今年が第88回目と世界で最も長い歴史を誇り、40万人という1日で行われるスポーツイ ベントとして世界最大の観客を集めるインディ500が、5月30日にインディアナ州のインディアナポリス・モーター・スピードウェイで開催された。パナソニックARTA/パノスGフォース・Hondaを駆って今年からIRLインディカー・シリーズに参戦している松浦孝亮は、初挑戦のインディ500で11位という結果を手にした。松浦孝亮、初挑戦のインディ500をルーキー最上位の11位でフィニッシュ
▽2004年5月31日
■日時:5月30日 (決勝)
■開催地:インディアナ州インディアナポリス
■サーキット:インディアナポリス・モーター・スピードウェイ
■天候/気温:曇り時々雨/25℃
今年が第88回目と世界で最も長い歴史を誇り、40万人という1日で行われるスポーツイ ベントとして世界最大の観客を集めるインディ500が、5月30日にインディアナ州のインディアナポリス・モーター・スピードウェイで開催された。パナソニックARTA/パノスGフォース・Hondaを駆って今年からIRLインディカー・シリーズに参戦している松浦孝亮は、初挑戦のインディ500で11位という結果を手にした。
全長2.5マイルの高速コースにもすぐに慣れた松浦は、5月9日に始まったプラクティスでコンスタントにトップタイム、あるいは上位に食い込むタイムを記録し続けた。マシンのセッティングは予選用、決勝用ともにハイレベルに仕上げることに成功。ルーキートップの9番グリッドを得て、レースに向けてのファインチューニングも着々と進めていた。
朝方に降った雨のために決勝レースは約2時間遅れてフルグリッド33台がグリーンフラッグを受けた。今年は7人のルーキーが出場したが、松浦は開幕戦から4戦連続でルーキー最上位フィニッシュを果たした。予選で3列目アウト側の9番グリッドから好スタートを切った松浦はすぐさま8位へとポジションアップ。28周で雨によってレースが中断された時点では6位にまで順位を上げていた。
1時間45分ほどの中断の後に切られたリスタートの後も松浦はトップ10圏内を走り続け、リスタートでは確実にポジションを上げるレースを戦っていた。今回から採用されているローダウンフォースのマシンを使っての高速バトルにもすぐさま順応し、トップグループに喰らいつくレースを展開していった。500マイル(804.5km)の長距離レースとあって、ハンドリングを終盤のハードファイトに向けて調整していったのだ。
レースも終盤に入った169周目、松浦は4位のポジションから最後のピットインを行 ったが、ここで11番手まで大幅にポジションダウン。レースが降雨のために180周へと20周短縮されたこともあって、11位でのゴールとなった。
●松浦孝亮
「もっと上のポジションでゴールすることを目指していました」
「自分としてはこの4戦で最もいい走りができていたと思います。今日のレースでは、リスタートとその後の2周にオーバーテイクを仕掛けようと考えていました。ダウンフォースの少なくされた今回からのマシンでは一度みんながリズムに乗ってしまうと抜くのが難しいと思ったので、まだみんながペースをつかみ切らないところでパスして、終盤までは燃料をセーブしていこうと考えていました。その通りのレースができたと思っています。リスタートで2台、3台とパスすることもできました。ターン1〜2、ターン3〜4をトップドライバーたちとサイド・バイ・サイドのまま回ってポジションを上げた場面もありました。今日はタービュランスの影響を受けたまま長い間走っていたので、そういう状況下でどういうマシンにしなければいけないか、どういうタイミングでオーバーテイクを仕掛けるべきかなど、いろんなことを勉強できました。今回のレースでもルーキーでトップになれたことは嬉しいのですが、自分としてはもっと上の目標を持っていました。もっと上位で最後までバトルをして、さらに上のポジションでゴールすることを目指していたんです」
●鈴木亜久里
「ドライバーはレースの序盤から最後までよく頑張っていた」
「悔しい結果だね。調子が悪くてこのポジションだったら仕方が無いけど、もっと上にいけるチャンスがあったのに、ピットストップのたびにポジションを落とすということが続いた。クルマは悪くなかったと思う。孝亮のベストラップは速かったからね。ターン3、ターン4でハンドリングが苦しかったのは風が強く吹いていたからで、みんな難しかったんだと思う。チームとしてピットストップを改善しなくちゃいけないね。今回から燃料補給のパーツを新しいものに変えたり、改善はいろいろとしているんだけど、もっと良くしていかないと。ドライバーはとても頑張っていた。序盤、中盤、終盤、どのパートでもよくやっていたよ。今回のレースを通してまたいい勉強ができたと思う。レースはとても長かったしね。孝亮は今日のレースでまた自信をつけただろうし、マシンとの一体感も出てきている。大きなレースで悔しい思いをしたけれど、今日の経験はこの先に向けて絶対に役に立つ。大きなプラスとできるレースだったと思う。他のドライバーたちも、孝亮の力量を十分に認識したんじゃないかな?今日はピットストップさえ良ければ3〜5位ぐらいでゴールできたと思う。今回もルーキーではトップだったが、今日のルーキーはみんなクラッシュしていたからね。ルーキー賞は孝亮にとってのターゲットじゃない。トップグループにだってついて行けたんだから。このレースが終わっても、まだシーズンは長い。これからが大変だ。ドライバー、チームともにさらに進歩を続けていって欲しい」
●トム・アンダーソン
「次からの戦いに向けてピットストップの改善を図っていくつもりだ」
「今日の我々は最後までリズムに乗り切ることができなかった。我々が考えていたのとは違ったタイミングで雨が降りもした。最後の給油では200周を走り切れるだけの量を入れたが、それよりも早い180周でレースが終了してしまった。このことだけで少なくとも2つはポジションを下げてしまった。ロジャー安川とエリオ・カストロネベスに最後のピットストップで抜かれてしまったからね。今日のコウスケは素晴らしいリスタートを繰り返し見せてくれた。彼のドライビングを誇りに思うよ。今年のインディ500では常にポジションを高く保つことが重要だった。しかし、残念ながら我々はピットストップの問題によって、上位のポジションをうまく手に入れることができなかった。レース中ずっとトップ10を保っていた、コウスケのパフォーマンスは素晴らしいものだった。次戦以降に向け、我々はピットストップの練習を繰り返し、給油用エクイップメントの面にも改善を施すつもりだ。最後に、Hondaのインディ500初優勝に対しておめでとうと言いたい、素晴らしい勝利で、おおいに感銘を受けた。ワンダフルなタイヤを用意してくれたファイアストンにも感謝したい」
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