パナソニックARTA/Gフォース・HondaでIRLインディカー・シリーズに参戦中の松浦孝亮は、先週行われた第12戦パイクスピークに続いて、今回のナザレス・スピードウェイも初めての走行となる。今週末のレースは3デイイベントとして開催されるため、松浦は走行初日となった金曜日に2回のプラクティスを走り、そこで得たデータを十分に検討した後、2日目のプラクティス3回目に臨み、その後に行われた予選では18番グリッドとなる20秒8566をマークした。
■日時:8月28日(予選)
■開催地:ペンシルバニア州 ナザレス
■サーキット:ナザレス・スピードウェイ
■天候/気温:快晴/29.5度
パナソニックARTA/Gフォース・HondaでIRLインディカー・シリーズに参戦中の松浦孝亮は、先週行われた第12戦パイクスピークに続いて、今回のナザレス・スピードウェイも初めての走行となる。今週末のレースは3デイイベントとして開催されるため、松浦は走行初日となった金曜日に2回のプラクティスを走り、そこで得たデータを十分に検討した後、2日目のプラクティス3回目に臨み、その後に行われた予選では18番グリッドとなる20秒8566をマークした。
ナザレスはIRLインディカー・シリーズ全16戦の中でも最もユニークなコースである。まず、五角形をしたコースはオーバルコースでありながらアップダウンを備えている。タイトなブラインドコーナーであるターン2はドライバーにマシンを100%信頼することを求め、下り坂のバックストレッチの先に待ち構えるターン3ではブレーキングとシフトダウンが必要となる。コース幅は狭く、要所にバンプもあるため、1周全域にわたり極めて繊細なライン取りが求められるテクニカルコースである。そのためマシンセッティングの重要性が非常に高い。
今回のレースも出場台数は22台。松浦はクジ引きで決められた16番目に予選アタックに臨んだ。計測1周目は20秒9469、2周目で20秒8566と僅かながらタイムアップを果たした。最終的に松浦の予選順位は18位に確定。明日のレースは9列目外側グリッドからスタートすることになった。予選は3回のプラクティスよりも気温が高いコンディションとなり、22人中16番目と遅い出走順を引いたことが、結果的に路面のグリップを減らすことに繋がり、松浦にとって不利に働いた。
初めて走る難コース中の難コースということで、松浦は各走行セッションに慎重に臨んでいる。プラクティス1回目は21秒3902。プラクティス2回目は21秒0200。そして、走行2日目のプラクティス3回目には20秒8129と、松浦は走行を重ねるたびにラップタイムを短縮させている。与えられた時間の中で着々とコースをマスターし、マシンを煮詰める作業を行っているのだ。予選とレースとを比較した場合、よりレースに重点を置いた戦い方を進めてきており、マシンの仕上がりはタイムが示す以上のレベルになっている。明日のレースでは、後方グリッドからジワジワとポジションを上げ、上位へと食い込んでいく戦いを目指す。
●松浦孝亮
「流れに乗って粘り強い走りを最後まで続けたい」
「今週はずっと5速から4速にシフトダウンをしようという時に、ギヤが落ちにくくなるんです。アタック2周目も落ちなくて、コーナーの真ん中までいって何とか変えられたという状態でした。エイドリアンの方はオーバーレブしながらでもギヤを落とすことができたみたいですが、僕の方は規定の1万300回転を超えるとコンピューターが働いて、絶対落ちない状況になってしまうんです。そこは対処するテクニックがあるのか、自分のマシンだけが抱えている問題なのかがまだ分からない状態ですが、とても難しいと言えます。予選でもその症状は出ると思ってました。そして残念ながらそうなってしまいましたね。明日のレースでも、この問題は解決できないかもしれません。しかしながら自分の乗り方に問題がある可能性も残っています。クルマのセッティング自体は良好なので、ターン1、ターン2ともに全開で回ることができます。ところが、2周に1回ぐらいの割合でギヤトラブルが出るので、ブレーキングポイントを遅らせることも難しくなってしまう。もしブレーキを遅らせたところでそれでもギヤが落ちなかったとしたら、それがクラッシュに繋がる可能性にもなりますから。難しいサーキットですが、レースになればみんな一緒です。2ワイドで走るのが難しいレースになると思うので、とにかく流れに乗っていくことを目指します。タフなレースになるでしょうが、とにかく粘り強い走りを最後まで続けたいですね」
●鈴木亜久里 チーム代表
「ドライバーのセッティング能力だけでなく、マシンをコントロールする力もポイント」
「ナザレスは難しい。言ってみればインディカー・シリーズのモナコみたいなものだと思う。クルマが決まらないと好タイムを出すことはできない。CARTシリーズの時代から走っているエイドリアンはターン2をニュータイヤの時には全開で回っていたけれど、孝亮は走行初日はその辺りがダメだった。先週のパイクスピークでアクシデントを起こしたことが影響しているのかもしれない。パイクスピークもナザレスも共に難しいコースだけれど、こういったコースを克服していかないとならない。ドライバーのセッティング能力だけが試されるわけではなく、マシンをコントロールする力もポイントとなるコースだからね。予選ではシフトダウンがうまくいかないトラブルがあったようだけど、それだけの問題ではなかったのではないのかな?2日目になって2コーナーは全開でいけるようになったけれど、そこに至るまでのスピードが遅いのではないかと思う。それに伴ってターン3、ターン4の通過スピードも課題になっている状況だ。こういう小さいコースの時は、やっぱり予選で前の方につけなくてはダメだ。トップグループがすぐ追いついてきちゃうからね。しかし、今回はぶつけないでレースをやってくれればいい。シカゴからの残りの3戦の方がマシンも決まっていて、いい戦いが期待できる状態なんだ。今回はマシン的にも無理をすべきじゃない」
●トム・アンダーソン マネージング・ディレクター
「コウスケに最も必要とされているのは、ナザレスを安心感を持って走り回れるようになること」
「フェニックスもミルウォーキーもナザレスと同じ1マイルではあるが、その中でもナザレスは格段に難しいコースだ。初めての挑戦では、ナザレスで何度も走った経験のあるベテランたち相手に好結果を得るのは本当に難しい。コウスケはテストをすることもなくナザレスを昨日から走り始めたわけだが、これまでのところ、あらかじめ期待していた通りのパフォーマンスを発揮している。ナザレスは数あるオーバルの中でも最も経験の差が大きく出てしまうコース。しかしコウスケにはまだ経験がない。アクシデントを起こさず、クリーンなレースで戦い抜くことができたのであれば、我々は満足に値する。今日の予選で獲得した18番グリッドは、決して良い結果ではない。しかし今のコウスケに最も必要とされているのは、ナザレスを安心感を持って走り回れるようになること。予選順位を気にするよりも、まずはこの難コースを不安なく周回し続けることができるようになることが必要だ。すでにレースでのラップタイムより速いペースでの周回をこなしている。コウスケはそこまで着実にステップを踏んできた。レースに向けての準備は、コウスケもチームも整っている」
スーパーアグリ・フェルナンデス・レーシング公式ウェブサイト
www.superaguri-fernandez.jp
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