101年の伝統を持つテクニカルな1マイル・オーバル、ザ・ミルウォーキー・マイルで行われたシリーズ第9戦は、7月下旬としては涼しい、とても過ごしやすい天候に恵まれた。雲ひとつない快晴の空の下でスタートの切られた225マイルレースは、コーナーのバンクが9.25度と緩やかなためにオーバーテイクが難しく、サイドバイサイドの戦いが繰り広げられる中で3台がアクシデントに遭い、1台がスピンを喫し、合計5回のフルコースコーションが出された。
最後列スタートから今季3度目のトップ10入りを果たす
▽2004年7月26日
■日時:7月25日(決勝)
■開催地:ウィスコンシン州ウエストアリス
■サーキット:ザ・ミルウォーキー・マイル
■天候/気温:快晴/23.5℃
101年の伝統を持つテクニカルな1マイル・オーバル、ザ・ミルウォーキー・マイルで行われたシリーズ第9戦は、7月下旬としては涼しい、とても過ごしやすい天候に恵まれた。雲ひとつない快晴の空の下でスタートの切られた225マイルレースは、コーナーのバンクが9.25度と緩やかなためにオーバーテイクが難しく、サイドバイサイドの戦いが繰り広げられる中で3台がアクシデントに遭い、1台がスピンを喫し、合計5回のフルコースコーションが出された。
松浦孝亮は、予選でハンドリングトラブルが出たために最後列スタートであったが、パナソニックARTA/パノスGフォース・Hondaのセッティングは走行を重ねるごとに着実に進み、決勝前に出場全車が同時に走ったウォームアップセッションでは4番手につける22秒8840をマーク。後方からでも上位へと進出ができるという確信を持ってスターティンググリッドについた。スコット・ディクソンが負傷のために欠場し、エンジン交換を予選後に行ったダン・ウェルドンが最後尾からのスタートとなったため、松浦は225周のレースのグリーンフラッグを20番グリッドから受けることとなった。最後列スタートのレースは、やはり難しいものとなった。松浦は30周を消化する前にラップダウンに陥り、それを最後まで挽回することができなかったのだ。39周目に出された最初のフルコースコーションで、スーパーアグリ・フェルナンデス・レーシングはピットインしない作戦を採用。リスタート後にすぐさま出された二度目のフルコースコーションで給油とタイヤ交換を行い、1ラップの遅れを挽回できるはずだった。ところが、松浦が作業を終えた時、コントロールラインにはグリーンフラッグが振られていた。松浦がターン2でコースに戻った時にはトップ集団が彼をパスして行き、松浦は再び1周の遅れを取ることとなったのだ。それでも、レースが折り返し点を迎える113周目までに松浦の順位は12位まで上がっていた。1回目のピットストップの後はハンドリングも安定していたのだ。そして、3回目のピットストップを147周目に行った後は、トップ集団に道を譲るドライビングを続けながらも10位でゴールした。2戦連続のトップ10フィニッシュで松浦のシリーズポイントは165点へと伸び、依然としてボンバーディア・ルーキー・オブ・ザ・イヤー賞へ向けてルーキー間でのポイントリーダーの座を保ち続けている。ナッシュビル、ミルウォーキーと2週連続のレースをこなしたIRLインディカー・シリーズは、来週はミシガン州ブルックリンに移動、初夏の3連戦最後のレースを戦う。
●松浦孝亮
「最後のリスタートは自分でもびっくりするぐらい決まった。我慢のレースを粘り強く走りきることが出来てよかったと思います」
「今日はスタート前から最初の100周ぐらいまでは我慢のレースをすることを考えていました。クルマの特性がどうなるかを見ながら走って、1台ずつ料理していきました。1回目のフルコースコーションの時に自分たちはピットインをしないで、1周の遅れを取り戻そうとしました。しかし、いいところまでいったのですが、IRLに嫌がらせみたいなことをされてしまい、自分がピットからコースへと戻ると、もうグリーンフラッグが振られていました。もしIRLがグリーンをもう1周待ってくれ、あの作戦が当たっていたら、6位ぐらいでゴールできていたかもしれません。全然違うレースになっていたと思います。それでも、その後はずっと粘り強く走って、ゴールまでマシンを運ぶことができましたから、今日のレースは良かったと思います。最後のリスタートの時も、同一周回のエド・カーペンターがすぐ後ろにいる状態から、本当に自分でもビックリするぐらいのリスタートを決めることができ、5台ぐらいを一気に抜くことができました。金曜日にクラッシュをしてチームのみんなに申し訳ないことをしたので、とにかく今回はクルマを綺麗なままフィニッシュさせることを考えていました。いいレースを戦って、最後にはいいファイティングスピリットを見せることができたので、チームの皆にもいい刺激になり、モチベーションを上げて次のミシガンに向かうことができると思います」
●鈴木亜久里 チーム代表
「トラブルもあったが完走すべきレースで完走できたのはよかった。シーズン後半戦はチーム全体のパフォーマンスをもっと上げていきたい」
「金曜日にクラッシュしたことから全部の歯車がズレ始めていたということだと思う。予選の順位が最後尾だから、無理はするなと言ってあった。フィニッシュすることを前提に走らないと、すでにプラクティスで1台を壊しているので、次のミシガンへの出場さえも危うくなる。ミシガンは来週続けて開催されるのだからね。とりあえず安全に、堅く行くという作戦になっていた。レース序盤に出されたイエローでピットインをしないことで、トップと同一周回に戻れそうだったけれど、グリーンが思ったよりも早目に出たことでそれが叶わなかった。そして、レース中盤にはフロントウイングが壊れ、イン側のウイングが寝てしまってアンダーステアになっていた。そういうトラブルがありながら完走できたことは良かったと思う。まだピットストップも他と比べて速いというレベルにはできていないし、チーム全体のパフォーマンスを上げてシーズン後半を戦いたい」
●トム・アンダーソン マネージング・ディレクター
「コウスケはスマートなレースを戦った」
「スタート位置が最後列であったことを考えれば、今日の結果はまずまずのものだ。コウスケはスマートなレースを戦った。金曜日にアクシデントがあり、マシンを1台壊てしまっていたことから、連戦中でもあるので、今日のコウスケにはリラックスして走るよう話してあった。レースのペースが安定するまでは無理をせず、1台ずつ確実にオーバーテイクする戦い方をしようと考えていた。コウスケはそのとおりの戦いをしていた。フロントウイングがレースの中盤過ぎに壊れてからは、大きなアンダーステアとも格闘しなくてはならなかったが、それをもコウスケは克服し、最後のリスタートでは素晴らしいパフォーマンスを見せ、トップ10フィニッシュを果たした。デビューシーズンの半分が終わったところだが、コウスケはすでに十分な経験を積み、才能を発揮して、速く走るべき時と慎重に走り続けるべき時を完全に理解している。これからもトップ10フィニッシュ、そしてさらに上位でのゴールを実現するべく頑張っていく」
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