Hiroyuki Saito

ブラジル旅情 −グアルーリョス国際空港からホリデイ・インまでの常識−

インディ500のプラクティスが始まりましたね。相変わらずインディアナポリスの気まぐれな天候に悩まされていますが、それでも結構、走行できているのではないでしょうか。
 
今年はプラクティスの回数が減っただけに雨で走行できないとなるとチーム、ドライバーにとっても厳しいでしょうから、今後、残りの走行時間で雨が降らないことを祈るばかりです。
 
天気予報では金曜日だけちょっと雨が降り、来週までは大丈夫だよって感じで予想されていますけどね、“女心とMonth of Mayの空”って、そう思うような天候がこれまで多々あったので油断はできませんよ。
 
ともあれ、ぼちぼちブラジル旅情の続きをお伝えします。
 
 
−グアルーリョス国際空港からホリデイ・インまでの常識−
 
イベントTシャツを着た10代後半と思われる地元の女の子に、アメリカから到着したチーム関係者がぞろぞろとついていきます。更にそのあとを僕達もついていってというか、もうその中に溶け込んだようにして、シャトルバスが来る場所まで歩いていきました。
 

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10年ぶりのブラジルの空気はちょっとむっとした湿度を含み、それでいて懐かしい蒸し暑さを感じます。「あっちぃなぁ」って待っていると“CVC eventos”といった大きなステッカーが貼ってあるシャトルバスが僕達の目の前に現れました。
 
荷物を積み、バスへと乗り込みます。成田空港周辺にある有料の駐車場から空港へと送迎してくれるワゴン車を観光用にグレードアップしたようなシャトルバスは、二人がけのシートが横に2列ならんでいて、大人二人が座るとちょっと狭さを感じます。
 
結局、このバスにはそれほどチーム関係者も乗らなかったので、他の席に移動して二人で悠々と座っても良かったのでしょうが、とりあえず、便乗している身分としては先に乗った手前(そこら辺はずうずうしい)、あとから来る人の席を考えて、ロジャーと二人がけのシートにきちんと並んで座ってね、出発を待ちました。
 
イベントTシャツを着た20代前後の地元の青年がおもむろにバスに乗り込み、いよいよ出発しました。するとバスに添え付けられたクーラーボックスから水が入ったカップを取り出し、みんなに配りだしたんですね。なんともはや、うれしいサービスです。
 

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サンパウロでは水をこのようにプラスチックのカップに入れて販売したりしているのかなって思いながら、そのありがたい水をちびちびと飲み、バスは仮設コース敷地内にあるホリデイ・インへと向かいました。
 
僕らを乗せたバスは空港を出るとわりとすぐにブラジルの慢性的な渋滞に巻き込まれました。すると高速道路にも関わらず、時折、ふっとクルマの脇を“人”が何かを持って歩いていくんですね。
 

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それは携帯電話のクルマ用充電器だったり、食べ物だったり、時には高速道路沿いにその商品を置いて渋滞すると売りに行くといった局地的なビジネスを展開しているわけです。
 
ロサンゼルスでハイウエイの入り口とか、一般道の交差点で信号待ちをするドライバーに花やフルーツを売る人たちはよく見かけますが、高速道路の渋滞中に物を売るという行為には初めて遭遇したのでカルチャーショックです。っというか危ないですよ。
 

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しかも携帯電話のクルマ用充電器って確かにこんなときに急に必要になるものかもしれないけど、こういうの購入するときって接続部が機種によって違ったりするだろうから専門店で購入するんじゃね? って個人的には思いますし、決して高速道路の渋滞中に買うようなものではないと思うのですが、そんな人たちが現に目の前に居るのでね、ブラジルではそうでもないようです。
 
慢性的な渋滞を利用したナイスアイデアの商売と素直に思えればそれでいいのでしょうね。そんな人たちを見ていると自分の持っている常識ってブラジルではとても小さいことなんだなって思う出来事でしたよ。
 

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いろいろなところに行くと自分の常識とその国の常識とのギャップに驚くことは良くあることだなって改めて思っていると、いつの間にかバスはホリデイ・インに到着。空港から約1時間くらいだったでしょうか。渋滞していなければ30〜40分くらいで着くのでしょうね。イベントTシャツを着た女の子、そして水をくれた青年にお礼をし、ホテルでチェックインをしました。
 

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2ベッドの部屋を予約していたのにも関わらず、実際に泊まる人が二人になると追加料金がいくらか掛かるということで(予約したときに人数を入れ忘れたか忘れました)、予約していたときの金額よりいくらか増えました。
 
それでもダウンタウンのホテルからレンタカー、タクシーで通うことを考えれば、それにかかる費用と郊外のホテル代を足したくらいの宿泊費だったんではないでしょうか。早めに予約したことで少しは安くなっていたし。
 

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部屋は日本のビジネスホテルくらいの広さでしょうか。うれしかったのはなんと日本の裏側の国にも関わらず、NHKが放送されていたんです。なんか不思議な感覚でしたよ。レース後に分かったのですが、ダウンタウンにある日本人街はとても大きくてね、ブラジルと日本って結構関係が深いんだなって思った次第です。
 

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NHKから流れる日本語の放送を聞きながら、ホテルの部屋から外を眺めると仮設されたコースの向こう側に多くのビルがそびえ立っていました。久しぶりに東京やニューヨーク以外の大都会を連想させる街にきたと思い、落ち着き始めたロジャーと僕はコースの下見に繰り出したのでした。
 
次回はブラジル料理では定番となる“シュラスコ”についてお伝えしますよ。