いよいよ“Month of May”インディ500が開幕しました。6日から24日の決勝レースが終るまで、今年もインディアナポリス・モーター・スピードウエイでいろいろなドラマが繰り広げられることだと思います。
少し出遅れましたが、僕も明日からインディアナポリスに入ります。昨年まではポールデイの週末からバンプデイが終了するまでの10日間くらいがインディアナポリス最大滞在期間でしたが、今年はUS-RACINGで“ロジャー安川の応援ファンド”を結成したので、決勝レースが終るまで滞在することにしました。ロジャーを密着取材しますよ。
ロジャーのブログも始まりますから、楽しみにしてくださいね〜。
近況はこれくらいにして、スイス旅情の続きをお伝えしたいと思います。え、まだ続くのかって? 大丈夫。こちらは違った意味で、いよいよって感じですよ。
スイス旅情 −ジェ・ドーであわやジ・エンドー?!−
ジュネーブの旧市街地から地図とカメラを両手に「ジェ・ドーってどこだべ?」って、とことことレ・マン湖を目指してひとり歩いていた僕は、なんとか湖畔まで辿り着くことに成功しました。めちゃくちゃ噴水が上がっているのかと思った湖は、なぜかひっそりとしています。
とりあえず、噴水が上がるような場所を探すために湖を眺めながら、それらしい方向へと歩き出しました。湖畔から広がる湖とそこに浮かぶヨットと鳥たち、そして対岸に広がるジュネーブのダウンタウンとアルプス山脈に心を打たれ、ふっと立ち止まっては撮影を繰り返しながら“ジェ・ドー”を目指しました。
そんなとっても観光者なジャポネの僕を、じっと見ていた人たちがいたんですね。そしてそいつらはとうとう動き出したんです。アフリカ系のいまどきな格好をした若者達2〜3人が僕の後ろを歩きだし、そのうちの一人が話しかけてきました。
なんかイヤだなって思って、はじめは悪いけど無視しました。そしたら一旦引き下がったものの諦めきれないようで、数分経ってから再び近付いてきました。今度は挨拶のつもりなのか、「ジャポネ、ジャポネ」と言いながら体を近づけてきて、そいつが左足の脹脛左側部分で、僕の右足の同じようなところをコツン、コツンと何度か当ててきたんですね。
なんだか奇妙な挨拶だなって思っているうちに、そいつはすぐ去っていったのですが、なんかおかしいなって違和感はあったんです。そんなに慣れなれしいのもどうなんだって思って歩いていると、2〜3分後にふっと財布が入っているジーパンの後ろポケットが、妙に軽くなっていることに気づくんですね。そしてポケットに手を入れると、あるべきはずの財布が無いんです。
あ、やられたって思い、どうするんだ俺? って一瞬パニックです。振り返ってみると、僕が歩いてきた湖畔の通りにそいつらを見つけることが出来ず、その通りの並びに平行している僕の肩くらいの高さがある一段上の道路の歩道を数人で歩いているんですね。驚くことに、まだ見つけられる範囲にいたんです。
あまり後先考えず、とりあえず逃げられたら大変だと、慌ててそいつらの方へ走り出しました。良く見ると盗んだ奴がちょうど、僕の財布の中身を見出したところでした。そこで「ヘイ!!」って叫んだら、盗人が僕に気づいて「ちぇ」ってな感じで、なんかこっちに向かって歩いてくるんですよ。
そしてなんと財布を僕へ投げてきたんです! ナイスキャッチした僕は、慌てて財布の中身を確認。すると現金、クレジットカードも含め、何も取られた形跡がなかったんですね。ホテルのカードキーも無事です。
盗人たちは財布を投げたあと小走りで道路を横断し、ジュネーブの街へと消えていきました。僕は僕で財布が無事手元に戻ってきたので、とりあえず一安心しました。でも、冷静に考えたら盗人たちがその一帯から離れる時間や、現金だけ抜いて財布はどこかに捨てるという時間は十分あったのに、何でその辺に留まっていたのか、そして見つかったときも財布を持ったまま逃げ出さなかったのかが解りませんでした。
周りを見渡すと、すぐ近くに警察の交番もありました。人通りも多いし、白昼堂々の犯行です。まぁ、スリにそのような環境はあまり関係ないのかもしれませんが、後々面倒になるとでも思ったのでしょうか。じゃあ、スルなって言いたいんですけど。
いやぁー、久しぶりに油断しました。っていうか、ヨーロッパということを忘れていました。スリはもちろん、置き引きとかも多いってことを。それをすっかり忘れて観光者丸出しで歩いていた自分に、ちょっとイラっとしましたよ。もうちょっとでスイスでの滞在が、大変なことになるところでした。
まぁ、ジュネーブの旧市街、そしてレ・マン湖の景色に心が緩んだのでしょうね。それからは財布を上着のジップで閉められるポケットに保管し、背後には誰も立たせないよう、ゴルゴ13のデューク・東郷なみに警戒して歩きましたよ。
結局、楽しみにしていた“ジェ・ドー”は、噴水時間を過ぎていて見ることが出来ず、ここから噴水しているんだっていう場所だけの観光となりました。残念。
まずまず、財布も僕も無事で何よりなレ・マン湖探索となりましたよ。次回からのスイス旅情は、食をテーマにお伝えしますー。