第88回目を迎える世界最大のモータースポーツ・イベント、Indy500が今年もアメリカのメモリアル・デー・ウィークエンドに伝統のサーキット、インディアナポリス・モーター・スピードウェイで開催され、Honda Indy V-8搭載のバディ・ライス(レイホール・レターマン・レーシング/Gフォース)が優勝を飾った。これはライスにとってのIndyCarシリーズとIndy500の初優勝であるばかりでなく、Hondaにとっても初のIndy500制覇である。
バディ・ライスが初優勝
Honda Indy V-8勢が決勝でもトップ7を独占
HONDA PRESS RELEASE
▽2004年5月31日
決勝日:5月30日(日) サーキット:インディアナポリス・モーター・スピードウェイ 天候:曇り:気温:25℃
第88回目を迎える世界最大のモータースポーツ・イベント、Indy500が今年もアメリカのメモリアル・デー・ウィークエンドに伝統のサーキット、インディアナポリス・モーター・スピードウェイで開催され、Honda Indy V-8搭載のバディ・ライス(レイホール・レターマン・レーシング/Gフォース)が優勝を飾った。これはライスにとってのIndyCarシリーズとIndy500の初優勝であるばかりでなく、Hondaにとっても初のIndy500制覇である。
今回のレースからIRLのエンジン規定が変わり、インディカー・シリーズは3リッターエンジンによる戦いとなった。3リッターエンジンにとって初めてのレースがシリーズ最大のイベント、そして、シリーズ最長の500マイルというロング・ディスタンスで争われることはエンジンメーカーにとって非常に難しい条件だったが、Honda Indy V-8勢は予選でポールポジションから7番手までのグリッドを独占してポテンシャルの高さをアピールし、予選で見せたアドバンテージを決勝レースでもそのまま維持して1位から7位までのポジションを占めた。
5月のインディアナポリスは毎年天候が不安定で、今年も決勝日の予報は雨だった。午前9時過ぎに一度雨が強く降り、レースは翌日に延期される可能性が高まったが、雨雲はインディアナポリス・モーター・スピードウェイを避けて通り、午前11時に予定されていたスタートは約2時間遅れの午後1時過ぎとなった。雨に濡れながらインディカーのハイスピードバトルを待ち続けた40万人の観客が大歓声を上げる中、ポールポジションのバディ・ライスを先頭とするHonda Indy V-8勢がトップグループを形勢してメインストレートからターン1へと飛び込んで行った。
レースは28周を走ったところで雨により一端赤旗で中断された。しかし、空は再び晴れ上がり、1時間47分後に再スタート。そして、最後にまた雨が降り始め、180周でレースは終了となった。全周回数の半分を超す91周をリードしたことが示す通り、ライスのマシンのハンドリングは出場33台のベストに仕上がっており、レースが折り返し地点を迎える直前のピットストップでエンジンストールをしたためにポジションを一気に8位まで落としたものの、後半に素晴らしい追い上げを見せてトップに返り咲いてみせたのだった。
2位には第2戦フェニックスのウィナー、トニー・カナーン(アンドレッティ・グリーン・レーシング/ダラーラ)が入賞し、3位には第3戦もてぎウィナーのダン・ウェルドン(アンドレッティ・グリーン・レーシング/ダラーラ)。そして、4位にブライアン・ハータ(アンドレッティ・グリーン・レーシング/ダラーラ)、5位にブルーノ・ジュンケイラ(ニューマン・ハース・レーシング/Gフォース)、6位にヴィットール・メイラ(レイホール・レターマン・レーシング/Gフォース)、7位にエイドリアン・フェルナンデス(フェルナンデス・レーシング/Gフォース)とHondaは1位から7位までを占め、ロジャー安川(レイホール・レターマン・レーシング/Gフォース)は10位、松浦孝亮(スーパーアグリ・フェルナンデス・レーシング/Gフォース)も11位でゴールした。今日のレースでHonda Indy V-8ドライバーのリード周回数は180周のうちの166周にも上った。
HondaのIndy500挑戦はCARTシリーズ参戦時代の94、95年、IRL IndyCarシリーズへの参戦を始めた昨年に続き、今回が4回目だった。IndyCarシリーズにエンジン・マニュファクチャラーが3社以上出場するようになったのは昨年からだが、1社のエンジンがIndy500でトップ7までを占めるのは今回が初めてのことだ。なお、今回のIndy500制覇により、今年度のHondaはシリーズ第2戦のフェニックス、第3戦もてぎに続いて3連勝を飾り、マニュファクチャラーズ・ポイント・トップの座を守っている。
Hondaの創業者、本田宗一郎はIndy500への挑戦を行うべく、1964年と1966年の二度、Indy500を視察に来た。その30年後にHondaが初めて行ったIndy500へのチャレンジは予選不通過という悔しい結果となったが、40年目の今年、Hondaは世界最大の自動車レースを制することとなった
