INDY CAR

松浦孝亮、予選アタックで自己ベストを更新


シリーズ中で最も短い0.75マイルのショートトラックで開催される第6戦リッチモンドの予選は、接近している雨が降り始める前に完了させるため、予定より1時間以上も早い午後6時10分から始まった。先頭のグレッグ・レイがアタックを見送ったため、クジで引いたよりも1つ早い5番手でパナソニックARTA/Gフォース・Hondaをコースインさせた松浦孝亮は、アタック2周目に16秒0466=平均時速168.260mph(270.734km/h)をマークし、明日の夜8時にスタートの切られるナイトレースを13番グリッドからスタートすることとなった。ポールポジションは15秒7708=平均時速171.202mph(275.464km/h)を記録したエリオ・カストロネベスが獲得している。
松浦孝亮、予選アタックで自己ベストを更新
グリッド13番手から2戦目のナイトレース決勝に臨む

▽2004年6月26日
■日時:6月25日(予選)
■開催地:バージニア州リッチモンド
■サーキット:リッチモンド・インターナショナル・レースウェイ
■天候/気温:曇り/24℃
シリーズ中で最も短い0.75マイルのショートトラックで開催される第6戦リッチモンドの予選は、接近している雨が降り始める前に完了させるため、予定より1時間以上も早い午後6時10分から始まった。先頭のグレッグ・レイがアタックを見送ったため、クジで引いたよりも1つ早い5番手でパナソニックARTA/Gフォース・Hondaをコースインさせた松浦孝亮は、アタック2周目に16秒0466=平均時速168.260mph(270.734km/h)をマークし、明日の夜8時にスタートの切られるナイトレースを13番グリッドからスタートすることとなった。ポールポジションは15秒7708=平均時速171.202mph(275.464km/h)を記録したエリオ・カストロネベスが獲得している。
第6戦リッチモンドは今シーズン初の2デイイベントとして開催されている。走行初日の今日は、午前と午後に1回ずつプラクティスが行われ、予選は照明に照らし出されたコースで行われる予定になっていた。しかし、リッチモンドの空は午前中のプラクティスが始まる前から雲に覆われており、午後のプラクティス、そして夜の予選はキャンセルとなる可能性が高かった。
1回目のプラクティスは、1グループ目こそ小雨が時折り降る中でなんとか予定通りに行われたものの、2グループ目は雨によって30分の走行半ばで中断された。しかし、幸いにも天候は回復、薄く晴れ間も差したことで路面は一気に乾き、午後4時過ぎになってから2グループ目は残り15分間の走行を許された。 2回目のプラクティスは、この2グループ目のプラクティスが完了した直後から、全員が同時に走行するセッションとして10分間だけ行われた。そして、夜の7時過ぎに予定されていた予選も、雨を避けるために早めのスタートが切られたのだ。 予選では心配された雨が一瞬だけだがパラついた。しかし、22人全員が予選アタックを午後7時半までに完了。明日のレースに向け、グリッドはすべて決定した。
プラクティスで松浦が出したベストは16秒2077=平均時速=166.587mph(268.038km/h)だった。これは22台出場中の17番手にあたるタイムだったが、松浦は予選の2周のタイムアタックで自己ベストを更新し、13位につけたのだった。グリッドは狙っていたよりも低いポジションとなったが、アタックの順番が早かったことが不利に働いた結果でもあった。走行時間が短い今日のような条件下では、路面のグリップ力が低いため、多くのマシンが走行した状態となる後ろの順番で走ることが少なからぬアドバンテージとなるのだ。また、インディカーの予選直前にスプリントカーの走行があったことも、早い順番にはマイナス要因であった。インディカーとは異なるタイヤラバーがコースに乗っており、それがグリップを不安定にしてしまうからだ。
それでも、チームと松浦は短い時間でつかんだマシンセッティングが戦闘力の高いレベルに仕上がっているという自信を持っている。ショートトラックでのレースだが、路面が良くなったことでオーバーテイクのチャンスは増えると見られる。また、アクシデントの多い展開となる可能性も高く、しぶとく走り切ることが好結果につながってくる。明日のレースでは粘り強い戦いぶりが求められることになるだろう。
