を置いたHonda Indy V-8をレースに投入します。