●バディ・ライス(決勝優勝)
「何て言っていいのかわからない。今年の僕はケニー・ブラックの代役としてIndyCarシリーズに出場できることになった。レイホール・レターマンというトップチームで走るチャンスを与えられた。昨年のレースで負傷したケニーはチームに全面的に協力してくれ、彼の大きなサポートを得たことで優勝を手にすることができたと思う。Hondaにとって初めてのIndy500のポールポジションを獲得できただけでなく、Hondaにとって初めてのIndy500優勝を自分たちの手でもたらすことができたことを誇りに思う。レース半ばのピットストップで遅れを取った時は、まだ空も明るかったし、半分も周回数を残しているのだからと、チームも自分も一切パニックを起こさなかった。自分たちには速いマシンがあるという自信があったからね」
●トニー・カナーン(決勝2位)
「チームはできる限りのことをやり、マシンは素晴らしいものに仕上がっていた。ピットワークも、作戦も正しかった。しかし、あと一歩及ばなかった。Indy500はベストのマシンとベストのドライバー、そしてベストのチームのコンビネーションにのみ勝つことができるものだ。今日はバディ・ライスが我々よりも速く、強かった。Hondaは素晴らしいエンジンを用意してくれた。トップ7を独占した彼らとともに喜びを分かち合いたい。今日は素晴らしいバトルをチームメイトたち、そしてライバルたちと楽しむことができた。天気が悪かったのはファンのために残念だったが、ドライバーたちは全員がクリーンにバトルしていた」
●ダン・ウェルドン(決勝3位)
「最高のバトルを楽しむことができた。バディ・ライスはとても速く、彼らのレイホール・レターマン・レーシング全員が強力だった。Hondaは第3戦もてぎで勝ち、こうしてIndy500でも勝った。次は僕らのドライバーズ・タイトルと、マニュファクチャラーズ・チャンピオン獲得を目指して頑張って行く。Indy500は世界で最高のレースだ。ドライバーたちはお互いを尊敬し合い、ハードにレースを戦っていた。今日は惜しいところで勝てなかったが、アンドレッティ・グリーン・レーシングは必ずや近い将来にIndy500で勝つことができる。そう確信できたレースだった」
●ロジャー安川(決勝10位)
「10位という結果は悔しいですね。最後まで走り切ってトップ10に2年連続で入れたことは嬉しいですが、今日のマシンはもっと上位に食い込める可能性がありました。レース前半にタイヤのパンク、空気漏れが続けて起こってポジションを落とさざるを得ませんでした。チームメイトのバディ・ライスが優勝した通り、自分たちのマシンはとても速く、終盤に大きく順位を上げることはできましたが、今回の自分には運が無かったなと思います」
●松浦孝亮(決勝11位)
「最初のスタート直後はマシンの調子もとても良く、いいレースができると感じていましたが、レース後半に気温が下がってきてからはハンドリングが苦しくなってしまいました。今日は風が強く、それもレースを難しくしていました。それでも、180周を通して常にバトルの中に身を置き、本当に多くのことを学ぶことができました。ターン1から2、ターン3から4へとサイド・バイ・サイドのままバトルしたこともあったし、常に誰かのタービュランスを浴びて走っていました。11位という結果は悔しいです。ルーキーでトップにはなりましたが、それ以上のところに目標を置いていましたし、もっと上位でフィニッシュすることは可能だったと思います」
●和田康裕 HPD社長
「予選もトップ7を独占できるとは考えていませんでしたが、決勝でもそれは同じです。Honda Indy V-8を使うチームが全体的にレベルアップをしてくれたことが今回の勝利に繋がったと思います。180周に短縮されたレースとなりましたが、こうして7位までを占められたことを嬉しく思っております。決勝でのエンジンパワーのアドバンテージは予選の時ほど大きくはありませんでしたが、それは自分たちもわかっていたことでした。それでも、パワーのアドバンテージもあってか、Hondaエンジンを使うチームがずっとトップグループを形成して走り通してくれました。まだ3リッターエンジンは生まれたばかりで、まだまだパワーアップをさせるためのエリアは残っています。燃費についても、まだまだ改善の余地があると今日のレースでは感じられました。今後も開発に全力を挙げ、さらなる勝利、そしてマニュファクチャラーズ・タイトル獲得を目指して頑張っていきますので応援を宜しくお願い致します」
●福井威夫 本田技研工業株式会社 代表取締役社長
「伝統のIndy500で勝つことができ、とても嬉しく思います。3.5リッターエンジン最後のもてぎ、3リッターエンジン最初のIndy500、このふたつのレースで勝つことは非常にチャレンジングでありましたが、ドライバーとチーム全員の総合力で勝ち取ってくれました。これからもこの勢いで勝ち続けていきたいと思います。皆様のご声援ありがとうございました」
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