<US-RACING>
「去年もここでポール・ポジションだったし、そんなに驚いてないね」と語る最終日のオーバル・テストの総合トップ、バディ・ライス。昨年のインディ500で初優勝し、3勝したライスはロード・コースのテストで総合16位と伸び悩んだが、得意のオーバルでは午前、午後ともにトップ・スピードを記録してみせた。チームのテクニカル・ディレクターで、経験豊富なティム・レイターが担当エンジニアとなり、「彼との仕事をとても気に入っている」と語るライス。「去年ここにいた時は、ケニーの代役でいつまでドライブできるか解らなかったが、今は長期的な契約がある。とてもエキサイトしてるよ」と喜ぶ姿が印象的だった。
トップ・スピードをマークした昨年のランキング3位ライスと、総合3位に終わったランキング2位ウエルドンの上位進出は十分に予想できたが、シャープと松浦の新コンビ、それにダニカ・パトリックのトップ5入りは十分に予想外の展開だった。「楽しかったね。素晴らしい日だったよ」と終始笑顔のシャープ。「いくつかのセットアップを試したが、クルマは快適だし、トラフィックの中でもどこでも走ることができる。フェルナンデス・レーシングの良さを証明できたね」。一方、経験の少ないオーバルながら大健闘したルーキーのパトリックは、「私達のクルマはオーバルで速いというのが解りましたが、まだパック(集団)で走ったりピット・ストップの経験もありません。でも、素晴らしいチームと一緒に、とても良いスタートをきることができたと思います」と女性らしく(?)謙虚なコメント。このスピードからも、今シーズン大きな注目を集めるのは必至だろう。
1年前のホームステッドでオーバルのレース・デビューを果たした松浦。「去年のテストではトラブルもあったりして最後尾だったけど、今年はスムーズで、いいスタートを切れました」と表情も明るい。注目すべきは本人の成長ぶりで、同じホンダ・パノスを駆るライスに次ぐ2番手のタイムでセッションのほとんどをこなし、総合4番手と好結果を残している。フェルナンデスがヘルメットを脱ぐ今季だが、頼りになるアドバイザーとして今後もサポート。「ドライバーとしてではなく、外から見た客観的な意見を教えてくれる」と松浦は言う。新しくコンビを組むシャープとの連携も上手くいっているようで、昨年果たせなかった初優勝をかけて2年目に挑む。
ロード・テストでの苦戦は、生粋のIRLチームという事で言い訳もできた。しかし、雪辱戦として臨んだオーバルでのテストも後方に沈んでしまった安川。「ベース・セッティングの方向性がちょっと違っていたみたいです。それでちょっと手間取ってしまって、やっと走れるようになったら今度はエンジンが……」。満足に走り込む事ができず、消化不良の18番手におわったオーバル・テストだったが、チームとのコミュニケーションは上手くいっているとのこと。レイホール・レターマンという一流どころで走った昨年の経験を元に、「タイムはともかく、レースで安定したクルマを作ることができました」と自信を持って語る。自分が中心となってチーム作りをしていく必要がある今シーズン。開幕までの時間を使って、まずは確実な基礎作りといったところか。
昨シーズンのチャンプ・カー/クリーブランド戦で、目の前のコンクリート・ウオールにジュンケイラが激突!(フォト&レポート参照)。逃げまどう模様がプレス・ルームに生中継されて爆笑を買った山田は、どうやらアクシデントを呼び寄せるフェロモンを放出しているらしい。レースフォトグラファーとして致命的な欠点を背負う彼だが、今回はピット・レーンで災難に。カーパンティエと安川のピット・アウトを狙っていたら、いきなり2台が目の前でスピン。ダラーラのとんがりノーズが迫る! 「前回はギリギリまでシャッターを押したんだけど、今回ばかりは一目散で逃げた。だってウオールの向こうだったんだもん。こわかったんだもん」と涙目の本人。ドキドキしつつも、すっかり止まったマシンをパチリ(が上の写真)で、後にカーパンティエにその事を言ったら、「そういや、クリーブンランドでもブルーノに突っ込まれてたよな」と一笑され、ただの笑い話で終わってしまったという。とほほ。