●松浦孝亮
「自己ベストを予選で出せたことはよかったが明日の最終プラクティスでマシンをもっと仕上げなければならない」
「午前中のプラクティスで十分に走り込むことができず、午後の短いプラクティスはトラフィックが多く、考えていた通りのタイムを出せませんでした。まだマシンの状態は完全ではありません。そうした中で予選一発のタイムを出せたことは良かったと思います。自分の今日のベストを予選で出せたのですから。本当なら予選では、もうちょっと良いタイムを出せたはずでした。プラクティスまでに出していたよりも大幅に良いタイムを予選で出すのは難しいですね。特にここのコースはそうだと思います。自分が想定していたタイムで走るためには、すごく無茶をしなければならないような感じでした。このコースでのドライビングではコンマ1秒の差が本当に大きな違いになって出てきます。自分たちが想定したタイムと、自分がプラクティスで出したタイムとの間のギャップが大きかったので、そのペースで走ることは無茶な走りとなってしまうような感覚がありました。レースはセッティングが非常に重要になると思います。まだ自分たちのセッティングは完璧ではないので、明日の最終プラクティスでマシンの状態を良くしていかなければなりません。レースでのオーバーテイクは、自分の周りにいる人たちがパスをしたり、パスされたりしたところに生じるチャンスを逃さず狙って行きたいと考えています」
●鈴木亜久里 チーム代表
「リッチモンドはシリーズでいちばん全長が短いので周回遅れにならないようとにかく前について行くことが大切だ」
「今日はこんなもんじゃないのかな? プラクティスが短くなって、セッティングをしたのかどうかわからないうちに終わってしまったからね。他のトヨタ勢とかは、ここでテストをやってるから、セッティングを出せている。2回目のプラクティスは10分しかなかったし、コースも結構混んでいた。自分たちは、いいのか悪いのかがわからないうちに初日終了となってしまった。ただ、それもみんな条件は一緒だから、文句を言うべきことじゃないが、初めて走るコースで、今日のようにプラクティスが短いと、やっぱり難しい。明日の最終プラクティスでクルマをどれぐらい良くできるか。どこまで決まったマシンで走れるかでレースも変わって来ると思う。リッチモンドはシリーズで一番短いコースだから、オチオチしていると周回遅れになってしまう。それこそあっという間に。このレースは予選順位が本当に大事だ。前の方いるのと、後ろからのスタートじゃ、周回遅れになる可能性が全然違ってくる。とにかく周回遅れにならないように前について行かないと駄目だね。周回遅れになってしまったら、上位でフィニッシュするチャンスは無くなるに等しいから」
●トム・アンダーソン マネージング・ディレクター
「予選順位には満足していないが、オーバーテイクが可能なコースなので明日の決勝では上位を目指した戦いができると信じている」
「プラクティス2回、そして予選へと、走る度にタイムを向上させることはできた。短い走行時間しかない中で、それを達成できたことは評価できる。明日の最終プラクティスでもさらにマシンを良くすることが必要だ。13位という予選結果は満足の行くものではない。受け入れ難い結果と言うべきだろう。しかし、与えられた条件下で我々が手にしたリザルトは13位なのだ。リッチモンドはオーバーテイクが可能なコースだ。明日のレースでは上位を目指す戦いができるものと信じている。0.75マイルのコースを使い、250ラップで争われるレースでは、必要とされる燃料も70ガロンから75ガロンと少ない。レースではアクシデントの起こる可能性も高い。そうした状況を総合すると、明日のレースでは燃料を常に満タンまで給油しない作戦を使うチームも出てくるだろうし、スタート時に燃料を満タンまで搭載しないことも検討されることになる。通常のレースとは違った様々な戦い方が考えられるレースは、作戦面からもおもしろいものとなるだろう」
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