INDY CAR

トニー・カナーンが2位、ダン・ウェルドンが3位でフィニッシュ Honda Indy V-8勢による年間ランキングのトップ3独占が決定


2004年度IRL IndyCarシリーズもついに第16戦、今シーズンの最終戦を迎えた。全長1.5マイル、24度のハイバンクを持つ超高速コース、テキサス・モーター・スピードウェイでの500キロに渡る激しいバトルが繰り広げられ、今年度のシリーズ・タイトル獲得を第15戦カリフォルニアですでに決定しているトニー・カナーン(アンドレッティ・グリーン・レーシング/ダラーラ)が2位、ランキング2位で最終戦を迎えたダン・ウェルドン(アンドレッティ・グリーン・レーシング/ダラーラ)が3位でフィニッシュした。これにより、ウェルドンは3勝を含む今シーズン11回目のトップ3入りによってランキング2位を獲得し、Indy500ウィナーのバディ・ライス(レイホール・レターマン・レーシング/Gフォース)は電気系統のトラブルによって最終戦を完走できなかったものの、ランキング3位を守った。
優勝はエリオ・カストロネベス(チーム・ペンスキー)だったが、彼は最後のリスタートで規定されたラインよりも早めに加速を開始したことに対して15ポイントの剥奪と、5万ドルの罰金を言い渡された。
Honda Indy V-8勢は今年度のシリーズ・ランキングでトップ3独占を果たした。エイドリアン・フェルナンデス(フェルナンデス・レーシング/Gフォース)は第2戦からの途中参戦だったが、カナーン、ウェルドン、そしてライスの3人に並ぶ3勝をマークし、ランキング5位に食い込んだ。彼らの他にも、ダリオ・フランキッティ(アンドレッティ・グリーン・レーシング/ダラーラ)は6位、ヴィットール・メイラ(レイホール・レターマン・レーシング/Gフォース)が8位、ブライアン・ハータ(アンドレッティ・グリーン・レーシング/ダラーラ)が9位と、Hondaドライバー7人がランキング・トップ10入りを果たした。
今年からIRL IndyCarシリーズへと参戦している松浦孝亮(スーパーアグリ・フェルナンデス・レーシング/Gフォース)は、スタート直後から積極的な戦いぶりを見せ、12位スタートから20周で7位までポジションアップ。ところが、ギアボックス・トラブルのために最終戦を最後まで走り切ることはできなかった。しかし、彼の総獲得ポイントは280ポイントとなり、栄誉ある2004年度IRLボンバーディア・ルーキー・オブ・ザ・イヤーを受賞した。アメリカのレース世界では、ルーキー・オブ・ザ・イヤーは非常に高く評価される。松浦は伝統の一戦であるIndy500でもバンク・ワン・ルーキー・オブ・ザ・イヤー賞を手に入れており、価値あるダブル受賞を達成した。
HondaにとってIRL IndyCarシリーズへの参戦は今年がまだ2年目だが、Honda Indy V-8を使うドライバー、そしてチームは2004年シーズンを席巻し、シリーズのメジャータイトルであるマニュファクチャラーズ・チャンピオンシップ、ドライバーズ・チャンピオンシップ、そしてルーキー・オブ・ザ・イヤーの3つすべてを獲得し、全16戦のシリーズでHondaは14勝を飾った。Honda Indy V-8勢は、第2戦フェニックスから14連勝を達成。シーズン11戦目のケンタッキーでは、マニュファクチャラーズ・タイトルに手を届かせた。
今年Hondaが獲得した14勝の中には、Indy500も含まれる。世界一の伝統と規模を誇るイベントで、Hondaは1位から7位までを独占した。さらに、Hondaの母国である日本での第3戦でもHonda Indy V-8勢は1-2フィニッシュを成し遂げた。
アンドレッティ・グリーン・レーシングとカーナンバー11のドライバーであるカナーンのコンビネーションは、シーズンを通して素晴らしい安定性を保ち、第15戦カリフォルニアで初のIRLタイトル獲得を決定した。カナーンの成績は優勝3回と、そのほかに6回のトップ3フィニッシュ、ポールポジション獲得2回というものだった。カナーンは今シーズン中に889周回ものリード・ラップを記録した。これはもちろんIRLのレコードである。開幕戦ホームステッド・マイアミでの8位を除く15戦で、カナーンはトップ5以上でフィニッシュ。全3305ラップを走り切ったのは彼だけである。
Hondaにとって3つめのメジャー・タイトルは、スーパーアグリ・フェルナンデス・レーシングの松浦孝亮が最終戦で獲得を決めたルーキー・オブ・ザ・イヤーだ。松浦は第11戦ケンタッキーで自己ベストとなる4位フィニッシュ。それを含めた4レースで松浦はトップ10入りを果たした。Indy500においても松浦は11位でゴールし、同レースのルーキー・オブ・ザ・イヤーに輝いている。
