Hiroyuki Saito

ブラジル旅情 −ブラジルなランチ−

先週末のレースがあった日曜日はアメリカ独立記念日でした。アメリカ人ならできれば故郷に戻って家族でその日を過ごし、夜に打ちあがる花火を見るのが恒例行事となっているようです。
 
いつからそんな週末にレースが行われるようになったのかは忘れましたが、ワトキンスグレンっていうニューヨーク州の片田舎ではなんだか時間がゆっくりと流れているので、そこにいる人々はフィンガーレイクの湖畔で花火を眺めて優雅に過ごすわけです。ここ数年、レース関係者に関してはこの週末が仕事なわけで、家族から離れた場所という意味での独立した日を過ごしていますよ。まぁ、仕方のないことなんですが。
 
そんな独立記念日に行われたレースはウィル・パワーの完全勝利で無事終了しましたね。3勝目を飾って喜ぶウィルを撮影後、メディアセンターで写真のセレクトやなんやかんやと仕事に励むわけですが、いつものようにね、それらの作業はなかなか終らず、時間だけが過ぎて行きます。サーキットのメディア担当係りの人も「まだいてもかまわないよ。あとセキュリティが戸締りしてくれるから」と、いって帰っていったのでね(これはまだ好意的なほう。サーキットによっては強制的に帰されますから)、まぁ、ぼちぼち帰るかと、まだ残っている仕事を抱えつつ、サーキット内の駐車場にポツンと寂しそうに僕らを待っていた小さな車、ヒュンダイに乗り込んでホテルのある街までたどり着いたのが午後10時30分ごろでした。
 
独立記念日だったからレストランもやっているかわからないし、どうせ営業していてもこの時間じゃ終っているだろうからファスト・フードしかねぇべなって運転していると“Chili’s”っていうアメリカでは比較的どこの街にもあるレストランを発見。ダメもとで行ってみたらこんな日でも午後11時まで営業していたんです! それでも到着時間が微妙だったので断られるかなってロジャー安川とレストラン内に入ったら、アメリカではどこにでもいるような女の子が笑顔で「How many?」と聞いてきたのでね、やったぁって感じでVサインを出して「Two!」といったあと、彼女が席まで案内してくれました。ラッキーでした。
 
何組かまだお客さんもいたので焦ることなく安心して注文し、出てきた料理をたいらげた頃にはこれまた僕ら二人しか店内にいない状況でした。お腹も胸もいっぱいになったし、まぁ、ぼちぼち帰るかとホテルに戻って残りの仕事をやっつけ、僕は1時間ほど仮眠をし(フライトが早朝6時20分、しかもホテルから1時間ほどかかるシラキュースという空港)、空港に向かった過酷な週末でした。
 
まぁ、来年こそはゆっくり花火でも観て過ごせればいいなぁと思いますが(アメリカ人じゃないけどね)、インディカーのスケジュール次第ですな。来年はなんだかレースが増えるような噂がありますが、果たしてどうなることやら。さてさて、近況報告が長くなりましたが、そろそろブラジル旅情の続きをお伝えしたいと思います。
 
 
ブラジル旅情 −ブラジルなランチ−
 
 
太陽堂の正面にある小さな広場を横切ってリベルダージという通り沿いに出るとすぐ目の前にそのレストランはありました。シュラスコ・レストランでは前菜がビュッフェだったのですが、このレストランもビュッフェ形式です。ブラジル人ってビュッフェ好きなのか? って勘違いしそうですが、たまたま僕らが行ったレストランがそのような形式だっただけかもしれません。
 
頼まれてから作るのより作ってあるものを置いておけば効率もいいし、お客さんも好きなの選んで、ぱっと食べられるのは理にかなっています。そう思うとビュッフェはランチにもってこいこいだなって、いまさらながらそんなことをブラジルで気付くのもどうなのかなって、いろいろと悩むところです。
 

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まぁ、悩んでいてもお腹は減っているので、早速、分けもわからず、その列に並んで(お金はあとで支払うものでしょう)お皿を手にとって、どれどれと物色しながら料理を見ていくのですが、どうやら一度通過するとその料理の前には戻ってこられなそうな雰囲気です。
 

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あー、あれが欲しかったかもって思う料理のトレーを通過後、はっと気付くと対面にも人の流れがあります。2列に縦に並んだ料理のトレーは種類が違っていて、そっちまでぐるっと回れるのかと思っていたのですが、どうやら違うようです。欲しいものが反対側にあったとしたら、対面の人にはお構いなしにヘラやスプーン、トングを持った手を伸ばして料理をさくっと取らなければならないようです。これはこれで忙しい。
 

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2列に並んだ料理の上空ではお腹のすいた人々の手が行き交い、人気のあるトレーの料理はあっという間になくなって追加されるのを待っていました。
 
そんな状況なのでね、やはり戻ることは許されないんだなと遠くの料理まで細い目をさらに細めて何があるか眺めるのですが、どんな料理なのかまったく見当がつかないので、もう、行き当たりばったりで目の前にあった野菜、肉っぽいの、米、マカロニっぽいのといったものを適当に皿に乗せて、ビュッフェの最終料理を通過しました。
 

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選んだのはこちら。なんか煮込んだような肉料理がおいしそうだったので、何の肉だかわからないけど適当に選びました。
 

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さあ、食べようかと思っていると、今まで僕がやっていたように料理の撮影をしているロジャーがいたので、それもついでにパシャっと撮影。ツイッターっつうのが流行っているのでね、ロジャーといわず、最近このようにiPhoneをもって撮影している姿の人々を良く見かけます。そしてその場で情報を更新。いやはや世の中、情報化社会もここまできたかとつぶやかずにはいられませんよ。
 

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店内は思ったより小奇麗でテーブルと椅子のセットが何個もありました。お昼時ともあって、多くのパウリスターノ(サンパウロっ子)が店内であーでもない、こーでもないと食事をしながら話していましたよ。多分、iPhone欲しいなって会話もこのレストランの中で一組ぐらいはしていたんじゃないかなって思います。俺も欲しいし。
 
さて、次回は「わざわざ危険そうな場所に行かなくてもいいんじゃね? っていうか、古い教会に行ってもしようがなくない?」と、あまり乗り気じゃないロジャーと共に、少し危険を感じる地下鉄で、ちょっと治安の悪そうな場所まで行ってみたお話をお伝えしようと思いますよ。