Honda Indy V-8は、今シーズンの全3305ラップ中の73.19パーセントに当たる2419ラップでトップを走った。14勝のうちの8勝は1-2-3フィニッシュ以上で、さらに4レースでの1-2フィニッシュを達成した。1位から7位までをHondaドライバーで占めたレースは、前述のIndy500とケンタッキー・スピードウェイの2戦であった。
Hondaドライバーたちは年間ランキングでのトップ3をトニー・カナーン、ダン・ウェルドン、バディ・ライスの順で占め、トップ10に合計7人が食い込んだ。また、Hondaドライバーたちは16戦中の11戦でポールポジションを獲得している。ライスはシーズン最多タイとなる5回のポールポジションを記録した。インディ500でHondaは予選においてもトップから7位までの独占を果たした。第3戦ツインリンクもてぎ、第5戦テキサス、そして第8戦ナッシュビルではトップ5を占めた。
●トニー・カナーン(決勝2位 2004年度シリーズ・チャンピオン)
「レース終盤、僕はダン・ウェルドンについて行くのが精一杯だった。ダンはトップを走っていたエリオ・カストロネベスにアタックできる唯一のドライバーとなっていた。しかし、それが不可能となって、最終ラップの僕にチャンスが回ってきた。狙えたのは最終コーナーただひとつ。それが見事に成功した。チームメイト同士で素晴らしいバトルをしてシーズンを終えることができたなんて最高だ。アンドレッティ・グリーン・レーシングは本当に見事なシーズンを、全員の努力によって戦った。今シーズンの全ラップを僕は走り切った。こんなファンタスティックな記録は他にない。今年と同じようなシーズンを再現するのは難しいかもしれない。しかし、来年がもっと良いシーズンとなるように僕らは全力を尽くすつもりだ」
●ダン・ウェルドン(決勝3位 2004年度シリーズ・ランキング2位)
「今日はあと少しのスピードが足りていなかった。その原因はまだはっきりとわかっていない。アンドレッティ・グリーン・レーシングはシーズンを通して素晴らしいパフォーマンスを保ち続けてくれたし、僕自身も3勝を挙げてトニー・カナーンに続くランキング2位となる素晴らしいシーズンだった。特に、Hondaのホームコースのもてぎで勝てたことは自分にとっては大きな誇りだ。Hondaはとても高い競争力を保ち続けてくれた。ハードワークを続けてくれた彼らのためにも、勝つことができて本当に嬉しかった。来シーズン、僕はさらなる進歩を遂げたい。自分の強化すべき点はわかっている。Hondaエンジン、そして僕らのチームもさらなる進歩を実現してくれると確信している。目標はハッキリしている。2005年シーズンが今から楽しみだ」
●ヴィットール・メイラ(決勝4位)
「最終的に自分の望んだ結果とはならなかった。残り2周でグリーンフラッグ。あれではポジションを上げるのは難しい。最後の長いフルコースコーションの前まで、僕らは優勝を狙えるポジションを走っていた。マシンのパフォーマンスも非常に良く、スピードを保って外側のラインを走ることができていた。ゴールを目前にして15周ものフルコースコーションがあったのは本当に残念だ。レイホール・レターマン・レーシングでのシーズンは本当に楽しく、素晴らしいものだった。来年はさらに良いパフォーマンスを見せられる自信がある」
●松浦孝亮(決勝19位)
「今日の自分たちは最高のマシンを手にしていました。昨日のファイナル・プラクティスで一気にマシンを良くできたんです。今日はスタートからの20周で4台か5台をパスできました。しかし、そこでギアボックスにトラブルが発生してしまいまいた。6速へのシフトアップができなくなり、5速までだけを使って走り続けなくてはならなかったんです。それで一端はポジションを18位まで落としましたが、そこから10位まで挽回することができました。1回目のピットストップを終えてコースへと戻るところでギアボックスは1速からのシフトアップができなくなっていました。本当に残念でしたが、そこでリタイアするしかありませんでした。ルーキー・オブ・ザ・イヤーを獲得できたことは嬉しく思っています。僕らは力強い戦いを見せることのできたレースが幾つもありました。しかし、不運に見舞われたレースも多く、優勝という夢を実現することはできませんでした。来年は是非とも何勝かを挙げたいと思っています」
●和田康裕 HPD社長
「今シーズンは自分たちの想定していた通りの展開となりました。ドライバーやチームを含めたみんなが頑張ってくれ、勝利を挙げた選手は5人にもなりました。振り返ると、特定のドライバー、あるいは特定のチームだけではなく、みんなとシーズンを盛り上げ、楽しめた1年だったと思います。今日は最終戦に相応しい激しいバトルになっていましたね。来年はロードコースでのレースも始まります。新しいサーキットもあるし、とても楽しみですね。ドライバーとチームのラインナップ等々については、これから冬の間に色々と進めていきます。シリーズ全体が成長し、出場台数が増えることを期待したいですね」
<プレス・リリース>